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地方大会に向けて

対戦が決まってから

 伊藤達が、

 四之宮学園の

 情報を集めてきた。

 「エースの倉田は左の本格派で、

  140キロ代の後半の

  スピードボールを投げる。

  身長、体重は185センチで80キロ。

  球種はストレート以外に、右打者の

  懐に食い込むスライダー。

 フォークボール。

  左打者が思わず仰け反るような

  大きく割れるカーブもある」 

 「打線は、これも左の4番の黒田が

  中心だが、打順で言えば、

  1、3、4、5、7と

  5人も左打者をそろえていて、

  全員、足も速い」

 監督の安田は、四之宮学園の情報を聞いて、

 左の坂本を先発させる事に決めた。

 坂本も、田所と西城の影に隠れているが、

 大きく成長している。

 相手チームもノーマークだろうという

 考えだった。 

 雄介たちは黙々と、150キロに設定した

 マシーンを打ち込んだ。

 星村学園の外山と対戦したことで、

 早い球には慣れている。

 

 問題は、倉田が左投手という事だった。

 県内に左で、

 倉田のようなタイプの投手はいなかった。 

 雄介は坂本や田所、西城とも

 四之宮学園打線の左打線に

 ついて話し合った。

 坂本は、

 「俺はとにかくいける所まで

  目一杯飛ばしていく。

  後には、田所と西城がいるからな」

 と言って笑顔を見せた。

  

 雄介にも坂本の左打者の

 アウトコースに逃げていく

 スライダーはどんな強力打線にも

 そんなには打たれないだろうという

 自信はあった。

 「お前は、うちの秘密兵器だからな」

 と田所と西城も坂本の肩を

 励ますように叩いた。

 

 毎年、持ち回りで行われる

 地方大会の今年の球場は、

 F県の隣のN県の

 県営球場で行われる

 事になっていた。

 雄介たちは試合の前日の土曜日に

 日曜日の9時開始の第一試合に

 備えて、学校を出発した。


 昼過ぎに宿泊所に付くと、

 二人ずつに割り当てられた、

 部屋に荷物を置いて、

 近くの球場に最終調整に向かった。

  安田は練習後に言った。

 「この試合に勝てば、

  甲子園が見えてくる。

  負ければ、甲子園にはいけない。

  ただ、俺がこの場にこれたのも、

  お前達のチームに巡り合えたからだ。

  明日の試合は、お前達の力で勝ち取った

  大会なのだから、どんな結果が出ても、

  悔いのないように思い切りやってくれ」

 安田も竹村も普段の厳しい表情とは違う

 笑顔を見せた。 

 主将の伊藤も、

 「俺達が学校の新しい歴史を

  作るという気持ちでやろうぜ」

 と言って、選手全員を盛り上げた。


 雄介はその夜、妹の照子の事を考えていた。

 (お前のためにも必ずやるからな)

 心の中で、そう呟き続けた。

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