105.いつだって初任務は波乱万丈
更新です
魔力を集中させて両掌を水晶玉に付け、魔力を流す。直後、ビシッという音が鳴って水晶玉の『全方位から』中央に向かってヒビが入った。
「・・・・・」
玉から目を離してアブセルの方を見ると、やっぱり・・・という感情と、困惑の感情が合わさったような微妙な顔をしていた。・・申し訳なくは思ってる。
「で?これどうすんの?」
「ちょっと待ってくれ・・・」
ヒビの入った水晶玉を指差し、アブセルに問うとまだ整理ができてないのか俯いてこめかみをトントンと叩いていた。
「・・・よし!整理できた。まあ、本当なら戦闘審査とかもあるんだが、そこはもう問題ないから、カードを発行しよう。」
戦闘審査?何やら気になる単語が出てきたな・・。まあ、後で知ったことだがこれは水晶で出た数値と本当の実量が乖離してないか調べるためにそのレベルにあった、ギルドが管理してる魔物を倒すことらしい。因みにSランクの魔物はウィンドドラゴンかオーガキングらしい。・・・余裕では?
30分ほど待つと、アブセルとさっきの受付嬢がカードを持って現れた。
「おめでとう!君も晴れてこれからB3ランクの冒険者だ!『特殊』冒険者学校に入るにはB2ランク以上のカードが必要だからな、任務頑張ってくれたまえ。入学式は1ヶ月後だ。」
「え?1ヶ月後!?B2ランクにあげるのって平均どんぐらいかかります!?」
「1年ちょいだな」
「えぇ・・・無理じゃん・・。」
1ヶ月後マジか?無理だろ無理無理。だって俺効率のいい上げ方とか知らないし。パーティとか組む予定もないっつーかソロで行きたいし。
「いや、君の実力Sより上だからな?測定不能な時点でだいぶと言うか、かなりおかしいことを自覚してくれ?」
「・・・わかりました。」
だいじょぶかなぁ・・・?だいじょぶか。俺は強い!うん!
「あ、どんぐらい上のランク任務まで受けれますか?」
ラノベとかでよくある一個上までとかだったらいいんだが・・・。
「一個上だ。B3ランクだったら、A3ランクまで行けるぞ。まあ、危険すぎて行く人ほぼ居ないがな。」
「因みに今残ってるA3ランクまでの任務って・・」
「7個だ。」
「全部受けます。」
「!?」
アブセルの隣にいた受付嬢が変な顔をしてるが、良いだろ。いちいち反応すんのも面倒だし。
「そう言うとは思った。手続きはしておくから、装備とかを用意し・・・」
「ああ、もう持ってるんで大丈夫です。」
「了解した。エルーナ、この子のギルドカード持って行って受注扱いにしておいてくれ。それと、多分今日だけでB1ランクまで行くと思うから書類の用意も頼む。」
「り、了解しました!!」
エルーナさんって言うのか・・・なんかイジりがいのある人だったな。
「それじゃあキト君。ないと分かっているが一応気をつけておいてくれ。君が倒れたりしたら俺がブラドさんに怒られるからな。」
「気をつけますよ。」
「それじゃあまた。」
「ええ、では。」
部屋を出てまだ倒れてるダミアン・・だっけ?の上を跨いで通り、ドアを開けてギルドの外へ。えーっと?最初は・・
「ゴブリン集落の壊滅だな。」
5分もあれば行けるか。場所はここから西に4kmぐらいの森の中ね。
「ちゃちゃっと片付けますかぁ!」
「ふー・・・これで全部か?」
集落中のゴブリンを殺して死体を燃やして処理する。その後、捉えられてた人たちを近くの村に送り届けて次の依頼へ。
「次は・・・悪霊討伐?」
場所は・・この森から南に3kmぐらいか。すぐ行けるな。・・・つーかこれ王都近辺の以来だからこんな近いのか。あんま移動に時間かけたくないし助かるな。
「お!いたいたぁ!」
出会い頭に魔力を纏わせた重國をその首に一発。持っていた鎌が振るわれる間もなく地面に落ち、暗い教会に音が響く。
「発見は一体だけって話だっんだが・・・。」
追加で奥から5体ほど現れる。
「は?悪霊王!?」
分析之魔眼で出てきた五体を見るが、そのうちの一体が悪霊王なことが判明。対処しないわけにも行かないため、マフラーと重國で応戦し、速攻で周りの4体を殺した後に血を纏わせた重國で強引に首をたたっ切る。
「貰った札を扉に貼って、封印完了っと・・」
教会の外に出てドアに札を貼り、呪文を唱えて結界を貼る。
「おお・・便利だな。」
次は・・・
3件目:ライドワイバーン2体の報告が3体と翼無竜一体である異常事態。難なく対処。
「飛ばない竜はただのトカゲ。」
4件目:オークの集落。30体程の報告が50体。内20体が攫われた冒険者との交配から生まれた特殊個体であった。尚、難なく対処し捉えられてたものは王都に護送してギルドに預ける。
「胸糞悪ぃ・・」
5件目:王都近郊の盗賊団『氷狼団』の捕縛。偶然傘下の団も混じえた大会議中だったためそれぞれの団の頭を全員暗殺して他のものたちを一網打尽。指揮系統にマシな者を優先的に無力化して全員を捕縛。さすがにひとりで運べないため追加人員要請を行い、頭領たちの首だけ引き渡して襲われた冒険者や村の方々を解放。
「やっぱ人間はそれなりに厄介。」
6件目:フラワードラゴンの蜜採取。ファンシーに聞こえるが実際は翼竜種の次に強い竜種であり、普段は温厚だがブチギレると翼竜種すら倒される危険性がある。尚、非常に寝起きが悪く、近隣の村の若者が怒らせたため4体程が森の中を激怒しながら徘徊。仕方なく怒りが収まるまで4匹全部の相手をして沈め、蜜を採取して村の若者厳重注意を行う。
7件目:A3ランク相当の火炎竜一体討伐のはずが、同じ翼竜種のSランク相当である風切竜が火炎竜とた戦っており、介入して両方を討伐。
「流石にSランク相当。強化かけなかったらやばかったな。」
「てな感じです」
「君はトラブルに巻き込まれないと死ぬ体質か・・?」
そんなん俺だって不本意なんだよなぁ・・。
「ま、取り敢えず実績としては十分すぎるな。・・・エリーナ、アレを。」
「了解しました。」
返事の後、しばらくして現れたエリーナさんは小型のキャッシュケースみたいなのを持っており、それを開けて此方に中身を見せる。
「青いギルドカード?」
「念の為A1ランクのカードもつくらせていてね。まあ、本当に上がるとは思わなかったが・・」
「てことは?」
「ああ、A1ランク昇格おめでとう。これはA1ランクのギルドカードだ。・・それと、ランクの上がり幅最速の冒険者として、ギルドから君に『最速成長』の称号を与える。これからも励んでくれ。」
「っし!これで入学できるぅ!」
ぶっちゃけ称号とかどうでもいいからなぁ!入学出来るかどうかだからこれで行けるんだったらこれでいい!!
「あ、あと君の今日の功績と称号、暫くは世界中のギルドに張り出されるから。」
「え?・・は?」
「冒険者ギルドには任務達成度ランキングというのがあってだな、一月ごとにそれが全ギルドに張り出されるんだが・・今月は文句無しに君が1位だ。だから、称号とかも含めて大々的に宣伝しようt・・・」
「はあああああああああああ!!!???」
ランキングぅぅぅぅ???!!!?
10歳俺氏冒険者の中でTOPになり、張り出される事実を受け止めきれず無事気絶。目を覚ましたら自部屋のベットの上でした。クソがァ!
補足
『特殊』冒険者学校とは別に『普通』冒険者学校がある。というか、特殊の方は普通の中の上位1クラスのこと。特殊の方は入学には相応の実力が必要であり、B2ランク以上の冒険者で、20歳未満あることが最低条件。
対して普通の方は20歳未満のE1ランクから入学できる。




