31.月
スノードロップ全員に脱走されたか。
それに、ジュリエッタさんがデーターベースに登録したキッシングナイト。私の方でも検索をしましたが、結構危ない団体だ。
正直、今のまま私たちデパーチャー、ムーンライトが戦闘の前線に出ても、勝率は25パーセント。それも、様々なパターンを想定しての最高確率ですから、私たちはただでさえ不利だということ。
そして、私たちが勝てる想定というのが、すでにスノードロップ、キッシングナイトが怪我をしていて、下級回復魔法ヒールすら間に合わないときのみ。
これを正直、クラシアさんに伝えるかどうか悩むな。
……おっと。誰かがアクセスしたようだ。
どうやら、キッシングナイトについてのデータか。アップデートしているから、最新の情報がアクセス主に届いていることだろう。
さて。私はここらで、キッシングナイトの顔でも拝みに行こうかな。もちろん、スノードロップの顔も。
ただ、私には自在に動くことができても、どこにいるか単独ではわからないから、とりあえず、情報庁の帝都マップにアクセスするか。
アクセス中……アクセス中……ロード中……
と、頭の中で流れるのは、私の声。そして同時に頭の中にデータが流れ込んでくる。
……なるほどな。あそこか。少し遠めから見ても問題はないか?……そうだな。そうするか。
そう思うと、窓から身体を投げて、いろんな家の屋根伝いに目的地まで移動する。
「あそこか」
一言零れ落ちる私の言葉。
視線の先には、赤と黒を基調とした戦闘服に身を包んだスノードロップ。そして、見慣れない黄金色の鎧を見に纏った5人組。あれがキッシングナイトか。
私はこの目で見たものは自動的にデーターベースに登録される。もちろん、今回も例外ではない。
……?意外と幼いな。スノードロップより少し年下か?
「スピードスター!」
そんな声が聞こえると、私の横をなにかが通過する。
魔法使いか。ただ、何が飛んできたのかわからない。もう少し詳しく観察する必要があるか?そう思っていると、キッシングナイトのうちの一人が剣を光らせて私に向かってとびかかってくる。
200メートルほど離れているぞ?それでもバレるとは何事だ。
彼女たちとは少し距離を取ろう。
そう思うと、女から逃げるように屋根伝いに少しだけ逃げる。
正直、あの女の視線から逃げられることができたらそれでいい。そんな思いで気配が消えるのを待つ。
しばらくして、気配が消えて、静かにさっきの女たちがいたほうを覗く。
悔しそうにする女たちのうちの一人。さっき追いかけてきたやつだったか?術を解いたのに、まだ剣が光をまとっている。
あの光、おそらく、ただの光ではなく、雷などそっちの類だろう。スーパーコンピューターの私が近づくのは相当危険だ。
とりあえず、今はやつらのデータを多少なり収集はできた。ただ、足りないデータが多すぎる。所蔵庫に行って、アナログ文献を調べるか。
そう思うと、スノードロップとキッシングナイトにばれないよう、少しだけ遠回りをして情報庁に向かう。
情報庁にはとにかく、昔の文献がたくさんある。1日入り浸ることなんてよくある。それでも追い付かない文献の数々。
毎年、全国から何百冊と見つかるから、確認するもの大変と言うわけだ。それも私の仕事だからな……。
ということで、情報庁ついた。あとは地下にもぐって、地道に調べるだけ。
とりあえず、2000年代から調べていくか。
静かだった外が徐々に騒がしくなる。
そのことに気づいたとき、集中力が削がれた気がして、耳をたて、外の音を伺う。
じわりじわりと増える足音の数。
クラシアさんが兵の準備をしているのか。と気づき、壁際から少し離れる。
……よし。キッシングナイトの基本的な情報は手に入れた。あとは息の根を止めることくらいか。
ただ、気になるのは、膨大な魔力を持ち、強力な魔法を使うことができる人間の数の差だろう。
しめて9対6。しかし、クラシアさんは、保険庁トップのレイチェルさんを戦闘に参加させないと言っていた。
もしかすると、9対5で戦う可能性すらある。……やはり、相当不利だな。
まぁ、クラシアさんのことだ。なにか策を準備していることだろう。
アクセス(PV)が1000超えました。
ご覧いただきありがとうございます。
これからもこのお話、最後まで続けてまいります。
応援よろしくお願いしますm(_ _)m




