Collabo 17 いろいろ確認したい
そこからたぶん、1時間くらい使ったと思う。
金属を中心に使った建物を探し回り、少し広い村で10軒ほどの建物を見つけることができた。しかも、思ったより密集したエリアで。
これなら、無理に広げる必要はない。とはいえ、ここだけじゃ必ず突破され、指揮官室、さらにはヘルン、ほかの南の街にも影響が及ぶ。
やはり、寺の周りにも少し守備を回すか。そんなかんがえがつぎからつに浮かんでくる。
それを考えると、クラシアもたいへんだっただろうな。守備を考えるのには。
今になってようやく分かる気がする。
スノードロップが帝都で好き勝手に暴れるから、どこを守るか悩むということを。
これが今度は私たちスノードロップが襲撃するんじゃなくて、飼いならされた獣が相手になる。しかも、飼いならされたとはいえど、野生の獣を調教したと聞いている。どうなるかはスノードロップ以上にわからない。
だからこそ、機械兵の投入を決めたという経緯はある。
機械兵なら、金額的損失は大きくなるものの、人員をむやみに殺害されるよりはましだというクラシア、私、ナターシャの判断だ。
ただ、機械兵の投入を決めてよかったのかもな。これだけの廃村で建物もままならないなら。
そうじゃなきゃ、すぐに小隊・中隊がすぐに全滅するだろうな。
とりあえず、中盤を守ってもらうつもりの建物の目星はつけた。あとは前衛か。
前衛をどこで守らせるかも、いろいろ考えなきゃいけないのはあるけど、もう少し前。村の中心からさらに北に行ったところ辺りがいいか。
正直、戦車や歩兵じゃない分、読めないんだよな。やっぱり、野生の獣を飼いならしているから。
どういった類の獣かさえわかれば、一番ありがたいんだけど……。
ここでララを飛ばして、情報を撮りに行くという手もとれる。とはいうものの、ロスは過ごそう。とはいえ、有益な情報を帝都に持ち帰るのもありか。……そうしよう。
「ララ、おいで」
それだけ言って、手のひらにスズメサイズのララを召喚する。
久しぶりに召喚したララ。羽を大きく広げて、大きく伸びをしている。
「ちゅん?」
「お前さんは相変わらずだな。ちょっとお願いだ」
そう言いながら、ララの足首に超小型のカメラを結びつける。
「敵の様子を探ってほしい。いっぱいいい映像が撮れたらおやつを増やしてやろう」
私がそういうと、「ちゅーん!」と言いながら嬉しそうに手の上で跳ねるララ。その姿を見ていると、ちゃんと仕事はしてくれそうだなと思った。
まぁ、ララはおやつのためにとなると、普段以上に頑張ってくれる性格なのはわかっている。だからというわけじゃないけど、こうやって発破をかけてやると、ものすごくいい動きをしてくれる。そういうところをいかしたい。それだけだ。
「いけるな?」
「ちゅん!」
小鳥の癖に胸を張って、任せろ!と言いたげな表情。少し懐かしいな。
「私も時々視界共有して覗かせてもらうからな。サボるんじゃないよ」
そういうと、羽根をばたつかせ、「しないわ!」とでもイ痛手な行動は起こす。
「じゃあ、頼んだぞ」
「ちゅん!」
いまにも敬礼しそうな感じで鳴いた後は、私の手から飛び立ち、北へ全力で飛び出していった。
とりあえず、しばらくは、探索をして、機械兵を隠せそうなところを探しつつ、作戦を立てていきますか。うまくいくとは思ってないけどな。
そこから1時間。だいぶ日も傾きかけてきたころ、私の中で代替の作戦が出来上がった。
とりあえず、ナターシャに連絡だな。
そんなことを思いつつ、スノードロップの間だけで使っている通信アプリ『リンク』を起動させ、ナターシャを呼び出す。
『もしー?エル、どないした?』
「あぁ、ナターシャか。唐突に済まない。機械兵の配置の件だが、最初に確認させてくれ。投入する数はいくつだった?」
『投入数は……全部で3千やね。まだ半分ちょっと余力をこっちの余力は残してるで』
「亮昭。私からは報告で、配置も一緒にお願いしたくて、地図あるか?カンジャルナの」
『待ってよ~今開ける。……オッケー、今開けた』
いきなりカンジャルナの地図をいきなり準備してくれって言われてビックリしたところはあるんだろうけど、まぁ、しかたないか。
「カンジャルナの南の方に寺が一つあっただろ。一時期、話題になった誘拐騒ぎで子どもたちが見つかった」
『あぁ、あるね。そこを拠点にするの?』
「あぁ、そのつもりだ。この寺周辺に500くらいほしい。50ずつ東西南北に分けて配置して、交代制で修繕に回す」
『オーライ』
「で、中盤には、1000を村の中心、家屋が密集しているエリアがあると思う。そこの建物の中や陰から銃撃してもらう」
『あぁ、ここね。はいはい、了解』
「最後に残った数、これは、北の方に少し広くなっている土地があると思う。そこの草むらの影や木の上から迎撃という形を取りたい」
『なーるほどね。でも、この中間地点はどうすんの?えらいガラ空きになるけど』
「捨てるわけじゃないが、招集なら、獣に襲われたときのカバーリングが難しくなるから、あえてガラ空きにしている。多数で獣を責め立てるほうがいいと思った。しないほうがいいか?」
『いや、そういうわけとちゃうけど、むしろ、エルの言うことがようわかったような気がする。ただ、あれよな。どんな獣かわからんもんな。それだけがほんま厄介やわ』
それはそう。私も厄介だなって思っているくらいだ。
「一応って言うほどでもないが、超小型カメラをララに仕込んで、敵国のドルペントに飛んでもらっている。カメラでわかったことがあれば、すぐに伝えるつもりでいる。それで構わないよな?」
『そうするしかないもんな。でもそっちから先に出してくれてんのはありがたい。もうちょっとこっちから速く出しとけばよかったな』
「まぁ、それは仕方ない。できるだけララは長く飛ばすつもりでいる。どれくらいの時間がかかるかわからないが、できるだけ早く報告するようにはする」
『オーライ。ほんなら、このこと、クラシアはんにも言うとくで』
「あぁ、頼んだ。私からの伝言として伝えておいてくれ」
ナターシャは短く『了解』とだけ言うと、向こうから通信が切れた。
とりあえず、私は一度寺まで退こうか。そのあと、機械兵と整備兵を待てばいい。
そんなことを思いながら、アルカイックランを使い、拠点とする寺まで走る。
さすがに暗くなりすぎている。このままここにいるのも危ないって言うのはわかっている。
寺が安全か、村の中心部が安全か。それはもう、このカンジャルナでは関係ない。
雨はまだ降らなさそうだが、居心地のよさそうな寺に向かって、案に会いそうになかったら、村の中心部で一夜を過ごしていい。
そんなことを思いながら、ビュンビュンと飛ばし、寺までの道を急ぐ。




