七話
「じゃあ、入りますね」
「どうぞ〜」
俺は天音さんの部屋に入った。
「戻りました」
「遅かったな恭助」
光輝がそう言う。そりゃトイレに五分、三枝さんと会ってからここまで十分かければ遅く感じるだろうな。いや、遅いか。うん、遅いな
「ちょっとトイレ行くのに迷ってた」
「やっぱトイレだよな」
「そうだとみんなで予想してたところだ」
「恭君、やっぱり方向音痴だよね」
「あはは……面目無い」
「そう思うのなら治してくれるとありがたいんだがな」
「うっさい!」
「まあまあ光ちゃんそんな堅いこと言わない」
「だから、光ちゃん呼ばわりする」「でも、恭君も治す努力をすること」
「はい」「無視するな!」
「光輝、天音さんは、こんな感じだからもう諦めなさい」
「京香さん……そんなぁ〜」
「ドンマイ。光輝」
光ちゃん呼びが治んないのがわかって結構落ち込んでる。天音さんの顔を見ると心なしか楽しんでいるように見える。姉貴は、苦笑している。
「ねえ、恭助君、私は入っていいの?待つにしては結構待っているよ〜私」
「あ、」
忘れてた。いかん、普通に忘れてた。三枝さんはちょっと不満気な顔して扉に寄っかかっている。
「「うわっ。誰!?」」ガタンッ
三枝さんが声をかけたのに対して光輝と秋は驚いている。姉貴は、あれ?姉貴は?
「いいわよ。三枝くん」
「ありがとう。天音ちゃん。恭助君、今私がいきなり声かけたことで、女の子が椅子から転げ落ちたから、ちょっと助けてあげて」
女の子?……姉貴のことだ、きっと
そういや、姉貴は、ものすごいビビりだった。お化け屋敷とかダメ系で、ゾクっもバッてのも一切合切ダメだから倒れたりしてしまう
「あ、姉貴〜大丈夫か?」
姉貴は椅子から落ちて頭をぶつけたらしく頭を抱えて床に転がってた。
「めっちゃ頭痛い。それに、心臓が止まるかもってくらいびっくりした」
「ごめんねぇいきなり声かけて。私の名前は、三枝ね。一応苗字は、碓氷ね」
「えっと、恭助君は、もう知ってるよね」
「ああ。わかるよ。かまいたちのだよね。苗字でわかったよ」
「流石三枝くん、博識〜」
「まあそんなのは嘘で、妖気で見分けたよ」
「あははは。だよねー」
「あ、でも、風谷の家自体は知ってたよ」
「そっか。じゃあ、紹介続けるね」
そう言って天音さんは姉貴の頭の上に手を乗せた。
「さっき椅子から転げ落ちたこの子は恭助君のお姉ちゃんの京香ちゃん。」
「うん……うん?」
「うん?どうかした?」
「いや、姉弟の妖気の質が違いすぎてちょっとね。てか、京香ちゃん、ほんとに妖怪?」
妖気の質ってなんだ?確か、姉貴は、妖怪じゃないって父さんが言ってたような。
「三枝さん、妖気の質って何すか?」
考え事をしていたら、秋が俺が最初に抱いた疑問を代弁してくれた。
「おっいい質問だね。化け狸の……」
「はじめまして。砧秋です。」
「砧?天音ちゃんがお世話になってる糸山妖怪共存会の会長の息子かな?」
「はい。親父と会ったことありますか?」
「ああ。ところで、天音ちゃん。私あったことあるよね?秋くんと」
「え?あ、そういえば、若が二歳くらいの頃に私が三枝くんを会長のとこに連れてった時にあってるか。年初めにうちに遊びに来た時に顔出させた記憶あるもの」
「だ、そうだから。お久しぶり秋くん。だいぶ妖気が安定したみたいだね」
「え?妖気が安定?」
「まあ、昔語りはいいとして、妖気の質ってのは高位の妖怪が見えたりするある意味、血液型みたいなものだよ」
「血液型?どういうことですか?」
「まあ急かすなって化けぎつねの……」
「浅間光輝です」
「光輝くんね。急ぐのはいいけど『急がば回れ』って格言あるし」
「わかりました。すいません」
「分かれば良し。じゃあ、話を戻すけど血液型ってのは、まあわかりやすく妖気を見ただけでこの妖怪だ!ってのがわかるんだよね。色がついたオーラ見たいのが、出ててその色でどの妖怪か見分けられる」
「「「へー」」」
俺たち3人組は理解できたから思わず口から「へー」が出てきた。我ながら、間抜けな反応だ。
「そんで?三枝くんには恭君と京香ちゃんはどんな感じに見えるの?」
「恭助くんのは風の色、黄緑って感じかな、かまいたち特有の。で、京香ちゃんはかまいたちの色も見えるんだけども〜濃い色の方は見たことがない色だからわかんない。っでちょっと人間の気の色に似てたから妖怪か聞きいたってわけ」