第一話 彼女にいきなり振られた
「私、彼と付き合うことにしたからもう、あんたはお払い箱よ!www」
「え…」
僕、桜田元はいま中学1年から付き合っている彼女から突然そんなことを言われた。
「え、じゃないわよ。さっき言った通り彼と付き合うからあんたはお払い箱っていったのよ!」
「まぁ、そういうことだから彼氏くんいや、元彼氏くんかw結月はもう俺の女だから気安く話しかけんなよw」
「わ…訳わかんないよ」
「じゃあそういうことだから今後一切気安く話かけないでね!」
「ちょと、ま、、、」
言いたいことを言った彼女たちはもうこれ以上話すことはないと言わんばかり背を向けて歩いて行った。
いきなりのことで頭の処理が追いつかず僕は、初恋の彼女、田中結月を呼び止めることもできずにその場で固まってしまった。
高校に入ってすぐのことだ。3年間付き合っていた彼女にまるでゴミのように捨てられてしまった。
高校からの帰り道、いつもなら結月と一緒に帰る道を今日は一人で歩いている。
僕は、結月と一緒の高校に通うため地元から少し離れた高校に通っている。
地元から離れているため親しい友達は皆違う高校に通っている。
そのため、結月意外に一緒に帰る子がいないのだ。
「まぁ、友達がいないのは悲しいけど、いまは一人になりたいからちょうどいいか。」
「なんでこんなことになったんだろう。」
結月は陰キャの僕には、勿体無いぐらい優しくてかわいい彼女だった。
入学したての中学1年生の頃、なかなか友達が出来ずに本ばかり読んでいた僕に積極的に話かけてくれたり、色々僕に構ってくれた。
そのうち僕は、はじめて女の子を好きになり勇気を出して結月に告白し恋人になった。
そんな彼女からいきなり振られて心が締め付けられているように痛く感じる。
そんなふうに歩いているとあっという間に家に着いた。
「ただいま…」
「おかえ…うわ!どうしたのおにぃー、そんなにぐったりして!あっもしかして彼女にフられちゃった?w」
いまこの家には僕と妹の日菜しかいない。両親は共働きで海外で仕事をしている。
「うっ…うっ!」
「えっ、泣いてるじゃん!?マ、マジでフられたの?」
「(こく)」
いままで我慢していたが日菜に図星をつかれ改めて現実を知り、僕は耐えきれずに、玄関で泣き崩れてしまった。
「よしよし、いまはいっぱい泣いていいよ。人はみんなそういう経験を積み重ねて大人になって行くんだから。いっぱい泣いたら、日菜に何があったか話してみな。そしたらちょっとは楽になるから。」
「う…うん。」
日菜はそう言いながら僕の頭を撫で慰めてくれた。
僕は妹に撫でられながら結月に振られて出来た胸のモヤモヤを吐き出すようにおもいっきり泣いた。