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これホントに暗殺者の仕事なの?  作者: 羽根ペン
2章 戦争編
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99.VSヒュドラ、ラミア

更新です

血液魔法ーーー【血創傀儡ブラッディ・ファントーシ


その効果は血出できたもう1人の自分を自分から半径10メートルの間に顕現する魔法。この魔法のデメリットは、1人で操る場合は自分の分身を頭の中で動かすというとんでもなく脳の容量をさかなければならないところだ。もちろんメリットもあるにはあるが、デメリットの占める割合がデカすぎて今まで作ったとしても使ってこなかった魔法だ。が、ある時俺は閃いた。


「キト!」


俺とキトは二重人格のような存在。であれば、もうひとつ完全に顕現できる体を用意してやれば2人が同時にこの現実世界に存在することが可能になるのではないかと。


キトの人格が俺の中からせり上がり、身体の支配権が譲渡される。その一瞬前。魔力でできた目に見えず、触れても感じない細い糸で繋がった血液の人形に俺の意識が移り変わる。


「なんて無茶を・・・」


キトがそういうのが聞こえたが、心の中でごめんと謝り、目を開ける。セミロングの血でできた髪の毛が揺れ、10歳前後の血液でできた少女の目が開眼する。次いで銀髪を風に揺らし、マフラーをたなびかせる少女が構える。


「魔力の制御とかそういうのは全部ハンズに任せる。」


「ええ、それが最善だと思うわ。にしても、やっとこうして話せるわね?」


「そうだな。・・・まあ、積もる話もあるが。」


「ええ。先ずは過去の因縁を断ち切らないとね。」


話して見た感じ、血液でできた身体も案外いい感じだ。しっかりと喋れるし、構えも取れる。肩には大太刀を担ぎ、身を低くして。隣を見れば、同じように肩に大太刀サイズまで伸ばした深紅のマフラーを担ぎ、構えるキトがいる。


「行くぞ!」


「ええ!」


血液魔法ーーー集中分泌、血流加速、【朱天童子】


布魔法ーーー鋼布、伸縮自在、刃布


同じ速度で踏み込み、前へ。俺はヒュドラに、キトはラミアに斬りかかり、担いだ右肩から左脇腹までの袈裟懸けで4本の首を落とし、反転して残り5本を横凪に安綱を振るって切り裂く。紫色の鮮血が飛び散り、体に付着。さらなる力と速度を手に入れ、まるで脇差のように片手で振るって前足を切り裂き、地面に顔を付かせ、飛び上がって大上段。


一方、火炎の槍と深紅のマフラーが鈍い打撃音を立てながらぶつかり合い、衝撃波を発生させる。上へと伸ばした体から直下に向けて超スピードで放たれる槍に対して踊りのステップのような足さばきで避け、右肩から左下へと担いだマフラーで槍を流して袈裟懸けをその腹に繰り出す。直後に反転して左肩から右下へとクロスする斬撃をラミアの腹に刻み込んで跳躍。


「おおおおおおおおおお!!!!!!!」


刃技スキルーーー『割断かつだん空武からたけ


刃技スキルーーー『鋭威紅閃えいいこうせん


大上段から裂帛の雄叫びを上げ、大上段から構えた大太刀を落下速度とスキルを合わせて赤い光の尾を描きながら超速で振り下ろし、地面と激突。ヒュドラの体を真っ二つに切り裂いてバックステップ。


跳躍後、先を鋭く形成し、突きに特化した形へとマフラーを加工して引き絞られた弓の弦のように肩を限界まで後ろに下げ、跳躍の頂点。ラミアの目とキトの眼があったその瞬間、正しく紅の閃光が引き絞られた右腕から眼球目掛けて一直線に放たれ、


「SYAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!?!??!」


目を押えてラミアが蹲って悶え、片目から血を流しながら残った片目に殺意を宿してキトを睨む。


「そんな恨みがましい目をしたって駄目よ。あなたが私より弱くて隙を見せたのが悪いんだから・・・ね?」


「SYUAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!」


怒りで激昂したラミアは魔力を体中に巡らせ、一気に体表から体外へとその魔力を放出し、場を支配すると同時に魔法を放つ。


草魔法ーーー『幻草之現ゲンソウノアラワレ


初めに漂ってきたのは何かを誘うような香りであり、鼻にまとわりついて消えないような匂いが辺りに巻き散らされる。そしてその空気を吸うと同時、視界が曖昧になって幻覚が現れる。そしてさらにその空気を吸い続け、幻覚を見続けると幻が現実へと成り代わり、何をされても何も感じなくなって、ものの数十秒で死に至るという禁術の1種が展開された。


キト自身も為す術なく空気を吸い込み、目の前に展開された美しい幻に巻かれ・・・


「生憎だけれど・・・この魔法は私には効かないわ。」


そう一言ラミアに向けてはなった直後。


魔眼スキルーーー【蠍座之魔眼スコーピオ


閉じていた左目が朱色に輝き、淀んだ空気と幻を一瞬で打ち消していく。


「もしかして・・今のが全力?」


圧倒的上位者に為す術なく幻が破られ、状態の異常も全て回復された。が、それでも尚ラミアは立ち向かう。なぜなら勝算が、切り札がまだ残っているのだから。ここに来て、ラミアの脳内は驚く程に冷静になって現状を分析していた。


「答えないの・・・じゃあ、いい?」


蠍座之魔眼の能力は対象の本質を見抜き、顕現する事が出来ることに加え、使った者を妖艶に見せる働きがある。この場において妖艶になることはさほど関係がある訳では無い。重要なのは『対象』の本質を見抜き顕現すること。そして、その『対象』とは自分自身のことをも示す。故にどうなるのか、それをラミアは身をもって知ることとなる。


「ふふっ・・・耐えられるかな?」


妖艶な眼が紅に染まり、蠍座の紋様が瞳の上を走った。直後、


「u・・・a・・・ka・・・・」


巨大な何かが膨れ上がり、キトを覆っていた殻のような物が破られる。それは鳥のヒナが孵化するところにも似て・・・殻を突き破って現れた深紅の大蠍がこちらを見た瞬間に、ラミアは本能的にその戦意を喪失して変化を解き、地面に力なくへたりこんだ。


「ふぅ・・・決着ね。」


目の色が紅からただの赤に戻り、蠍が消えて、威圧感も殺気も同時に消失し、キトとラミアの戦いの勝敗は決した。


「あっちはどうなっているのかしら?」


終わったなら既に興味は無いとキトらラミアから視線を外し、永戸とヒュドラの戦いを見やる。


「・・・・・。」


爪と刃が打ち合わされ、牙と拳が交差する音以外が消える。沈黙が場を支配し、キトはただ黙ってその戦いを、決戦を見据えていた。







安綱と鉤爪が激突し、火花を散らして衝撃波を発生させる。胴を真っ二つにして尚体の全てを数秒で再生させたその生命力には驚きを禁じ得ない。


「しぶてぇなぁおい!!」


血の体を目一杯旋回させて安綱による回転斬りをかまし、腹を横一文字に深く切り裂いて勢いを乗せたまま裂いた傷の奥に腕を埋める勢いで安綱を突き入れ、引き抜く。飛び散った紫の血が体を濡らし、身体能力を強化する。


「このまんまじゃ拉致があかねえ!」


叫びつつバックステップで吐かれた毒液を回避し、吐いた直後の隙を見てすぐさま反転。一つの首の奥に安綱を根元まで突き刺し、柄を逆手に持って前へと振り抜き、首を両断。次いで左右隣同士の首を横凪に振るった大太刀で切り飛ばし、毒液を吐こうとした首に肉薄。真下から口を塞いで口の中で毒玉を爆散させ、顔を破裂させる。が、その全てが瞬時に再生し、雄叫びを上げて俺を振り落としにかかる。


「チッ!クソがぁ!!」


バク転して自分から降り、アイテムボックスからリボルバーを出し、1発ずつ6本の首を射抜き、残り三本を安綱をぶん投げて断ち切った。


「どーせこれも再生しやがるからなぁ・・・どうするか・・確か伝説じゃあ・・」


「GYUAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」


一際強く咆哮を上げ、ヒュドラが全ての口から魔力を放出して1点に集め始める。


「・・・ッ!?なんだあれ!!?」


毒液がチャージされていき、留められる限界点に達した次の瞬間。阻止しようとした踏み込みを全力で上に飛び上がることに使い、超高高度に身を晒す。次の瞬間に目に飛び込んできたのは毒と炎でできたぶっとい光線が木々を薙ぎ倒し、森を半壊させて停止する。


「ば火力じゃねえかクソがァっ!!・・・だが、勝算はある。勝ち筋は見えた!!・・キト!!」


「何?」


「ラミアさんの体のどっかに呪符があるはずだ!!それを見つけて俺に渡してくれ!!」


「これのこと?」


そう言って滞空している俺に投げ渡されたのは1000円札よりちょっと細いぐらいの大きさの炎の魔法陣が描かれた紙の札数枚。魔力を流して1枚を安綱に貼り付け、軽く振るうと、確かに炎が出た。着地し、安綱にもう1枚貼りつけようとした次の瞬間。


「GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」


毒光線の第2射が俺に向かって咆哮と共に放たれ、間にあった木々を薙ぎ倒しながらこちらへと毒が向かってくる。


「おおおおおおおおお!!!!!!」


咄嗟に安綱を盾にして受け止め、弾き返そうとした直後。バキン!という音が鳴り、安綱が根元から折れた。


「なっ・・・!?」


衝撃を受け止めきれず後ろに吹っ飛ばされ、硬い壁に激突し、背中を激痛が襲う。


「お兄ちゃん。私がたす・・・」


「いや、いい・・・これは・・おれの因縁・・だ。」


咄嗟に向かってくるヒュドラを見据えて俺の前に立ったキトを言葉で制し、地面に落ちた体を無理やり起こしてヒュドラを見据える。血液の体でまさか痛覚を再現してくるとは思わなかったが、それはまあ後回しでいいだろう。今はこっちが先だ。・・と言っても、武器は折れて使い物にならなくなり、体もボロボロ。呪符も残り1枚となってしまった。


「クソがよ・・・。」


思いっきりヒュドラを睨みつけるが、それで止まるはずもなく。彼我の距離が5mを切ったその時。


『ふっ・・・。』


微笑みともため息とも取れる吐息の音が聞こえ、いつの間にか右手が何かを握っている。構えて見ればあの時、教会にあった包丁が掌にすっぽりと収まっており、巻き付けた覚えのない呪符が燃え上がって包丁に炎が宿った。


「なんかわからんが今は助かる・・!!」


事態を飲み込んで1番近い首との距離が1mを切った次の瞬間に踏み込み、更に懐の奥深くに入り込みつつ抜刀の構え。瞬時に体を捻って真上を向き、9つの首が収束する一点。要となるその場所に向け、燃え上がる刃を一気に振り抜いた。


刃技スキルーーー【紅蓮灼華咲グレンシャカザキ


炎の花が咲いたかのように9枚の燃える花びらが一瞬で9つの首を根元から切り落とし、その傷口を焼いた。


「神話の中では、お前は首を切り落とされ、燃やされて殺された。だから、俺もそれを真似して燃える包丁でお前を切った。それだけだ。」


「gu…a…ga…」


「じゃあな、神父さんよ。せいぜい自分の体が燃えていくのを感じて、苦しみながら死んでくれ。」


宣告が終わると同時、ジリジリと傷口を焦がしていた炎が勢いを増してその体を焼滅させた。今ここに、永戸と神父の因縁が絶たれ、復讐の時は終わりを迎えた。



【紅蓮灼華咲】

・・・炎を纏った刃を振るい、相手を切り裂くと同時に炎の花弁を広げて切断する技。後隙がかなり大きく、1発限りの超大技という認識。

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