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マサル・ヒースヒルの冒険記  作者: 大石次郎


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17話 蛙達のララバイ 1

マーリク市ギルド本館に俺、ギムオン、ユーレアで来ていた。


ヤポポは新たに習得するつもりの加速魔法『クィック』に苦戦して、魔法書店に釘付けになってる。

ラダは『前日たまたま魔法学校の同級生と再会したのでお茶してきます』と別行動中。めちゃ普通の理由・・ま、いいや。


ギルドへは別に安い売店や食堂を冷やかしに来たワケじゃない。

雨続きで億劫で宿に籠っていたがそろそろ働こう、となったのさ。


暇過ぎてギムオンが樫木亭を本格的にリフォームしだしかねない勢いだったし、サボりも限界。都会で5人組だとそれなりに生活費も掛かるしさ。


ギムオン以外はあまり乗り気じゃない皆の求める雨季クエストの条件を苦労して取り纏めると、大体この3つになる。


1(主に俺&ユーレア案)、安心安全簡単短期。後腐れ無し。


2(主にラダ案)、雨だから野外活動は嫌だ。


3(主にヤポポ案)、何か楽しそうなヤツ。


と受付で申請したんだが、


「学生バイトじゃないんだよ?」


小柄で丸っこい体型のハーフノームの受付の人に軽~く突っぱねられてしまった。


「ですよねぇ、ハハハ・・出直してきまーすっ」


取り敢えず、食堂まで移動!


「ちょっと雑過ぎた?」


「いいとこ取りになっておったからなぁ」


食堂でクエスト要望書を前に折衷案を練りに入ったんだが、まぁ纏まらない。ラダとヤポポがいないってのもある。


「いっそ掲示板に張り出されてる緊急クエストにしてはどうだ? 有料になるが取り敢えず7級相当のクエストリストだけ借りて見てもよいしな」


ギムオン案は堅実だったが食堂のパサパサなマドレーヌを摘まみながら中々案は煮えきらなかった。すると、


「あのう、ソレ、7級の用紙ですよねぇ?」


ぬっ、と蛙人(ワーフロッグ)族が脇から顔を出す感じで現れた。楽士みたいな格好をしている。


「うおっ? そうッスけど?」


ギルドのクエスト要望書用紙は級ごとに違う。7級は一番安い。級が上がると用紙買うだけで高い。まぁ伯父さんみたいに3級くらいになると、ギルドから直接依頼されるけどさ。


「さっき、ギルドに発注してきたところ何ですがぁ、7級相当のクエスト。受けませんか?」


「ええ?」


「どんなクエストよ? 屋内、屋外?」


「条件次第何だ。勢いで引き受けがちだから反省してなっ、はっはっはっ」


「ゲコぉ、短期です。基本的に『屋内作業』ではあります」


部分的には条件を満たしてる感じ? まぁギルドを通した7級クエストなら確認、してみよっかな?



翌日、相変わらずの雨の中、乗り合い馬車は途中までしかなかったから代わりに、


「おおっ?!」


「『未知の乗り感』過ぎるっっ」


「あばばっ、です!」


「はっはっはっ」


「・・あわわわ」


俺達は依頼人のワーフロッグ、アズマンが用意した水妖馬(ケルピー)に乗って目的地へと向かっていた。


ケルピーは下半身が魚ような半ば液体の馬のモンスターだ。モンスターといっても妖精に分類される事もある水の精。


ケルピー達は雨の中、勢いを増して浮遊し宙を滑るように低空飛行してゆく! 出だしから凄い『野外』だけどっ??


全員レインコートを着てゴーグルを付け、ユーレアの後ろに乗ったヤポポとアズマンの後ろに乗ったラダ以外は手綱を握っているワケだが、もうずっと『前から水をぶっかけられ続けてる』感じっ。


「ゲコ? この速度でも雨中の走行は陸の種族の皆さんには大変ですかぁ? 我々の郷はもうすぐですが」


アズマンの着てる楽士服は(やっぱり楽士だった)特殊な素材で撥水性があるようだが、そもそも水棲種族のワーフロッグは濡れてもどうって事ないようだ。


一応ゴーグルだけは付けていたが、水飛沫を受けても先を見通せるらしい。


ロクに前が見えてない俺達はアズマンとケルピー達自身の誘導でどうにか進めていた。

彼の中では『ただの移動の件』何だろな、て・・


「ヤポポ! ラダ! アズマン以外の騎手役と、自分達もっ、手がかじかむ前にヒールしてくれっ! 大体のタイミングでいいっ」


落馬しそうっっ。


「即、ヒールでぇす!」


「ヒールします!」


言った側か、回復しまくるヤポポとラダだった。助かった・・



時間的には実際、アズマン達の郷『トーノサマ』まで。5分くらいだった。体感は小1時間くらいはあったがっ。


「はぁはぁ、ここがワーフロッグ族の隠れ里・・」


「外との交流は少ないですが、別に隠れてませんよぉ? 納税してます!」


納税者達が暮らすこの郷は、水棲、というか水陸両棲種族らしく、『水害何てへっちゃら』ていうくらい大胆に湿地と沼に迫り出して郷が作られていた。


申し訳程度に木製の藻や苔だらけの木の道や浮き橋があちこちに掛かってる。建物は高床式が多い。


郷の陸地を囲う城壁や沼や湿地にポツポツ立てられた柱に魔除けと共に対象を指定した虫除け等の効果が付与されているらしく、蚊や蛭の類いは見当たらず、箱庭じみた少し奇妙な空間だった。


何か楽器の音がするな? 雨降ってるが、外で演奏してるような??


「ま、それはそれとして、早速ぅ、クエストの手筈なのですが」


アズマンはさっさと段取りを進めようとしたがこれは即、遮らぜるを得ないっ。


「その前に風呂と洗濯を済ましたいんだがっ?」


「ゲコ?」


そう、ケルピーから降りた俺達は水浸しで、スタミナのあるギムオン以外は身体が冷え冷えだ!

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