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聖人君子が堕ちるまで  作者: 澤田とるふ
第2章 傭兵団時代
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楽しいお買い物

 休みの日、孤児院でのんびりしていたら、急にミアとララが来た。

 たまに年少組の相手をしに来てくれていたが、いつも事前に僕がイレーゼに予告してしたので、急に来ることはめずらしい。

 それに2人揃ってくるのも意外とない。


「買い物にいくの。」


「装備を揃えるにゃ!」


 2人ともなぜかやる気まんまんという雰囲気だ。

装備?急にどうしたんだろ?


「いらないよ?ミアがいるからいいって前もいったよね?」


 お金を無駄に使いたくないので、前と同じ手で誤魔化すことにする。


「そ、それはそうだにゃ、あれ?だったら買い物はいらにゃい?」


「ダメなのっ!」


 残念。ミアはのせれそうだったけど、 ララの邪魔がはいった。

今回は簡単にごまかせないらしい。どうしようかな。


「それに、お金のことなら心配ないの。」


「そうだにゃ!ダンチョーが出してくれるっていってたにゃ。」


 団長が?ということはタダ?

 タダと言われると、あってもいいかなという気になる。

 でも、なんで急に?...わからないから聞いてみよう。


「それは嬉しいけど、なんで急に?」


「それはわからないの。」


 ララも知らないらしい。


「団長はきてるかにゃ?」


 ミアが聞くのも無理はない。

 団長を捕まえるには、酒場か孤児院ウチといわれるぐらい団長はローラ姉さんがいるウチに入り浸っている。


「来てるよ。ローラ姉さんの部屋にいる。」


 そう、そしている場所もたいていローラ姉さんのところだ。お目当てがローラ姉さんだから当然だけど。

 最近は更に来る頻度が増えてきた気もする。


「じゃあ行くにゃ。」


「うん。」


 ミアとララを連れ立ってローラ姉さんの部屋に移動する。

 ノックをして入ると、そこにはベットに座るローラ姉さんとその両脇にイレーゼと団長がいた。

 団長はあいかわらず顔を赤く染めてまごまごしている。

 わかりやすい人だな...ほんとに。

けど、ローラ姉さんも楽しそうだ。こんなに楽しそうなローラ姉さんは久しぶりにみた気がする。...よかった。


「だーんちょーサイフをもらいにきたにゃ!」


「とっとと出すの。」


 強盗か...。


「な、なんだいきなり、なんで俺が財布をとられなきゃいけねぇんだ。」


 さすがの団長も狼狽している。


「アレイフの装備買ってやるっていってたにゃ。」


「これから買い物に行くの。」


「あぁ、そういうことか、ほらよ。あまりは返せよ?」


 そう言うと、団長はあっさりと財布らしき巾着をララの方に投げた。

 え、そんなあっさり投げていいの?

 ララが受け取った時、重そうだったのでけっこう入ってる気がする。


「あの、アレイフの装備って?」


 ローラ姉さんも気になったようだ。


「あぁ、うちの仕事は...その、なんだ。」


 団長が言いよどむ。

 ローラ姉さんやイレーゼには僕が討伐任務などをしていることまでは言ってない。

 団長もその隠し事に付き合ってくれている。

 本当のことをいったらきっと、心配されるから協力してもらってる。


「パーティでお揃いの装備を買うの。」


「うちの傭兵団ではお決まりだにゃ。」


 ララとミアがいいフォローをいれた。

いや、たぶんそこまで考えてのことじゃないと思うけど、助かった。


「そ、そういうことなんですよ。なんで、入団祝いを兼ねて俺が買ってやろうとね。」


「いいんですか?」


「安いもんですよ。気にしないでください。」


 そういって団長は笑う。

 けどわかっているんだろうか。

 ララとミアはごまかす為に、お揃いのものを買うといった。

 あれは、僕の装備と同じものを自分達も新調するということだ。

 しれっと自分達の分も団長に出させることを正当化してる。

 団長のサイフはたぶんものすごく軽くなって返ることになるんじゃないだろうか...。


「あ、アレイフ。」


 そこまで黙って話を聞いていたイレーゼが声をかけてくる。

 ミアとララはさっさと出て行こうとしているところだった。


「ん?なに?」


「わるいんだけど、ローラ姉さんに櫛も買ってきて。壊しちゃって。」


「わかった。どんなのでもいい?」


「そうそう、お金は「まった。」」


 団長が声をあげる。


「櫛なんて安いもんだろ?さっき渡したやつで買ってきな。」


 団長がキメ顔で僕に言い放った。


「それは申し訳ないわ。」


「気にしないでください。櫛程度、ほら、アレイフお前がいいのを選んでこい。よさそうなのがあれば何本か買ってきてもいいぞ!」


 団長がローラ姉さんにいい笑顔を見せる。

 対面のイレーゼがニヤリと悪い笑みを浮かべていることに気づいていないみたいだ。イレーゼは本当にこういうところがしっかりしてる。

今櫛のことを言い出したのもたぶん計算だ。


「早く行くにゃ!」


 僕は苦笑いしながらミアに手を惹かれて部屋を後にした。





 装備といってもいろいろある。

 ミアは双剣と軽装の鎧。胸当てっていうのかな?あと篭手みたいな腕を守る装備をつけてる。

 それに対してララは杖と、ローブ。あとブレスレットなんかのアクセサリーをたくさんつけてる。

 よく見てみると、素材はわからないけど、初めて会ったときより装備がずいぶん豪華になってる気がする。


 僕は何をつけるべきなんだろう?


「アレイフは私と一緒で魔道士だからまずはローブからなの。」


「でも、あちしより前に出ることもあるから鎧じゃないかにゃ?」


 そこでミアとララがにらみ合う。


「ローブなの。」


「鎧だにゃ。」


「ローブ。」


「鎧。」


 言い合いが始まってしまった。

 関係ないわけじゃないけど、往来のど真ん中でやめてほしい...。


「アレイフはどっちがいいの?」


「鎧のがいいにゃ?」


 ついにこっちに飛び火した。

 どっちでもいいんだけど。


「どっちだろう...ミアの言うとおり、鎧の方がいいのかな?」


「むぅ。」


「そうにゃ!このフルメタルとかどうにゃ?カッコイーにゃ。」


 ララが頬を膨らませた。

 そしてミアが指さしたのは、全身甲冑だ。

 いや、重いよ。そんなの着たら動けないし、そもそも僕のサイズはないよ。


 結局ミアと同じような胸当てを探すことにした。

 ミアの機嫌がいい気がする。鼻歌を歌ってるから間違いなさそうだ。

 対して、ララの機嫌が少し悪い...。


「ねぇ、杖もつのってなんか抵抗あるんだけど、ララが付けてる指輪とかブレスレットのアクセサリーも何か効果があるの?」


 僕がそうきいたのは、初めてあった頃より、ララの手についているアクセサリーの数が増えていたからだ。


「これ?」


「そう、それ。」


「これは魔力を高める効果だったり、属性値を上げたりするの。」


 ララの説明では他にも魔力収束力を高める(発動時間短縮する)指輪もあるらしい。

 魔法使い特有の装備みたいだ。

 相殺されないような効果ならいくつつけてもいいらしい。


「杖じゃなくてそういうので補えないかな?」


「大丈夫なの、いいのをつければ杖なんかもつ必要なくなるの。もちろんあわせて杖を持った方がいいけど、アレイフは今なにもつけてないからアクセサリーだけでも新感覚のはずなの。」


「じゃあそういうのがいいな。」


「それならオススメの店があるの。」


 ララの機嫌も治ったみたい。...よかった。

 ミアはあいかわらず下手な鼻歌を歌いながら前を歩く。


「3人お揃いのものもなんかほしいにゃ。」


「私とミアに共通する装備になるの。」


「例えば?」


 僕の疑問に2人が考えこむ。


「ハチガネとかどうかにゃ?頭守るのは大事にゃ。」


「ペンダントもいいの。身の守りならミアにも関係するの。」


「それ、効果がでたら壊れるんじゃにゃいか?あちしだけ頻繁に壊れにゃい?」


「魔法使いがハチガネなんてつけないの。」


 またにらみ合う2人。

 たぶん、戦士と魔法使いで共通の装備なんてあまりないんだろうな...。

 また往来で揉めそうだったので、僕が妥協案を出した。


「あそこに売ってるバンダナは?」


「バンダニャ?」


「青いやつなの?」


 店先にあるのはただのバンダナ。

 ファッションアイテムだ。

 頭に巻くもよし、腕に巻くもよし。

 ただし、普通の服と同じでなんの付加効果もない。


「効果はないけど、悪くにゃいかも。」


「装備...ではないからファッション?そういうのもありなの。」


 意外とあっさり通った。


 結局3人共通の装備は青いバンダナ。

 3人とも左腕につけることにした。

 なぜかミアとララがそこにつけるものだと主張したからだ。

 たぶんだけど、傭兵団の誰かがやってるんだろう。


 そして、僕の装備も決まった。

 防具はミアとお揃い。アクセサリーはララとお揃いになった。


 なんかどっち付かずで半端な装備な気がするけど、ミアもララも満足そうだからいいか。


 ローラ姉さんの櫛は2つほどいいのを買った。

 装備より先に買っといてよかった。

 なぜって?

 装備買ってるとお金が足りなくて、結局傭兵団御用達の店だったこともあり、団長のツケになったから。


 後で請求書に驚く団長が目に浮かぶ...。

 僕だけなら大丈夫だったんだけど、ミアとララも装備を新調したから仕方ないよね...。


二人とも上機嫌で往来を歩いている。少し後ろから歩く僕もなんだか楽しくなって、二人が唄う変な鼻唄を一緒に鼻ずさんだ。


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