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新メンバー発表

「一番センター三島、2番セカンド山中、

 三番サード三上」

 安田が名前を読み上げていく。

 「4番ピッチャー西城」

 選手達から驚きのどよめきが起きた。

 雄介が田所を見ると、

 非常に厳しい表情で、

 安田を見つめていた。

 

安田の読み上げは続いていく。

 「5番キャッチャー沢田。

  6番ショート井口。 

  7番ファースト上田。

  8番レフト坂本。

  9番ライト山口」

 坂本と山口のところでも、

 どよめきが起きたが、

 雄介には安田の考えがよくわかった。

 リリーフ専門になった坂本は、

 元々、直ぐに肩が仕上がるタイプだ。

 そして最近、バッティングでも急成長を、

 見せている。

 試合に出ていた方が、流れに乗って、

 マウンドに上がれるという考えだろう。

 9番の山口は一年生ながら、

 チーム一の俊足だ。

セーフティバントも非常に上手い。

 外山のような投手を崩すには、

 欠かせない選手だ。

 

 安田は一通り、読み上げると

 付け加えた。

 「いつも言う事だが、これで、

  決まりという訳ではない。

  今後の練習によって、

  どうなるかわからないぞ」

 雄介には、安田の言葉が、

 今まで背番号1を背負う事が

 当然と思われてきた田所に

 言っているように聞こえた。 

 

 練習後に、主将の伊藤の提案で、

 選手同士によるミーティングが

 行われる事になった。

 伊藤が厳しい表情で言った。

 「大塚や照ちゃんにも協力してもらって、

  俺達のライバルになりそうなチームを

  分析してみたが、

  今年から来年にかけて、

  警戒しなければいけないのは、

  星村学園だけじゃないぞ。 

 K大付属の新エースになった後藤投手は、

 甲子園に出場した斉藤と似たタイプの

 投手で侮れない。

 変化球の切れは、斉藤以上という評価もある。

 後、公立校では、宮田高校に、

 プロも注目しているという

 エースで4番を打つ

 菅野という選手がいる。

 今の所は、彼のワンマンチームといっても

 いいだろう。

 他には、まだ、調査中だが

、神尾高校に黒田と

 いう相当速いボールを投げる投手がいるそうだ。

 後は、俺達同様、主力が下級生でこの夏の

 大会で、ベスト8にまで残った米田高校。

 この学校は、全体のレベルが高い」

 

  伊藤は最後に、

 「皆、練習で悩んだり、監督に言い難い事が 

  あったら、何でも俺に相談してほしい。

  チームのために何でもするつもりでいるから」

  伊藤の表情には主将としての責任感が

  にじみ出ていた。


 翌日から、

 一番、練習に精を出し始めたのが、

 田所だった。

 西城に背番号1を譲ったのが、

 相当、悔しかったのだろう。

 雄介がストップをかけるほどの投げ込み、

 走り込みを続けた。

 近隣校との練習試合でも、

 相手打線を一安打に完封して見せるなど、

 懸命に成長をアピールするピッチングを続けた。


 救急箱を持って、一人一人の選手を励ましながら、

 グラウンドを走り回っていた照子が、

 目まいを起こして倒れたのもそんな時だった。

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