現代詩文庫
呪文のような詩と
それを解くような解説と
いったいなにを盛りあがってるんだか
私の庫にはない語彙だから
高橋源一郎が小説を書くのに全巻参考になると言ったから
蔵いこんでいたものを
おいおい繙いては吟味してきたが
小説を書く参考にならなかったのもそのはずで
この詩人たちはたいがい
小説家になりたくてなれなかったんだということのみが
たしかに感じられる手応えのなかで
直木賞と芥川賞を獲ったのは
直木賞のねじめ正一と
辻仁成は別にして
(詩人が芥川賞を獲ったのではなく
小説家が詩を書いたようなものだから)
清岡卓行と三木卓は別にして
(旧いから)
芥川賞の松浦寿輝くらいで
その彼らとて小説家というよりは
やはり詩人というべきだろう
不揃いの現代詩文庫虫干しす