「妖精でも魔王になれるんだね。」それは大きな誤解です。
ここからは魔界中心になります。
~前回のあらすじ~
気がつけばルイスにチーム・モンペが爆誕してたよ。そしてやっと魔王様とご対面だよ。
「魔王様、失礼致します。お加減は如何でしょうか。魔王様を治せるかもしれない者をお連れしました。」
部屋の扉の前で衛兵が室内に向かい声をかける。そしてルイス達を睨み、唸るように念押ししてきた。
「くれぐれも魔王様に失礼の無いようにしろ。何かあれば、ただでは済まさんぞ。」
「ルイス、頑張って。魔王様は怒ると恐いけど、基本優しい方だから。」
「そこの阿呆な衛兵みたく、自分の失礼を棚上げするような方では決してないからな。」
「魔界の誰にも出来なかったことをさせようなんて無理なんだから、出来なくて落ち込まなくても大丈夫なんだな。」
「…貴様ら…」
衛兵の眉間の皺が更に深くなる。
「ここまで来たら出来ることをするだけだよ。ありがとう。ちょっと行ってくるね。」
ルイスは部屋の中に入った。
「失礼します。魔王様。」
「…あんたが、これを治せるかもしれない人間…?」
ベッドの上でうつ伏せになり、顔も上げないまま魔王は声をかけた。
「…魔王?」
ルイスは初めて見る魔王の姿に首を傾げた。
「…何?こんな状態で、魔王の威厳も何も無いとでも言いたいの?」
「いや。魔王じゃなくて、妖精さんじゃね?」
「………は?」
ルイスが首を傾げた理由。それは魔王のうつ伏せの状態にではなく、魔王の外見にであった。
魔王は銀髪のロングヘアに白い肌、小顔で手足は細く全体的に華奢、因みに顔もしっかりと美人さんである。どう見ても魔王には見えない。
「妖精さん、体の特にどこ辛い?」
「…首痛い…肩痛い…頭痛い…背中重い…」
「夜寝れる?夜行性?」
「夜眠りたいけど、辛くて眠れない…」
「内蔵の病気ある?人間みたく月の物あったりする?」
「…病気とか言われたことないけど、眩暈する…月のは一応順調…」
「ちょっと触っても良い?」
「…変な所触らないでよ…」
質問を捲し立てたかと思ったら、魔王の肩をゆっくり擦る。
「……これ、ぶっちゃけ痛いと思うけど、放置しても悪化しかしないからちょっと我慢ね。」
「…何するの?」
言うなり魔王の肩をゆっくり力を入れて押し始める。
「ぅああぁぁっ!」
「我慢出来そう?」
「…大丈夫…痛いけど、なんか気持ちいい…」
「あんまり痛かったら言ってな。」
ルイスは本格的に按摩を始めた。
一時間後
「ルイス、大丈夫かな…?」
「まだ終わらねえのか?」
「無理してないといいんだけどな…」
「…お前たち、何であの人間の肩をもつ?」
三匹の保護者ぶりに衛兵は軽く引いていた。
「「「いや、何か放っておけなくて…」」」
「終わり~」
「「「ルイス!」」」
扉からルイスが顔を出した。
「貴様、魔王様はどうした!?」
「呼んだ?」
衛兵が食って掛かろうとしたタイミングで今度は魔王が顔を出した。
「「「「魔王様!?」」」」
「何?」
「いや、『何?』ではなくてですね…」
「お体の方は?何か不都合がありましたら、直ぐにでもそこの子供をケルベロスの餌に致しますので…」
「は!?そんなことしようものなら、あんたの体を細切れにしてケルベロスの餌にするわよ。」
「はいっ!?な、何故で…」
「私、今までにないくらい体が楽になったのだもの。またあんな生活に戻りたくないわ。」
そう言いながら微笑む魔王。しかし、目は全く笑っていない。
「妖精さん、あんまり変なもの食べさせたらアカンよ。お腹壊すよ。」
「心配する所はそこなんだな?」
「ルイスらしいといえばらしいけど…」
「確かに、ルイスだしなぁ…」
つい納得してしまう三匹。
「…まあ、いいわ…あんたたち、ちょっと宰相と財務官長呼んで来てくれる?」
「宰相と財務官長ですか?」
「ええ。さくさくルイスの魔界の永住権と給金について話を纏めるわよ。」