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マサル・ヒースヒルの冒険記  作者: 大石次郎


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18話 蛙達のララバイ 2

「ドライ!」


脱衣場でざっと洗い終えた男子メン全員の装備をラダの乾燥魔法で乾かしてもらって、収納ポーチに納めた。


「うっし、出るか」


生姜やハーブを使った薬湯を沸かしてもらい、ほっこりした俺達3人は着替えの平服に首に手拭いを掛けた格好で男湯の脱衣場から出た。


高床式のワーフロッグの建物は上がってみると景色がいい、屋根があると沼が望める景色。雨でも小舟で素潜り漁等をしていて中々風情があるな、と。


そしてずっと楽器の演奏の音が聴こえているから、屋外っぽいな? 雨なのに? と廊下の柵越しに音の方を覗き込んでみた。


すると近く屋外舞台があり、何と! 雨の中、ワーフロッグの楽団が演奏をしているっ。奇妙な楽器は雨に濡れて淡い発光現象を起こしていた。


「あれは『水の楽器』ですね」


「何それ?」


「その名の通り、雨に濡れると魔力が高まり、美しい音色を奏でます。水棲種族がしばしば用いる物ですよ?」


「ああ・・魔物学の講義でやったっけな。波間の歌姫(セイレーン)とか」


「マサル、ワーフロッグ族はモンスターではありませんよ」


「いやいや違う違うっ」


俺が不用意な事を言っちまって慌てていると、


「女性陣も上がったようだぞ?」


女風呂の方から似たような格好でほっこりしている2人が出てきた。


合流した俺達は、アズマン達が待っているはずの広間に向かった。



広間にはアズマンの他、いずれもワーフロッグの里長、魔法使いっぽい人、商人っぽい人が待ち構えていた。


俺達は簡単な挨拶をして、熱いジャスミンティーとドライフルーツの茶菓子を出され、変わった味の菓子に手を付けていると、ユーレアに三白眼で『さっさと切り出せ』と無言で急かされたので咳払いをして俺は口を開いた。


「え~と、アズマン。クエストの方は?」


「ゲコ。そうですね。改めて、クエストは『沼の小島にある廟の様子を見るのを手伝ってもらう』事です」


「補修作業の護衛と駆除って事だよな? 対象はダンジョンバット亜種とスワンプパイソンのみ」


勿論、何も聞かずに来たワケじゃない。


「そうですゲコ。行きに、順路の魔除けの補修をします。特に罠や迷路はありません。補修済みの帰りは安全でぇす。脇道何かは後で自警団で処理しますゲコ」


「補修は私が担当する。ゲ~コぅ」


魔法使いっぽい人が発言。錬成アビリティー持ちか。いや、ラダと違って本職かな?


「費用はトーノサマ郷商会で受け持つゲコ」


これは金持ちっぽい人。なるほど。


「廟、という事は御先祖の?」


「それ! 年一、雨季の7級相当の定番クエストらしいけど、妙にギルドの資料が乏し過ぎ何だよね」


「それに関しては里長である私から」


老いたワーフロッグの里長が口を開いた。


「ゲッコ。小島の廟で眠っておられるのは我らの先祖ではなく、忘れられし我らが(あるじ)雨蛙(あまがえる)の魔女』様です」


それは、この地方の人間なら特に幼い頃に聞き馴染んだ名前だった。そんなに関心は無い方だったが、俺でも覚えてるぜ?



・・雨蛙の魔女は大きなお口。どんな悲しい事も一呑みだぞ! ゲッコゲコ、ゲコゲ~コ。頼もしい蛙の『しもべ』達が今日も素敵な音楽を奏でてくれるよ?


そんな語りから始まる百編を越える童話とも寓話とも知れない短い物語が、俺達の暮らす地方に伝わっていて、子供の頃に皆読み聞かせられていた。


物語の中の明るくてチャーミングな雨蛙の魔女の活躍は確かに楽しかった記憶はある。


「ここが雨蛙の魔女の廟ですゲコ」


翌日、レインコートを着た俺達は霧雨の中、沼の奥まった位置にある小島に今度はゆっくりした速度で(懲りた)ケルピーに乗って来ていた。

廟の入口には大きな魔除けの蛙の石像が2つあり、藻と泥と貝類にまみれていた。


「ゲ~コ。今は水門開けて水位を下げているが、雨季、ここは完全に水没する。水の力が高まるこの季節だけ、ここに立ち入る事ができるんだ」


同伴するトーノサマ郷の錬成師(れんせいし)職モーリンが、申し訳程度に被った笠の向こうから言った。


「マサル君、備えに問題はないか?」


ルゴンモ草原のクエストの報酬で俺はどっちも中古の『鉄の穂先の槍』と『汎用クロスボウ』に買い換えていた。

ギムオンは中古でも高い『鎖の頑丈な三節棍』に買い換えてる。


後衛3人は効率は悪いが魔力を込めると護りの障壁を張れる『安価な守りの腕輪』を購入。

加えてヤポポはクィックの魔法も覚え、ユーレアは今回も癇癪玉等を買い増し、ラダはヤポポの代わりに魔法石の欠片を買い増していた。


いるらしいスワンプパイソンの『毒』対策に、トーノサマ商会から『防毒のアンクレット』も借りてる。


準備的には過去最高! 経験も7級なりに積めてきてる、はずっ。


「問題無いぜっ。お伽噺の主人公の墓に行く事になるとは思ってなかったが、慎重に行こう!」


「モーリンさん、補修は僕も手伝えますから」


「助かるゲーコ」


「緊張してきましたねぇ!」


「今回は光り玉使えそうだね? ふっふっ、楽しみ過ぎ!」


「ゲコ? 順路の補修以外で無理に交戦しなくて大丈夫です」


「いや、まぁうん・・」


俺達はまず入り口の蛙の石像の錬成補修から、作業を始めた。

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