表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/31

5話 最終野外実習

「ユーレアがリーダー向きだろ?」


「無理。集団行動系の課題で揉めてばっかだった。言い方キツいから向いてなさ過ぎ何だ・・」


思い出してヘコみだすユーレア。


それから軽く協議したが皆やりたがらなかったから今回のパーティーリーダーは俺になった。まぁいいけど。


「よ~し、話してる内に残りコース3つになったまったから取られる前に行こう!」


貸与の魔力式懐中時計で確認。午前8時半過ぎ、俺達は向かって左から3番目の林道へと進入を始めた。



林道の途中の脇にチラホラある草地には弱いモンスターしかおらず、薬草や山菜等の無難な素材を回収できるが、単価が安く、採取作業もそこそこの手間。

何よりまとまった額を得るには繰り返す必要があり、消費アイテムの枯渇やいかにもすぐ壊れそうな石器装備の破損リスクも何気に高かった。


そこで・・


俺達が向かったのは森の中の崖。そう深くもないが、ここは飛び回るキラーモモンガの巣になってる。


手信号で仲間に合図。一斉に癇癪玉を投げた。パニックになり、半数は落下させたところで、


「ロックショット!!」


ラダが石弾を放つ魔法で追い撃ちし、ここからは崖上からの遠距離攻撃(ギムオンは投石)で比較的楽に掃討できた。


「よっし」


石矢じりの矢を撃つクロスボウの構えを解く。キラーモモンガは細かく解体すればあれもこれも売れるが、取り敢えず尻尾と鬣だけかな?


ちょっと採取が大変だが、ここの崖は地形的にいい素材が採れると踏んでいて、これがドンピシャだった。


土、鉱石系素材が多く採れ、土系素材で地霊石(ガイアジェム)2個をラダが生成しても、尻尾と合わせて15万ゼムにはなった!


「ガイアジェムをゲットしましたが、魔法石の欠片は皆から預かった僕とヤポポの2つずつ、だけです」


「癇癪玉も、もう無いよ?」


「まだ11時過ぎであるし、残金からすると、そう無理をする必要も無いかもしれんぞ?」


「お腹空きませんか? キラーモモンガは食べたくないですがっ」


「ん~、野営できそうなとこまで移動して休憩だ! キラーモモンガは下処理が面倒だから食べないが、拾った山菜何かは食べようぜ? 棒状糧食だけじゃな」


魔除けの林道まで戻り、目星を付けていた林道脇の簡素な野営地(石積み炉と衝立と汲み取りトイレくらいはある)で昼休憩を取る事にした。



スープありでもモソモソした飯の昼休憩後、俺達は森の湿地に向かった!


想定の獲物の個体数が4体を超えていたら、他に不確定要素が有ったら、よして大人しく制限時間ギリギリまで薬草拾いに専念。という心積もり何だが、


いた。


高価な素材が採れるポンズンヒポポタマス『3体』が湿地の草や苔を食べてる。


周囲に不確定要素特に無し。乾いた土の森の際からそう遠くも無し。


物陰に潜んでる全員の視線が俺に集まる。俺は手信号で伝えた。『決行』と。


「ブレッシング!」


茂みから立ち上がって運気を上げる魔法を全員に掛けるヤポポっ。


ギョッとしたポイズンヒポポタマスに近く木の枝の上にいるユーレアがパチンコで小石を連打して挑発!


激昂して駆け込んできたポイズンヒポポタマスが乾いた土のエリアに入った辺りで、


「ロックショット!」


ガイアジェム2個を使って猛烈な石弾を浴びせ、3体の突進を止めると共に大ダメージを与えるラダっ。


「行くぞっ!」


「おうっ!!」


俺とギムオンは茂みから飛び出て突進するが、いい距離で一旦を目を庇う。そこへ、脱出用以外の全員分を預かっていたユーレアが光り玉を纏めて投げ付けて炸裂させ、閃光でさらに無力化させる。


俺とギムオンは突進し、そのまま乱戦になったっっ。


毒気を吐きカバとワニの中間ようなボイズンヒポポタマスは強力だが、ここの足場は確かで、相手は損耗し、しばらくは視界も奪われていた為、俺とギムオンは仲間の援護を受けつつ2体続けて倒し、残る1体!


「ぬっ?」


魔力を込めて使っていたがギムオンの護拳(ごけん)武器、石器のサックが砕けてしまったっ。だが流れは止めない! 俺らギムオンの肩を踏み台に飛び上がったっっ。


苦し紛れに吐かれた毒の息の直撃は甲羅の盾で防ぐ! とっくに毒の状態異常は喰らってるがっ、視覚確保と咳き込みで体勢を崩すのは避けるっ!


ヒビ入ってる石器の小剣に魔力を込め、


「でぁあっ!」


片手剣特技(スキル)猟犬(りょうけん)斬り』で眉間を叩き割って仕止めた。


んがっ、


「オロオロオロ~~っっっ」


石器の小剣も砕けたが、毒状態で暴れたせいで思い切りリバースしちまった。


「マサル君! 毒消し毒消しっっ」


ギムオンに手当てされなかったら即、逝っってた。甘めの見積りだったな、と・・



ともかく高価素材を回収した俺達は計70万ゼム越えを稼ぎ、


「稼いだが、装備と消耗品の消費が著しい。よって差し引きクソ凡庸っ!!」


と教官に評価された。

ん~~。ま、補習は回避だっ。よし!



それから約10日後、最終的に脱落せずに残った俺達今回の春季2次受講生23名は、式服を着て、訓練所の講堂で履修完了式に参加していた。


壇上ではマーリク市ギルドのギルドマスター、兎人(ワーラビット)族の女コトネ・ファイアトーチが祝辞を述べてる。


「・・様々な道がある事でしょう。私からは2つだけです。1つは『お金は大事だぞ?』もう1つは『勇気あれっ!』。本当に、 履修完了おめでとぉ~う!!!」


「「「うぉおおーーーっっ!!!」」」


俺達は単純に盛り上がり、


「クソ静かにしろっ、まだ連絡事項がある!」


例によって怒鳴られ、式帽を一斉に頭上に投げたりしつつ無事、訓練所から卒業していった。


1番下の7級だが戦士職で登録できた。これからどーすっかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ