表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

9月2日 3

なんか、なろうとアクセスしにくかった気がしました。

9月2日 放課後


やっと今日の授業が終わった。

正直隣が気になって、全然授業が身に入らなかったな。

今日は、何としてでもスマホを買い替えに行かなきゃいけない。

とりあえず、ブンコの事も話したいし、ダイキに声かけるか。急ぎ足でダイキの席に近づいた。


「ダイキ、スマホ買いに行くの付き合ってくれよ」

「いやあ、今日は部活有るから無理だわ」


すげなく断られた。


「アイスおごるから着いて来てくれよ~」

「無理無理」


あっさり断ってくれるじゃないの。


「ブンコの感想ヨロ~って言ってたじゃねえか」

「RINEで送って来いよ」


やだ、冷たい。


「お前にはやはりガリガリ様で十分なようだな」

「何言ってんだ? そういや、スマホはちょっと型落ちが安いぞ。 後は……最近アンドロイドの方がいい。 らしいぞ?」


お前が何言ってんだ?

だいたいダイキのスマホ、アイヒョンじゃねえか?


「まあ、ブンコでも誘えばいんじゃね?」


適当にのたまって去って行きやがった。今のブンコにそんな事、簡単に出来たら苦労しねえわ。

……だが、だがしかし、ココは引いたらダメだよなあ。引かずに媚びずに顧みないよなあ。


ブンコの席に目をやると、ちょうどカバンを持って立ちあがろうとしていた。

1学期からブンコが通学に使っている、スポーツブランドのバックパックだ。おお、カバンは前と一緒だな。変わって無くて安心するぜ。

まあ、カバン以外ほぼ見た目が一新されてるけどな。

よし、行くぞ。


「あ、ブンコさん。 今帰りっすか? 奇遇ですね?」


揉み手をしながら話しかけた。全力愛想笑い付きだ。


「何よ? その話し方?」

「いやあ、スマホを買い替えに行くんですがね、お付き合いいただけないかなあ、なんて」

「ちょっと用事が有るから無理よ」

「あ、無理ならいいんすよ。 すんません」


すぐ諦めて、一人で行こう。こっから食い下がる力は俺には無い。


「待ちなさいよ。 スマホ、何にするの?」

「そもそもスマホが無いから調べて無い。 けど安いヤツ。 あんまり金無いし」

「……日本製の春モデルが安いらしいわよ。 世界のPONYのこの春のモデルよ。 クチコミもいいらしいわ」

「お、おう、サンキュー」


そう言って、ブンコは教室から出て行ってしまった。

なんだ?調べてくれたのか?やっぱり優しいんだよな。見た目がちょっと……いや、すごく変わったけど、中身は急に変わらねえよな。

よし、スマホ買い替えに行くか。



帰りの河川敷の土手を自転車で走る。

この河川敷を10分程行くと駅前だ。そんなに大きい町じゃないが、駅前に出ればKINOKOショップが有る。俺の家はちょっと電波が悪いので、シロイヌやBUより少し高いがしょうがない。

スマホが復活したら、とりあえず皆にMINEしなきゃなあ。


しばらく走ると、見慣れた背丈で、見慣れたカバンを背負った、見慣れ無い髪色をした女生徒が目に入った。ブンコ?……と、隣を歩いてるのは……誰だ?


メチャクチャ気になる。気になるけど……こんなの、声かけれねえよ。

なんて声かければいいのか、分からんわ。ブンコじゃねえかも知れないし。

横目に見ながら、黙って追い抜く。

ブンコさんですね。

チラリとブンコと目が合った気がしたが、特に何を言うわけでもなかった。

隣を歩いてたあいつは、確かバスケ部の2年でエースの人だったと思う。人気があるイケメンさんだ。

あいつが、ブンコの?いやいや、まだ分からんね。そんな、急にね。まさか、ね。



モヤモヤしたままスマホ屋に到着したが、待ち時間は1時間。

短いのか長いのかわからんが、とりあえずぶらついて時間をつぶす。


あと5分程で時間だな。近場の本屋でパラパラと立ち読みに勤しんでいた俺が、ショップに戻ろうと、書店を出た時の事だった。

……ブンコだ。またブンコを発見した。今日は御縁が有りますね。

2度目ともなれば、後ろ姿ですぐ分かりますよ。少し離れた交差点で、また別の男が隣にいらっしゃるね。

大学生くらいの男と話をしている。なんだかチャラそうな男だな。距離近くね?

アレが彼氏か?



またもモヤモヤしたまま、スマホ買い替え終了。

店員さんは最新夏モデルのアイヒョンを激押しだった。しかしせっかくダイキにもブンコにもおすすめされたので、型落ちPONYの黒のスマホを選んだ。確かに少し安かった。


「……ブンコ」


店を出るとブンコが歩道の柵に腰掛けて、俯いてスマホをいじっていた。


「あ、ジュンタだ。グーゼンだね」


今は男連れじゃないんだな。なんて口に出せるはずもなく。


「スマホ換えれた? 何にしたの?」

「これこれ、やっぱ古いとちょっと安いのな」


まだケースも付けていない、買ったばかりのスマホを見せると。


「ふーん……アタシのと同じヤツだね。 グーゼン。 もう行くね」


ブンコは自分のスマホを軽く振ってみせると、さっと立ちあがってどこかに行こうとする。

一緒のスマホはなんか嬉しいが、もう帰るのか?もうちょっと話がしたい。


「帰るんなら、一緒に帰ろうぜ?」

「この後、アカリと会うんだ」


すげなく振られ、ひとり自転車で帰宅した。



「みんなにRINEしなきゃな」


友人一同に、スマホを買い替えた事を報告した。

ダイキからは、もうゲロるなよ。アカリからは、おめでとうのスタンプが送られた。

クラスメート達からもボチボチ返信が来たが……ブンコ、既読スルー。


この後メチャクチャ不貞寝した。

1時に起きてチェックした。

既読じゃなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ