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マサル・ヒースヒルの冒険記  作者: 大石次郎


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14話 爽やかクエスト 3

計測警護クエスト4日目の夕方。

俺達はすっかり勝手知ったる、て感じになってきた大規模野営地に戻ってきていた。


さすがにハイスラ間引き討伐は皆片付いたらしく、少しは人手が落ち着いてきて、商業テントや露天のいくつかは畳まれたりしだしていた。


「ハイスラ狩りが済んだから落ち着いてきたね。ここ、本来は大規模野営地じゃなくて中規模野営地何だよ?」


「へぇ~?」


「城壁ごと小さくしてしまうんですか?」


「勿論! 魔除けや風避けの障壁効率悪いからね。ふふ」


「何か、野営地を小っちゃくする作業見たいなっ。ずっと見てられそう!」


「物好き過ぎ・・」


「ふふふ」


等と話しながら騎竜を預ける竜舎(りゅうしゃ)の方に向かっていると、


「ん?」


トトミーが腰の収納ポーチじゃない、普通の革ポーチから掌サイズの平たい石を取り出した。石は振動してる。


魔法道具の文字通信石(もじつうしんせき)だ。

水晶通信のように音声動画通話はできないが、小型で携帯し易く値段も水晶通信器よりかは安い。

まぁ安いと言っても俺達にはまだちょっと早い価格だが・・


密猟団(みつりょうだん)が出たみたいだね。支部テントまで手練れを連れてきてくれ、て頼まれたんだけど・・どうかな?」


「あ~」


同じ依頼元でもクエスト中のクエスト依頼かぁ、しかも別件。クエストの脅威度も不明。う~ん。


「マサル君、具体的な内容だけでも聞いてみようじゃないか?」


「うん、それは、そだな。行ってみるよ、トトミー。俺達が『手練れ』かどうかは微妙なとこだけどさ」


「7級で手練れは言い過ぎ」


「いや、そうだけどっ」


「ふふ、わかった。ありがとうね、マサル隊。無理はしなくていいから」


「いいですけどぉ、小腹空きません?」


「ふむ、途中でミタラーシ団子を買うとしよう」


「やたー! ですっ」


これから密猟団(今回は生きてる!)退治をするかも知れないが流れで甘い物を買い食いしつつ、野営地内にあるルゴンモ高原レンジャーギルドの支部のある大きなテントへ向かった。



ちょうどこの野営地に居合わせたレンジャーはそう多くはなかったが、それぞれツテのある冒険者等を連れてきていたから、支部テントの会合所は混み合っていた。

数は少ないが駐在の衛兵も来てる。


ザワザワする中、上役らしい年配のレンジャーが現れた。


「諸君、日が暮れるタイミングで悪いが、緊急クエストだ。以前から目星を付けていた密猟団、『ウラカ一味』が網に掛かった。冒険者ギルドの基準だと本来6級相当の捕物だが、物量と、連中の野営地に夜襲を掛ける! この戦力で十分対応できるっ」


「ウラカ一味って?」


少なくとも冒険者ギルドの手配帳では見た事あるような、無いような・・トトミーに聞いてみた。


「私達以外では知名度低いよね、毎年毛が撥水毛(はっすいげ)に生え替わる雨季前に、希少種の『ルゴンモドードー』を密猟してるグループ。武闘派のクセに逃げ足が早くて、もう3年は野放し何だ」


「3年っ? そりゃ厄介そう」


混成高原(こんせいこうげん)領兵団の到着を待ってはどうか?」


協議の方で駐在衛兵が発言した。

混成~は名前の通り近くの領の兵の集まり。負担軽減と高原の統治権が実は固まってないから均衡を取る為に派遣されてる。


「それでは明日以降だろう? 遅過ぎる! ウラカ一味は『小さく稼いですぐ逃げる』がモットーだっ」


「セコ過ぎ・・」


「確かに・・」


そこからは手筈や報酬等の条件、衛兵の立ち位置の整理、クエスト参加の可否等が話し合われた。


「どうします? マサル? 対人となりますよ?」


トトミーは判断にまでは口出ししないようだ。


「ん~」


対人といってもそこは捕物。取っ捕まえるだけ何でそこまで気にならなかったが、一応懲りているので『危険度判断』はやはり重視したいぞ、と。


上役レンジャーの説明は続く。


「現在のウラカ一味は20数名。幹部以外は7級前衛職冒険者程度だが、幹部、特にウラカは6級前衛職級並みの実力!」


げっ、6級並みかよ。


「さらにヤツだけは高価な腕輪の転送系魔法道具を所持してるはずっ。過去に2度それで取り逃がしてる。こちらの奇襲は夜鷹薬(よだかやく)を用い・・・」


それとな~く、探り合いになってる他の参加者の様子も見る。


ほぼ7級相当だが人数はそこそこいる。現時点で半数が参加を表明。夜鷹薬は一時的に夜目が利くようになる秘薬だ。有利ではある。

ウチの隊のメンバーはフラットな反応。


ん~。諸々考え、俺は・・



2時間後、夜鷹薬を使用し明かりを使わずに近くまで乗ってきた騎竜から降りた俺達臨時の捕物隊は夜の草原にいた。


俺達は何という事はなく見える、草原の小さな岩場を遠巻きな囲んでいる。明かりも何もなく、物音も人影もなく、しかし風向きによって薪や炊事、混ぜ物がありそうな煙草の臭いが漂ってくる。


ここには廃棄されたはずの魔除けの野営地があるはず。

ウラカ一味の現在の根城の1つだ。


先に張り付いていた監視チームが、無関係な周囲の野生モンスターはこっそり携帯の魔除け道具や聖水等で追い払ってる。


「・・最後に確認するよ? 根城への突入隊はどの隊の隊長役も転送封じの『プリズンオーブ』を持ってる」


俺達は彼女が率いる『トトミー隊』に所属!


「遭遇した隊オーブの射程まで接近させて転送を完封! はっ倒して捕縛するのは他の隊でもいい。こっちは寄せ集めでも『3倍』の人数だからね!」


「うッス」


寄せ集めではあるんだよな・・。ま、とにかくメンバーにもラスト確認しとくか。


「ラダは突入メンのディフェンドとストロングを維持で待機。根城から逃げたヤツが来ても、まぁ距離があれば攻撃魔法もありだけど、カチ合いそうなら普通に逃げて隠れてくれ。相手、素人でもつっ掛かってくるだけのゾンビでもないかんな?」


「了解です」


「ヤポポはブレッシングとリジェネレーション(自動でちょっとずつ回復する魔法)を維持しつつ、蔓でラダと自分を守ってくれ」


「了解でぇす! 興奮してきましたっ、う~~っっ」


大丈夫か? まぁよし。


「他はトトミーに付いて突入だかんな? 事前の打ち合わせ通りで、わ~とな」


「急に確認雑過ぎ」


「わかったよっ、トトミーは弓を使うからユーレアが組んで連射が利くパチンコ何かで支援! 夜鷹薬使ってるから光り玉は厳禁っ。前衛は俺とギムオンな」


「気張ってゆこう!」


うっし、手筈は整った。この捕物もサクッと済ませて、ルゴンモ高原の連続クエストを爽やかに終えてみせるぞっ。

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