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SP01-4【特別編】十桜と水浴びの乙女たち(俺たちの伝統芸能)

8月が終わりそうです。

 SP01-4【特別編】十桜と水浴びの乙女たち(俺たちの伝統芸能)


 広げた両腕に二人の体重がのしかかる。

 シトラスとミントが絡み合い、とろけそうな肉体に力を込めつづける。

 両腕に感じるのはやわらかな肌。

 二人が巻いていたバスタオルは、はらりと床に落ちていた。


「あっぶなあ……」

「あぁ……せ、せんぱいすみません……!」

「うぅ……お兄ちゃんごめんね……!」

「大丈夫か? 莉菜ちゃん、そら」

「ぁ……うん……だいじょうぶ……だよ……お兄ちゃん……」

「せん……ぱい……らいじょうぶ、れす……」


 十桜は風呂場ですってんころりんを防いだ。

 そらと莉菜はもごもごしているが無事な様子。

 ただ、二人とも力が入らないようで十桜に体重をかけたままだった。


(なんだ? 腰が抜けたのか……?)


 十桜は彼女らを立たせようと姿勢を直した。


 そのとき、


「うわァッ……!!」 


 ふんばろうとずらした足が泡で滑ってしまったのだ。

 

「キャッ……!」

「わあッ……!」


 ――どぼぉ~ん


 背中から倒れた十桜は、浴槽のフチに足をとられ、

 莉菜、そらとともに水の湯船につっこんでしまった。

 支えていた二人の体重が乗っかり、背中、頭から全身が浸水。

 息ができない。

 体が言うことをきかない。

 

(うおおおお死ぬううううゥゥッ……!!)


 十桜は自宅での溺死をまぬがれたい一心で

 フルパワーで莉菜そらを持ちあげる。

 バシャっと水面に上半身を出したのだが、

 しかし、なぜかまだ息苦しい。


 ――むにゅ……むにゅ…… 


(やわらかい……)  


 ――むにゅううん……


 なんだか目が開かないし頭が混乱しているが、

 顔の両側面にあたる感触を首を振って確かめる。


 ――ぷにゅん、ぷにゅん、ぷにゅん、ぷにゅん


(……なんなんだコレ……)

(……すべすべですんげえやわらかいぞ……)

(……世界一か……?)

 

「大丈夫ですか先輩……!?」

「大丈夫お兄ちゃん……!?」


(いいにおい……) 

(あれ……ああ、風呂んなかに転んだんだっけ……)


 そうだった。

 いま、十桜は莉菜とそらの背中に腕を回して、

 二人を抱きかかえている状態なのだ。


(え……?) 

(じゃあ……)


 とういうことは、いま、顔の両側面に当たっている、

 この世で一番やわらかい感触のぷにゅんぷにゅんしていていい匂いのものは……

 

「せんぱい……」

「お兄ちゃん、あんまり……顔うごかさないで……」


(……うわあああッ……!!)


「ぷはッ……!」


 十桜は両腕を離して顔をあげ、息を吐いた。


 その、顔と肌の距離があく瞬間、

 十桜はその様を脳裏に刻んでいた。

 ぷるるんと揺れる二つのふくらみの姿を。


 だが、それはさて置き、二人の顔に視線を向ける。


 莉菜もそらも顔をそらし、ほほを真赤に染めている。 

 そらはメガネを濡らしてしまったようで、レンズを額の上にずらしていた。

 莉菜は濡れた前髪をなでなでしている。

 二人とも艷やかで切なげな表情だ。

 その二人の表情が伝染するように十桜の顔も熱くなる。

 いま火照っている頬は、さっきまで莉菜とそらの胸の間に埋もれていたのだ。

 そう思った瞬間、魂が吸い込まれるように視線が下方に落ちる。


(黄色と青……)


 それは莉菜とそらの水着の色だった。

 莉菜はひまわりのような黄色いビキニ。

 そらは落ち着いた淡い青色のビキニ。

 どちらも胸元に乙女ちっくなフリフリ付き。

 しかし、かわいい水着のデザインとは裏腹に、

 そのふくらみのデカさと谷間の深さは重量級だ。

 それが、鼻息があたりそうな距離にある。

 

(スゲエエエエエエエエエエエエエエエ――――……!!)


 何度見ても慣れない。

 エロ初心者だ。

 おっぱいを前にすると、十桜はいつだって初舞台なのだ。

 梅沢富美男の夢芝居に激しく共感する。

 あっちは恋の歌だが。


(くっ……ダメだ……)

(このままではおっぱいに飲み込まれる……)


 自分はいま、二人の未成年たちの保護者なのだ。


(二個上の保護者ってなんだよ……)


 そんなこと言ってもしかたがないので、


(……ガンバル18メートル。ガンバルマークツー……)


 頭の中でガンバルシリーズの身長を並べていった。

 そして、落ち着いた十桜は、

 いま、一番この場にフィットする言葉を吐いた。


「……その水着買ってきたんだ?

 莉菜ちゃんもそらも似合ってるよ。

 フリフリがかわいいな。腕にもついてるんだな」


 十桜は視線をおっぱいモードから水着観察モードに切り替えたのだ。


「あ、ありがとうございます……」

「うれしい……お兄ちゃんも似合ってる……」

「先輩の水着もかっこいいです……お似合いです……」

「ああ、ありがと……

 莉菜ちゃんは黄色も似合うし、この前の薄いピンクのもよかったな」

「せんぱい……」

「そらは青も似合うけど、この前のスク水にはやられたな……」

「お兄ちゃん……」


 水着の感想に対して、莉菜とそらはぽつぽつとつぶやいた。

 なのだが、その後、誰もしゃべらなくなった……


(あれ……なんだ?)

(会話が止まった……)

(水着の感想ばっか言うと変態みたいになっちゃうしなあ……)

(顔すげー赤くなってねーか……?)


 莉菜とそらは黙ってしまった。

 二人ともほほを紅潮させてこちらをちらちらと見ている。


(な、なんだよ……)

(おっぱいとおっぱいの間に、

 顔うずめてぷるんぷるんしたのが悪かったのか……!?)


 その注目の二人の谷間には、花びらが一枚ずつささっていた。

 同じ型の水着と、同じ場所に花びら。


(こいつら、仲いいなあ……)


「……」

「……」


 しかし、沈黙は続いた。


(なんだ!? 俺か? 俺がしゃべればいいのか……!?)


 ・二人とも、顔が赤いな。熱でもあるのか?

 ・花とか植物とか、いい感じの風呂だな。おかげで居心地がいい。

 ・おっぱいボヨヨ~ン! ボヨッヨ~~~ン!!


 なんて言おうか?



読了ありがとうございます。


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