表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/170

3.キッシングナイト p3

「まぁ、さっき私と戦っていてわかっていると思うが、私もそなたたちとおなじように魔力を操ることができる」

「へぇ。うちらが把握している世界は狭いな。知らん世界にまだおったで」

「まぁ、別の世界を生きているからな。そう思えるのかもしれないな」

 うん?別の世界?また彼女からわけのわからない言葉を発した。もう頭がオーバーヒートしそう。

「よくわからないという顔をしているな。まぁ、無理もない。ここは2354年。そなたたちが住んでいる世界からだいたい330年あとの世界になるのかな」

『330年後!?』

 ご丁寧にキッシングナイト5人の声がそろった。

 ……いやいや。それよりも!なんで私たちが未来の世界に来ているの!っていうか、どうやって未来の世界に連れてこられたの!?未来の世界って、ここまで魔法が進化しているの!?まさか、時空を超える魔法があるの!?

 あぁ、ダメだ。もう頭がオーバーヒート寸前だ。

 それでも女は当然だが?と言わんばかりの顔をして私たちの驚きを無視をして話し続ける。

「あぁ、そうだ。私がそなたたちを未来の世界に召喚したのはほかでもない。私を、いや、私たちスノードロップを助けてほしい」

「助けてほしい?」

「あぁ。非難されることは覚悟しているが、今、私たち魔法使いは政府に潰されようとしている。それに私たちは魔法で抵抗し、この国の政府を潰そうとしている。ただ、抗う理由はそれだけではない。私たちが抗う理由。それは、私たちの親しい人が政府のこの政策のせいで殺されたからだ」

 そこで彼女は天井を向いて苦い顔をしていた。思い出したくない過去を思い出したのだろう。それでも、また私たちのほうを向いて話を続ける。

「私もそのうちの一人だ。だからこそ、このような変な政策をやめさせるように抗議の声を上げた。すると、今度は国民を巻き込んだ魔女狩りを始めた。魔女狩りとは、私たちのように魔力を操ることができる人の俗称だ。魔女の首を政府に差し出したものは懸賞金を送るというばかばかしいキャンペーン。このせいで私たち魔法使いは表立ってなにもできなくなった。そこで、私たちは魔法を使わない武器も使い始め、一般人にも抗いだした。そうしないと、私たちは生きていくことができなかった。しかし、束になった一般人はなおさら強い。あっという間に反政府勢力も魔法使いも数を減らした。魔法使いも、残っているのは政府に数人と私たちスノードロップ4人だけだ」

 ところどころで彼女の拳が強く握られる。相当な恨みを持っている。

「だから、力を、貸してほしいんだ」

 彼女は、地面につくほどの勢いで頭を下げてくる。

「今、あんさんは4人って言うたけど、ほかの人らは?」

「先の戦闘で、私を逃がすために身代わりになった。すぐに殺すことはしない政府だから生きているが、政府の施設に捕らわれている」

 弱々しく答える彼女。声も震えている。

「それでうちらを?」

「あぁ、そうだ。どうか!この国を変えるために、そなたらの、キッシングナイトの、力を、貸してくれないか?」

 そういわれても……。私の一存じゃ決め切れない。

「ちょっとだけ待って」

 そういうと、彼女から少し離れて、キッシングナイトで集まり相談する。その間もずっと彼女は頭を下げたままだ。

「どうする?」

「うーん。カナは何とも言えない。直感では悪い人でない気はしている」

「うちも嘘はついてへんように見える。やけど、怪しすぎひん?ここまで国がするか?」

「だけど、もう、私は話についていけない。でも、この戦闘服が解けないってことは、サナミって可能性があるんでしょ?それだったら、隙を見て討伐することもできるんじゃない?」

 その可能性もあるのか。ただ、私たちが油断させられてやられるって言うこともあり得るのか。より慎重になるな。

「私はもうわからない。何を言ってるのか。私の発言権はアカリに全部上げる」

 マリアに関しては、案の定あてにならなかったか。こうなってくると、私の判断になる。

「意見がまとまらないって言うのはいつも通りか。まぁ、ユカリが言うように、サナミの可能性が捨てられないっていうは私も同意。カナの直感も意外と当てになる。マリアはいつも通り話にならないし、ルナが言うように国がここまでするとは思えないから確認したいっていうのもあるから、彼女の依頼を受けようと思う」

 私が話をまとめると、みんな「オッケー」という。それを聞いて、私はまだ頭を下げている彼女に歩み寄って、頭を上げるように言う。

「話がまとまったよ。……私たち、キッシングナイトはあなたに協力する」

「そうか。やはり断るよな。簡単に私の話は信じられないよな……。えっ?協力してくれるのか!?」

 おっと、どうやら、断られることが前提だったようだ。思いもしなった私の回答に少しびっくりしていた。

「さっきも言った通り、私たちキッシングナイトはあなたに協力するよ」

「本当か!?」

 そういって、彼女は私の手を取ろうとする。ただ、私はその手をのけ、冷たい声で言葉を続ける。

「ただし!キッシングナイトから条件がある」

 その言葉に彼女の動きが止まる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ