107.戦闘試験 其の一
更新です。なんか呼んでくれる人がすごい多くてめっちゃ嬉しいですありがとうございます!!
実力的に見てSランク。少なく見積ってもAランクの最高峰だろう。特に男の方はやばい。
「・・・ああ、戦闘試験は個々人で俺とやりたいやつから来い。隣の・・あー、ラシアはサポートだ。じゃ、開始。誰からだ?」
すんごいヌルッとした感じで始まったな。最初に行くやつなんか限られてるし、俺は様子見・・なんてするわけあるかよめんどくせえ。さっさと終わらせて学園周りの飯屋でなんか食いたいんだよ。お土産も買いたいしな。
「あー、じゃあ俺・・・」
「俺が行くっす!」
手をあげようとした俺の事を遮ってサイモンが男を見据えて前へ出る。
「俺はサイモン・ロイ・クレイドルっす。試験官の方、よろしくお願いします!」
「名乗った方がいいか?・・アルバートだ。じゃあ・・・」
アルバートさんの自己紹介が終わり、ラシアさんに目配せをする。それを見てラシアさんが頷き
「始め!」
声とともに号砲の音が響き、それと同時に2人が動き出す。サイモンは腰に提げていた剣を体を半身にして構え、アルバートさんは引き抜いた刀を正眼に構える。
構え終わった瞬間数秒の睨み合いが続き、サイモンの方から仕掛けた。
クレイドル王国剣術ーーー旋回舞剣
すり足で前へ進み、片刃の・・刀じゃないな。反りがはいりすぎてる。曲刀か?を高速の回転とともに次々と繰り出していく。
対してアルバートさんはその場から1歩も動くことなく全てガードし、受けきって笑みを浮かべる。
「これなら使っても良さそうだな。」
そう口走った直後、一瞬赤いオーラがアルバートさんの身体を覆った瞬間、彼がその場から消えた。次いで見えたのは銀色の閃光。
「ッ!?」
わけも分からず左手に装備していた小盾をアルバートが消えた方向にサイモンが構えた。直後、横一文字で真っ二つに切られた小盾が吹き飛び、体制を崩されたサイモンの胴に刀が一閃。ものすごい勢いで体が吹っ飛び、壁に激突。峰打ちだったんだろうけど、それでもこのパワーか。
「うぅ・・。」
ぶち当たったままズルズルと下がっていき、呻き声をあげてサイモンが気を失う。瞬時にラシアさんが近づいて光の灯った長杖がサイモンの腹を撫でたと同時、寝起きのように目を覚ましてサイモンが負けたことに気づいて落胆する。
「俺、負けたんすか・・・。」
「ああ。ま、なかなかいい連撃だったぞ。」
「・・・っ!!」
褒められて喜んでいるようで、さっきまでの顔から一転、俺と会った時ぐらいに顔を輝かせてアルバートを見据えるサイモン。その目は憧れを抱いてるようで・・。まあ、それはいいとして・・正直舐めてたな。そんなでも無いだろうと思ってたが、まさか『分析之魔眼』が『レジスト』されるとは思わなかった。ラシアさんの方も何らかのスキルで見えないようにしてるし・・
「強いな・・。」
ボソッと後ろに立っているやつが呟く。と同時、そいつが手を挙げて試験を志願。他の奴らも手挙げたそうにしてたが、最初に手を挙げたそいつが優先された。
「じゃあ・・1番早かったお前で。」
「ありがとうございます!」
そう言ってそいつが歩き出すと、鎧の擦れる音が鳴り、展開された魔法陣から全身鎧が出現する。え?何あれかっこいいんですけど。
「リスト・フレイル・バルトと申します!よろしくお願いします!!」
すげえ丁寧。アルバートさんもちょっと引いてるレベルで礼儀正しい。これは戦いも堅実な感じか・・・そう思ってた時期が、俺にもありました。
「おおっっらぁ!!」
風魔法ーーー旋風之尾
風を体に纏い、雄叫びと気合いをあげて右手に持ったメイスを振り上げ、瞬間的に吹かせた風でブリンクのように間合いを詰めると同時に振り下ろす。アルバートさんも受けるのは危険と判断したのか右に避けるが、そこで意表を突くかのように左手に装備された盾でリストが突進する。恐らく、風魔法の強化で加速してるのか、相当なスピードで突撃していき、ぶち当たると思われた次の瞬間。
「いい感じだなぁ今年は。」
「かっ・・・!?」
そう言った瞬間にはリストの身体の関節部が砕かれ、首裏の装甲がへこんでそのまま倒れた。ラシアさんがすぐさま駆け寄り、その部分を回復させる。それを尻目に、アルバートさんが口を開く。
「次」
聞こえた瞬間、俺以外の全員が手を挙げた。え?なんで挙げなかったかって?どうせなら最後に戦って派手に倒してあげたいじゃん。強いとはいえ、ルイズパイセンほどではなさそうだし。
「メアリー・リン・ライアードです。お願いします。」
考えてる間にまた1人、今度は魔法使いの少女が長杖を構える。メアリーと名乗り、アルバートさんが挨拶を返した次の瞬間、紅の魔法陣が宙に展開され、そこから頭ぐらいのサイズの炎の弾丸が次々と放たれる。
炎魔法ーーー火炎紅弾
「まだまだ行きま・・」
「もういいぞ。お前の凄さはわかったからな。」
「!!?・・・かはっ・・・」
メアリーが次の魔法陣を展開した瞬間、アルバートさんは既にその後ろに立っており、次の瞬間には刀が閃いていた。程よく手加減された峰打ちが袈裟懸けに入り、それだけでメアリーが白目をむく。瞬時にラシアさんが壁際に移動させ、長杖で袈裟懸けの部分を撫でる。ボーッとした顔でメアリーが起き上がったのを確認して、アルバートさんが再び口を開く。
「次」
「俺が行きます。」
「おお・・。」
立った瞬間にわかる威圧感。リストやサイモンよりも1段階上に至った存在。武器は持たず、両腕を頭まで上げて己の拳を構える。それに応じるかのように刀を外し、右腕を前、左腕を引いた状態でアルバートさんが構える。
「・・魔拳一魂流 アラバ!参る!!」
「・・来い。」
魔拳一魂流ーーー魔竜脚
初手はアラバ。急に前方に跳躍したかと思えば次の瞬間には回し蹴りがアルバートさんに叩き込まれており、衝撃波が室内を席巻する。放たれた大砲のごとき蹴りをあげた右腕で難なく受け止め、引かれた左拳が放たれる。
「ふんっ!」
稲妻のごとき速度で放たれた左拳がクロスしたアラバの腕に命中し、受けきれずにその身体が吹き飛ぶ。
「ッ!?」
次いでアルバートさんが追撃に移り、パパン!と音が鳴り響いた瞬間にアラバの体がまるで回し蹴りを瞬間的に叩き込まれたかのように回転して吹き飛び、地面に落ちる。
「ガッ・・!!」
叩きつけられた瞬間に受身をとって起き上がり、負けていられないとアラバが反撃をしに踏み込んだ瞬間、
「そこまでだ。いい蹴りだったぞ。」
縮地法と呼ばれる足運びで瞬時にアラバに向かってアルバートが近づき、いつの間にか垂れていた鼻血を抑えてやって落ち着かせ、ラシアさんの回復を受けさせる。しっかりアラバが腕と腹の打撲を治したのを確認して、アルバートさんが刀を拾って構え直す。
「次」
ちなみにアルバートさんはサイモンの時に掛けたあの赤いオーラをずっと使い続けてます。そう、早く終わらせてるから勘違いするかもですが、彼、継戦能力がアホみたいに高いです。




