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時限爆弾大爆発


ぶち殺してやる!


この一言が口に出せないものだ。

ふらふらと一直線上に足並みを合わせて漂っていたら、

いつの間にか手の動かし方というものを忘れてしまっていた。

気が付いたら指すらなくなって、

今では皮膚に覆われた丸い大きな肉の塊が腕の先にへばりついている。

手ということすら忘れてしまった。

焦点定まらない目が上下左右、目的を探すように辺りを確認し始めると、

私のお隣に人がいることが分かった。

私とともに、ふらふらと一直線上にただずむその人を確認した。

どうやら男のようだ 幸薄で よーく見ると髪は長くてぼさぼさ

ホームレスみたいな風貌と言えばみんなが分かるそういう男だ。

足は終わりなくひかれた線の上をふらふらと行ったり来たりを繰り返している。

たまに足をつけたかと思うと、またふらふらと行ったり来たり。

しばらく彼を観察してみることにした、じっと見つめ続ける。

いつの間にか大きな肉の塊には指が生まれて手の使い方を思い出した。

ぎゅっと握りしめたこぶしからは一滴の水滴が流れ落ちた。

次第にこのふらふらとした落ち着きのない足取りはじつはゆっくりと、

前へ前へと進んでいることに気がついた。

その瞬間、私の頭の中に突然、彼に対する反抗的な、

押さえつけることがどうにもできない不快感が芽生え始めてきた。

辺りを見回しても何も見当たらないと思われる、

一直線の上。

せっかく思い出した指の形、器用に第一関節、第二関節としっかりと動かせる。

ごくりとのど元を唾が駆け抜けたその時、額から一滴の水滴が流れ落ちた。


ぶち殺してやる

この一言が出せないものだ…









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