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マサル・ヒースヒルの冒険記  作者: 大石次郎


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30話 湖畔でマッスル 1

夏だし、


「水辺のリゾートっぽいとこでクエストしてみよう!」


となった俺達は奮発して、活動を開始して初の転送門(てんそうもん)(遠くへ空間転移するヤツ)で、マーリク市からめちゃ遠い隣の領の『ワービ湖』に来ていた。


支払いを終えて転送所(てんそうじょ)から出ると、


「「「おーーっっっ!!!」」」


高台にあるワービの町の中でも高い位置にある転送所からは、高台の下にある夏の日差しに煌めくワービ湖が見下ろせた! 風が涼しいっ。

湖畔の漁業や観光、旧村跡、この領の冒険者ギルドた領兵関連の施設、あとはたぶん魚人(ワーフィッシュ)族の拠点(古風で神殿っぽい)何かが見えた。


「これは来て良かった気がしてきたぞっ?!」


「転送門代、ギルド割引でも『片道20万ゼムちょい越え』だけどね・・」


「「「・・・」」」


上がったテンションを速攻下げてくるユーレアっ。


「ま、それはそれだ! 仕事の当てはあるっ。今日明日はマサル隊は観光だぁーっ!」


「やたーっ、です!」


「休暇明けにすぐ観光というのもどう何でしょうね?」


「ふむ、湖で泳ぐか?」


「ええっ?」


「皆、はしゃぎ過ぎないようにね。あたしら微妙に『クエストの引きが強い』とこある気がするし」


「ユーレア、大袈裟だって~」


「淡水水産物が待ってますよっ?」


「・・・」


ユーレアは警戒していたが、俺達は意気揚々とワービの街へと繰り出した。



ワービ鱒の漬けスシー! ワービ貝の辛味スープ! ワービ海苔のピザ! ワービ蓮! ワービ山葵! ワービスッポン! 干しワービ種スライム! 湖畔の柿! 湖畔の枇杷! 近くの桃! 苺! 牛乳! 何か知らんけどよく見掛けるナッツ菓子!


段々ワービ湖から離れていったりしつつ現地の名物を一通り堪能し、土産の類いも買い、めちゃ高い水属性の高級装備何かを冷やかし、観光客向けの吟遊詩人達の屋外演奏何かも聴き、俺達はガッツリ楽しめた。


それから現地ギルドで手続きを済ませ、宿も紹介してもらい、そっちの手続きも済むと、夕方になっていたが、湖畔エリアにも行ってみる事にした。



屋根だけは付いた牛車の荷台に乗って、蛇行する湖の岸辺への坂道をゆっくり降りてゆく。

夕陽がいい具合に湖面に反射している。


「これもいいなぁ、帰りは夜になりそうだがっ」


牛車、思った以上にのんびりしてた・・


やがて到着した湖畔エリアは、ワービの町の原型になった旧村跡何かもあった。

魔除け付き観光カヌー何かの受付はもう今日はやってなかったから、取り敢えずそっちに行ってみる。


観光用に整備もされていて野外民俗資料館的。時間的に人気は少なかったが、旧漁師小屋跡の当たりまで歩いてきた。


浜には波が打ち寄せてきていた。


浜の先には魔除けの杭が並んで打ち込まれてい・・あれ?


「1本欠けてないか? あそこのヤツ」


錆びたようになって1本折れていた。


「通報すべきですね」


「・・モンスター、来てるねっ、3体! あっち! 人がいるっ」


警戒スキルで探知したユーレアが差した方向にはロングフット族とハーフノーム族のカップルがいた。素の観光客っぽいっ。


「気付いてないぞっ」


慌てたが、ギムオンが既に突進していた!

『鋼のサック』を収納ポーチから取り出して装備し、平服のまま、低い姿勢で突進する『高速ダッキング』のスキルを連打して浜の砂を巻き上げジグザグに接近してゆくっ。

ラダとヤポポはブレッシングとディフェンド、俺とユーレアは続いたが出遅れた。ユーレアは速駆けスキルで追い付き過ぎても前衛じゃないっ。


カップルはむしろ、ギムオンの突進に仰天していた。と、


ザパァンっ!!


野牛並みの大きさの鮫と鰐の中間のようなモンスター『小舟砕き(カヌークラッシャー)』の淡水種らしいのが3体、湖面から飛び出し浜に上がってきたっ。


悲鳴を上げるカップル。


「ぬぅんっ!」


ギムオンは全力の突進振り打ち『アックススマッシュ』スキルで、ギムオンから見て一番先頭にいたカヌークラッシャーの顔面を叩き潰して吹っ飛ばして、残り2体にぶつけて、カップルへの噛み付きを阻止した。


飛び散るカヌークラッシャーの体液っ。


「無事か?」


体液まみれの拳で構えながらカップルに確認する岩のごとき筋肉のギムオンっ。


「「嫌ぁーっ!!!」」


ヘタり込むカップルっっ。戸惑うギムオン。ええいっ。


「援護ぉ!」


俺は射程に入った残り2体に汎用クロスボウで銅矢を連射! ユーレアは光り玉を1発投げて牽制しヘタってるカップルの内、女子を担い走りだした。


「彼氏も走んなっ!」


「はひぃ~っ」


どうにか彼氏もついていった。よしっ。


「ギムオン! 右の奥のヤツ頼む!」


「うむっ!」


遠いのもあるが、ちょい角度的にギムオンが射線に入る感じでやり辛いっ。


俺は1体への射撃に集中しつつ、合間に鉄の槍を抜いて浜に差しといた。


銅矢で汎用クロスボウじゃ火力が足りないらしく、受け持ちのカヌークラッシャーは怒って突進してくる! 気配で察するに、ラダとヤポポはここだと遠いなっ。


ギムオンは奇襲ではなくても奥の個体と、補助魔法効果もありきで平服のままガチガチに殴り合いを始めていた。


俺はどのタイミングで槍に切り替えるか? 片目くらいは潰しときたいっ。


等と冷や汗かきながら考えていると、


「っ?!」


右手から爆発的な『身体に伴われた練られた魔力と闘志』を感じた。何だっ?


「チェストーっ!」


水着一丁の鬼人(オーガ)族の女が猛烈な回転回し蹴りで俺に向かってきていたカヌークラッシャーの胴を叩き割り仕止めたっっ。


「えーっ?!」


「むっ?」


ギムオンも戸惑ってはいてもアッパーで最後のカヌークラッシャーを撃破っ!


「ふぅ~っ」


呼吸を整える鋼鉄のような筋肉の水着オーガ女性。カッと両目を開く!


「中々やるじゃないかっ、君達ぃ! 特に君ーっ!! 筋がいいっ、いいパンチだ! アッハッハッハッ!!!!」


高笑いするオーガ女性! 誰???

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