僕は、猫を飼うことにした
意識が、覚醒する。
しかしながら朝が強くない僕は、本能に従い、いまだ残る眠気と戦うことを放棄。目を開けることもなく、なんの葛藤もなく、このまま二度寝に入る以外の選択肢を検討することもなく。
心地よい微睡の中に意識と思考を放り投げたまま、このまま季節外れの「春眠暁を覚えず」を…。
次の瞬間、パッと目が覚める。覚醒する意識、募る危機感。反射的に、眠い目を擦りながら時計を確認。時間は8時30分。出勤時間は9時。
家から会社までの距離を考えて、今から着替えたのでは確実に間に合わない起床時間。
朝支度の遅い僕は「やばい」、「なぜ目覚ましで起きなかったんだ」という二つの遅すぎる後悔を抱くと同時に、慌ててスマホの連絡先一覧を確認。そこにある「会社 勤怠連絡」の項目を素早く探し出す。
そして、これから話すべき内容(渾身の言い訳)を、自分の限界まで回った思考の中で次々と想定。
「寝坊しました」と、これを素直に言ってしまうべきか。或いは、適当に頭痛や腹痛の仮病をでっちあげてしまうか。その場合、仮病だと悟られないようにするには、どういう話し方をすればいいのか、どんな感じにストーリー(作り話)を組み立てていくべきか。
それともいっそ、体調不良を理由に有給ごと消化してしまおうか。ああ、でもそうすると明日の出勤が気まずいかも…。
そこまで考えたところで、気づく。僕は、今や勤め人でもなんでもない。会社とはすでに(元社員という一応の肩書が残るとはいえ)無関係の人間である。わざわざ起床報告をするような義理も関係性も一切ない。
考えてみれば、一応、有休消化中だから籍くらいは残っているのか。まあ、何の役にも立たないけれど。
今までの思考が無駄であったことと、眠気が完全に冷めてしまったこと。そして無職の僕には、これからやるべきことが殆どないことを同時に自覚する。
…つまらない。暇だ。一応、退職後のちょっとした手続きであったり、親兄弟への報告相談は後でするにしても。無職という立場の人間に用意された有り余る時間と比べて、やるべきことがあまりにも少ない。 その事実に今更気づいて。ちょっとした寂しさと虚無感を覚える。
色々迷いはしたけれど、とりあえずは生活リズムを極端に崩さないようにするため。体調を崩して、保険証も返納したこの身分で病院にいくことを避けるため。
僕は、(既に時間が遅れてはいるが)いつもと変わらない朝を過ごすことにした。
朝食を食べ、用を足し、歯を磨く。キッチンで煙草片手に一服しつつ、傍らに用意したホットコーヒーを飲み干し、軽く体操をする。
いつもならここでスーツに着替え始めるわけだが、生憎会社へ行く予定もないのでパス。なんとなく気分転換でもしようと、シャワーを浴びてみる。人肌程度のぬるま湯で体を流し、一応、ボディソープとシャンプーで体と頭を洗ってみる。やはり、朝シャワーはサッパリするものだ。
ここにきて、なんとなく、さわやかな朝を迎えたような気分になった。
そして、シャワーから上がり部屋着に着替え。なんとなくやる気の漲った体で、皿洗いと洗濯を済ませる。続いて、掃除機もかける。間髪いれず、お次はトイレ掃除と風呂掃除。
…やるべきこと、終了。時計を見ると、まだ10時。とても清々しい気分にはなれたものの、暇な時間というのは、どうも僕の心を暗い方向に導いていくようで。というか、今まで生きてきた経験則上、そういうものなんだと無意識に自覚していて。
あらかた家事炊事を済ませた僕は、とりあえずの暇つぶしの手段を探しにかかる。
ゲーム機が目に入る。しかし、平日の昼間からオンラインゲームを楽しむのは、なかなか難しいものがある。
「ニートが昼間からゲームかよ」などという、よくある煽りは気にしないものの。そもそも僕は「やらされてる」感が嫌いな質であり、スタートからゴールまでで完結したRPGゲームや、ストーリーに沿ったアドベンチャーゲームの類はプレイしない。
そういう価値観を持ったのには、一応、ソフトウェア開発に携わっていたという事情もあるが…。とにかくそういうわけで、最近は対人型のオンラインゲームしかプレイしなくなっていた。
そして、今は平日の真昼間。そもそも今の時間帯にゲームをプレイしている人数は非常に少ない。できたとしても、どうせ海外勢とマッチして非常に回線状況の悪いゲームになるのが関の山。とりあえず、これは選択肢から外すことにする。
後の趣味といえば…散歩くらいか。あとで、どこか出かけることにしよう。昼食も外で摂ることにして、正午過ぎから出かけよう。そう決める。そういうことにする。
それまでは、何をしようか。
改めて考えてみると、僕には大した趣味がなかった。
友達と旅行に行ったり、家族で温泉に行ったり、魚釣りに行ったりすることはたまにあるけれど。日常的に、熱中して取り組んでるようなものは何もなかったような気がする。
気が向いたとき、ちょっと凝った料理に挑戦してみたり。たまにふとやる気が湧いてきて、筋トレに励んでみたり。思い立ったが吉日とばかりに、通販サイトで面白そうなものを購入してみたり。
日常的にスマホやタブレットで動画を見たりする以外は、本当にその程度。完全に無趣味とは言わないまでも、「これぞ」って趣味は持ち合わせていない。
結局何も思いつかず、半分思考を諦めて、ベッドに寝転がる。そしていつものように、スマホ片手に目的のないネットサーフィンを始めた。
色々なニュースサイトや情報サイトに目を通して、色々な情報が頭に入ってきた。最近起きた事故の報道、どうやら社会的立場の高い人間が交通事故を起こすも、その扱いが丁寧すぎるとかなんとかで不満に思っている人が多い、とか。無差別殺人が起きて、誰かのために身を挺して亡くなった人に賞賛と憐みの声、とか。
僕のなんともいえない複雑な心境が、無意識に明るいニュースを避けているのかもしれないと勘繰るほどに、入ってくる情報はどれも不安を煽ったり悲劇的な内容ばかりで。なおかつ最近やたらと増えた、転職エージェントや就活サイトの広告を目にするたび、なんとなく気持ちが落ち着かなくなって。
「楽しいから」ではなく、なんとなく「義務感」みたいなものに突き動かされている気がする。何かやろうにも、モチベーションが「したい」ではなく「しなきゃいけない」。
事務的な手続きだの、親兄弟への報告だの、考えるだけで気が滅入ってしまうのだ。
そんな時、ふと一枚の画像が目に入る。なんてことはない、ただの動物の写真。猫の写真。猫がベッドに横たわって、気持ちよさそうに寝ている写真。その寝顔を見て、なんとなく「これ、いいな」って思えた。
そういえば僕は、昔から昆虫だとか動物だとか、とにかく生き物が大好きだった。幼稚園の頃から図鑑を読み漁ったり、小学生の時もセミを捕まえて遊んだり、実家のご近所さんの家へ遊びに行くと、そこにいた大きな犬と遊んだりしてたっけ。
別に孤独な少年というわけでもなかったが、当時は友人と遊んだ時間と同じくらい、何かしら別の生き物と向き合っていた気がする。
そういうことを思い出し、なんとなく懐かしい気持ちになって。僕は動物や生き物の画像や特集記事を探し、しばし読み漁ることにした。
しばらく画像検索や情報収集に没頭したのち、僕は実際に犬や猫をこの目で見たくなった。
一番近くのペットショップは…どうやら、ここから何駅か離れたところにあるらしい。営業している曜日や時間を確認し、どんなペットを売っているのか一通り物色。
どうやら、犬と猫がメインで、少数だけウサギやハムスターなどの小動物を取り扱っているらしい。家からは電車を乗り継いで30分強と、そこまでアクセスが悪いわけでもない。
平日の昼間に出歩くことへ少しだけ抵抗を感じるものの。今のご時世「普通に」働いている人だって、平日が休みだったり有休使ってたり、夜勤なんてケースもあるわけで。よく考えてみると、別に珍しいことでも何でもないと気づく。
それでも湧いてくる僅かな息苦しさを無理やり押し殺し、出かける準備を整え、家を出る。
先ほど心に沸いた「何かをしたい」っていう「キッカケ」を、無駄にはしたくなかったから。
目的の駅につくまで、一度乗り換える必要がある。ちょうど13時を少し回った頃合いだったこともあり、乗換駅で昼食の摂れる店を探す。
時間が時間なので中々見つからなかったが、とりあえず空きのあるファストフード店でハンバーガーを注文。席に運ばれてきたそれを食しながら、スマホで行先の情報や猫の品種なんかをチェック。「ながらスマホ」は行儀の悪いものだといわれるが、どうせ一人なんだからだれにも迷惑はかからないだろう。
ついでに今住んでいるマンションの契約情報や入居条件等色々調べてみたが、入居当時はまったく気にしていなかったものの、問題なくペットが飼えることも確認。
…別に、買って帰ろうとまでは考えていないのだが。
食事が終わり、さっさと店を出て目的地行きの電車へ向かう。平日の昼間でも、仕事着や私服っぽい人など、また年齢層も様々な人が列をなしている。
僕自身は初めて見る光景で、「どうせ学生と主婦と老人ばかりだろう」と思っていただけに、少し意外に感じた。週末にもどこかへ遊びに行く機会の少なかった僕は、きっと見識が狭いのだろう。
そんなどうでもいいことを考えながら電車に乗り、目的の駅へ到着。途中喫煙所が目に入ったが、早く犬猫を見てみたいという気持ちが勝り、目的地へ急いだ。
* * *
店についてまず目に入ったのは、大量の展示用ケージ。左右にそれぞれ、プラスチック製の透明な板で仕切られたものと、全体を大きめの鉄柵で覆ったタイプのものがある。
そして透明な板越しに見えるのは沢山の子猫や子犬の類で、鉄柵の中にいるのは既に成体した個体に見える。ペットショップは幼少のころにハムスターを飼いに来た時以来であり、今回来るのが殆ど初めてではあるが。
そんな僕にでも、展示状況と値札に記された数字を見れば、鉄柵に入っているペットたちがいわゆる「売れ残り」であることは容易に理解できた。
つくづく残酷だと思える。命を金銭で取引するということではなく、その「商品価値」のあり方に。
一般に子猫ほど可愛らしく、飼い主に馴染みやすいとされている。そのため、生後経過した期間の短い個体が高値で取引され、逆に生後一定以上の期間が経過した個体は安く売り払われるらしい。
鉄柵の中の成体動物たちは、一体どれだけの期間をケージの中で過ごしてきたのか。
食べるものには困らないし、少なくともある程度健康的な生活が保障されていることは間違いないだろう。しかし、この狭い空間で他人の目に晒され続けてきたことを思うと、少しだけ胸が痛んだ。
丁度目についた成猫に目を向ける。値札には子猫たちの半値程度の数字が手書きで記され、品種にはミックス猫の雄と書いてある。茶色で落ち着いた毛並みの彼は、二階構造のケージの一階部分で丸くなり、ずっとスヤスヤ眠っている。
ケージの中を所狭しと活発に動き回る子猫たちとは対照的で、きっと長いこと退屈をしてきたのだろう。ずっとケージの中で、飯を食い、時々毛繕いをされ、時々お世話係の店員と戯れて。それ以外には特にやることもなく、ただひたすら惰眠を貪っているのではと想像する。
不幸とは言わないまでも、僕の目に「彼」は、何かを諦めているかのようにも見えた。他の成体動物たちも、頻りに小さく吠える一匹の犬を除いて、ほとんど同じ様子である。
とりあえず成体コーナーからいったん離れ、向かいの子猫・子犬コーナーを見てみる。犬より猫のほうが多数で、それはきっと「家の中で飼育する」スタイルの多い東京という地域の需要に適合させたものであろう、と雑に推測。
犬派とか猫派とかそういうこだわりはないが、なんとなく子猫たちの姿に目を奪われた。
マンチカン、アメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、ミヌエット、ロシアンブルー等、様々な品種の子猫たちが、ある個体は隅でぬいぐるみに組み付いて一人で格闘し、ある個体は落ち着きなくケージ内を歩き回っている。
またある個体は透明なプラスチック版越しに外を観察し、客の一人一人に目を向けている。やはり先ほど見た成体と比較して、元気の多い個体が殆ど。人間の子供と同じで、遊び盛りの落ち着きがない年頃なのだろう。
そのうち、アメリカンショートヘアの一匹が、僕のほうへ目をやっているのに気づいた。透明な板に両前足を立てかけ、顔をこちらに向けている。そして興味深そうな、無邪気な視線を遠慮なく僕に送り続けているのだ。
とりあえずひざを曲げて軽く中腰の体制になり、ケージに触れても問題のないことを確認して、軽く透明板に指先で触れてみる。その子は、鼻を押し付けてその指先を嗅ごうとする。そのまま指を動かすと、追いかけてきて前足で触れようとしたり、何とかして匂いを確かめようと頻りに鼻を擦りつける。
なるほど、この子は今、僕と遊びたがっているのだろう。しかし、あまり長く構っていると、何かしらのストレスを与えてしまうかもしれないし、他の猫たちを見てみたい気持ちもある。
僕は一度曲げていた膝を延ばして立ち、先のほうにある展示コーナーへ向かった。
一通り動物たちを見学して、とりあえず「動物を観察したい」「動物を見て癒されたい」という僕の欲求は満たされた。
落ち着きのない子犬やはしゃぐ子猫たちの姿を見て、なんとなく懐かしい気持ちを取り戻したような気がする。俗にいう、「目の保養」というものだろうか。…少し、というかだいぶ意味は違う気がするけれど。
とにかくペットショップの展示コーナーを一通り見終えた僕は、再び入り口近くの子猫・成猫コーナーへと戻ってきた。
とりあえず用は済んだので帰ろうか、それとももうしばらく居座って動物たちの様子を見てみようか。
ウィンドウショッピングの客も僕だけでなかったし、店員さんも接客や事務作業に没頭していて、特に迷惑そうでもなさそう。僕のような冷やかし客だろうと、この場にもうしばらく留まったところできっと許されるだろう。
この後の予定を考えていなかった僕は、何気なく子猫ケージの方へ目をやった。すると、再びあの子と目が合った。生後4か月の、アメリカンショートヘア。
正確には「目が合った」というか、子猫がこちらを注視しているのに僕が気づいた形。自意識過剰とかそういうのではなく、数いるお客さんの中で僕をじっと見ている。
僕と子猫の間を他の人が通過しても、子猫は視線を逸らさなかった。先ほど、その子とちょっとしたコミュニケーションをとったからだろうか。
それとも、僕に何か目立つ要素でもあったのだろうか。奇抜なファッションなどしていないはずなのだが。
その時僕は、どうしてもその子猫のことが気になって。実際に、触れ合いたく思えてきて。「すみません」と、店員さんに声をかけた。
「とっても元気のいい猫ちゃんですよ。少しだけ、いたずら癖があるんですけどね。」
可愛げのある女性の店員さんが、笑顔でケージを開けながらそんなことを言った。接客用デスクの近くに置かれた小さな椅子に案内され、少し待つと子猫を抱えた店員さんがご到着。
子猫を抱く際、首の後ろの皮を掴んでいるのが少し印象的だった。どうやら、人間の肘等と同じで多少強く摘まんでもそれほど痛みはない様子。
「ここを持って、抱っこしてみてください。」
「えっと…こんな感じですか?」
僕は、言われるがままに子猫を抱きかかえてみる。店員さんの真似をして、子猫の下半身を左手の掌に乗せ、右手で脇と胸のあたりを弱めに抱く。背中は僕の腹部に体重を預け、丁度僕の目の前で足を投げ出して座っているような状態。
子猫は思っていたよりもおとなしい様子だが、頻りにあたりを見回している。普段ケージに収まっているため、その外の世界は中々に珍しい光景なのかもしれない。
「思ったよりも軽いんですね。」
「そうですね、まだ子猫ですから。」
「手とか服とか、めっちゃ鼻おしつけてきます。」
冗談めかして、僕がそう言う。
「この子にとって、私たち店員は見慣れているかもしれませんが。お客さんは初めて見る方なので、猫ちゃんも興味津々なんだと思います。」
と、店員さんが返す。子猫と戯れて少しばかり感動している僕を見て、なんとなくうれしそうな顔をしているようだ。作り笑いという感じもあまりない。
この人はきっと、この仕事にやりがいやら楽しさやらを見いだせるタイプの人なのだろう、なんて考える。
抱きかかえている子猫に目をやると、じたばたしながら僕のネックレスを掴もうとしていた。それはそれは、キラキラした純粋で綺麗な目をして。
左右の手で交互にアクセサリーを引っ叩く様は、まるで幼子がテレビで見たボクシングを真似しているかのよう。
この子にとっては、とりあえず目についた「おもちゃ」で遊んでいるといったところか。
「いったん、降ろしたいのですが。」
子猫は、自由に動きたそうな様子。
「はい。」
子猫は僕にしがみついていたが、店員さんは慣れた手つきで子猫を抱えなおし、テーブルの上に開放する。
「確かに、いかにも遊び盛りって感じですね。」
「いつもこんな感じですよ。他の子よりも少しわんぱくで、じゃれて噛付くこともあるんですけどね。」
「じゃれるってレベルなら、心配なさそうですね。」
「噛むといっても甘噛み程度なので、怪我をするようなものではありません。一応、噛付いてきたときには軽く叱って躾けるくらいはしたほうが良いかもしれませんけど。」
「ちなみにこの子って、…」
そんなこんなで、この子猫について色々聞いてみた。店員さんはハキハキした口調で答えてくれて、この子猫の生い立ちや性格について色々知ることができた。
四か月ほど前に山陰地方で生まれ、同地のブリーダーの下で育てられたこと。子猫の中でも元気が良く、その上人懐っこくて遊んでやると体力が尽きるまで走り回ること。特に体調を崩したりすることもなく体重や健康状態も良好で、またトイレの躾けも完璧であること。
店員さんは動物たちの面倒見が良いようで、この子の細かい癖や撫でて喜ぶポイントなどいろいろな知識を得ているようだった。
その間、子猫はずっと僕とネックレスとに注目していて、近づいてきては僕のにおいを確認し、体を擦りつけ、また離れては近づいてくるのを繰り返している。
考えてみる。自分の今。家の状況。家計事情。実家の状況。親兄弟のアレルギーの有無。時期的に再就職のタイミングとして悪くない時期、それまでこの子を養うには問題ない程度の余裕はある。趣味にも大して金を使わないおかげで、同世代同年代の中ではかなり貯金がある。そして今の家も実家も、問題なく猫を飼育できる条件。
目の前では、店員さんが子猫を抱きかかえ、子猫は店員さんと僕を交互に見ている。
色々考えた末、僕は口にした。
「あの、この子って今日引き取れますか?」
僕は、猫を飼うことにした。