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聖人君子が堕ちるまで  作者: 澤田とるふ
第3章 国軍時代
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第31話 捕獲作戦開始

短めなので連日投稿!

「じゃあ、報告してくれ。」


 声をあげたのはカシムだ。

 ここは、ドミニク園の食堂。

 席にはイレーゼ、ローラ、ミア、ララ、ライラが座っており、前に立つカシムの隣にはワッカーとチルが並んで立っていた。


「7日間で調べたウキエ・サワ氏の情報を報告します。」


 カシムに変わって前に出たのはワッカー。いつものように露出の少ない格好に、顔を隠すフードとマフラーも健在。だが、普段無口な彼も報告のときは饒舌だ。


「現在、彼は第四師団に所属しながらも王室特別対応という文官の仕事をしています。内容はよくわかりませんが、王城からほとんど出ることもなく、彼の仕事に関する周辺はほぼ洗えませんでした。」


「何も情報がねぇってことか?」


「そもそも王城に部屋があるようで、出てきませんので...。聞き込みの結果ですが、例の仮面の者達が現れてから彼が王城を出る回数が極端に減っています。家にも長く帰っていないようですね。」


 おもったより残念な報告にカシムが落胆のため息をつく。


「その代わり、少し気になることがわかりました。」


「どんなことだ?」


「はい、どうやら最近話題の仮面の4人組みに関して、彼らの指揮をとっているのがどうやらウキエ・サワ氏であるようです。」


「なぜそんなことがわかった?」


「はい、例の仮面の4人組みに付き添う文官達なのですが、どうやらウキエ・サワ氏の部下のようで、更には1度だけ仮面の者達2名と王城を出ることがあったのですが、その際にも2名に命令している姿が確認されています。」


「仮面の4人組か...。」


「ただ、最近は王城から1人で出てくることはなく、王城内で寝泊まりしているとなれば捕獲は不可能ではないかと。」


 イレーゼの依頼で調べた結果を報告する。

 要するにほとんど何もわからなかった上に、ウキエ・サワに接触することすら困難であるとう。


 3日後には金貨を持った使者が来る。

 それを捕まえるしか手がないとイレーゼは決意を新にした。


「ミア、ララ...こうなったら金貨を渡しに来た人を捕まえるしか...手伝ってくれるのよね?」


「わかったにゃ。」


「いいの。」


 イレーゼにミアとララが頷き返す。


「おっと、それなんだけどな。」


 そこにカシムが割って入った。


「その捕獲、俺とライラ、あとチルも手伝うことにした。」


「いいんですか?」


 イレーゼがカシムの方を向いた。


「あぁ、今回なんも情報なかったわけだしな。元々チルに手伝わせようと思って呼んだんだが、俺とライラも手伝ったほうが確実だろう。」


「ありがとうございます。」


「まぁ、大船に乗ったつもりでいてくれ!なんていってもチルは捕獲のスペシャリストだからな。」


 カシムの紹介に、隣に立っていたチルが頭を下げてから自己紹介した。背丈はミアと同じぐらいだが、幼児体型と揶揄されることが多いほどツルペタで、本人も気にしているため、髪型は茶髪の長髪を後ろでまとめて大人っぽく演出しており、化粧も大人っぽいメイクをしているミスマッチな女性だ。だが美人よりは可愛いという印象を持つ人の方が多いだろう。いっそ化粧なんてしない方がと、言われることも少なくない。


「どーもー。スペシャリストのチルです。”不甲斐ない”諜報担当の代わりに頑張るので期待してくださーい。これでも捕獲に関してはうちの傭兵団でもトップ成績のチームリーダーでーす。」


「......。」


 チルの言葉にワッカーの眉間に皺がよる。だが、顔がほとんど隠れているのでそれに気づいたものはいなかった。一応、機嫌が悪くなったことは、長い付き合いの者にはわかった。


「さてと、とりあえず大まかに作戦を立てていきましょうか。いつもはどうやって金貨が届けられるんですか?」


「えっと、普通に城の兵士の方が届けに来てくれます。」


「毎回同じ人ですか?」


「いえ、毎回違うと思います。あまり意識して見てませんでしたけど、そういう印象はありませんでした。」


「時間は?いつも同じ時間で?」


「それは同じぐらいです。だいたいいつも昼ぐらいですかね。」


 チルの質問に答えていたイレーゼがローラの方を向くと、ローラも頷く。


「だいたい昼ですね。一度だけ夕方もありましたが...。たぶん私達が留守だったからかと。」


ローラの答えを聞き、チルが更に質問を続けた。


「届けられた時にサインか何か書くんですか?」


「いえ、届けてくれる方と、サインをもらいにくる方は別々です。その日の夕方ぐらいにサインをもらいに来ます。」


「なるほど...なかなか用心深いですね。」


チルが考え込むように顎に手を当てた。


「用心深いですか?」


 イレーゼが首を傾げる。


「ええ、要するに届ける兵士がチョロまかさないかを別の兵士が確認するということですよね?そして届ける兵士も交代してる。確実に金貨を届けるための配慮ということです。もしかすると、届けるのを隠れて見守っている兵士もいるかもしれませんね。」


「なるほど...。」


 チルの説明にイレーゼが頷く。

 そこにライラが疑問を投げかけた。


「ちゃんとしているということだろう?今回の捕獲任務に何の関係があるんだ?」


「...今回は金貨の数が破格です。」


「なるほど...300枚なら兵士が一人で気軽に持てる重さじゃないな...。何よりそんなもの持ってたら目立つ。」


「そういうことです。もしかするとそれなりの人物か、兵士が大人数でくるかもしれません。」


「最低でも2、3人にはなるということか。」


「いえ、護衛も必要でしょうから、もっと多いかも。もしかすると馬車の可能性も...。団長!」


 チルの声にカシムが驚く。


「な、なんだ?」


「人員を増やせませんか?私の部隊の子達を連れてきたいのですが...。」


「おいおい、あんまり騒ぎにしたら...。」


この提案にはカシムも眉を潜めた。

園に迷惑がかかっては意味がない。何より目線はローラの方に気を使っている。


「大丈夫です。情報を聞き出すだけなら数分ですし、外に漏れないよう、園内で終わらせましょう。」


だが、チルは自信ありげにカシムを見る。


「本当にできるのか?」


「問題ありません。」


チルの言葉にカシムは無言で頷いた。信用に足ると彼は判断したらしい。

 だがこの会話に終始不安な顔をしていたのはローラだ。


「あの、さすがにあまり騒ぎになると...。」


「大丈夫よ。ローラ姉さん。ちょっと行方不明の馬鹿のことを聞くだけなんだから、別に喧嘩をふっかけるわけじゃないわ。相手は国軍、そんな危ないことしないわ。」


 ローラを止めたのは、まさかのイレーゼだった。

 本来は園で騒ぎが起きる可能性を忌避する立場のはずだ。


「相手の人数によって何パターンか考えておきます。安心してください。別に暴力に訴える必要なんてありませんよ。」


 チルが自信有りげにニヤついた。




 作戦当日、園の子供たちはみんなローラと一緒に2階奥の部屋に。

 イレーゼとミア、ララ、ライラが一緒に食堂に、カシムは念のため、2階に続く階段の上で待機。

 チルの部下達数名が園の周辺に配置された状態で、その時は来た。


 玄関が空き、中の人を呼ぶ声が聞こえる。

 打ち合わせ通り、チルが対応するが、その顔には動揺が広がっていた。


「イレーゼさんかローラさんはいらっしゃいますか?」


 そう告げたのは、ウキエ・サワ。

 3日前、ほとんど外にでることがないと報告されていた張本人が目の前に立っていた。

 それも、すでに契約の嘘がバレているのはわかっているはず。

 にも関わらず堂々と訪ねてきたことに、驚きを隠せなかった。そして、もう1つ予想外のことがおこる。

 ウキエ・サワの後ろには仮面をつけた同行者2名立っていた。他に同行者はなく、想定していた大がかりな受け渡しではなく、ウキエ・サワがいることを除けば、たった3名での訪問だった。


想定外の事態。

だが、チルは慣れたもので、今まで想定していた計画をすべて捨て、すぐに切り替えて対応を始めた。


次からは基本各日で投稿します。

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