「自分が一番可愛い! ~ぬいぐるみたちのケンカ!?~」
❄️「冬童話祭2023」参加作品です。
「ぼくが一番可愛い!」
「いーや、僕の方がいっちばん可愛いさ!」
「いいえ、わたしよ!」
「いやいや俺様っしょ」
やいのやいの、とケンカの様な声がします。
どうやらぬいぐるみたちが誰が一番可愛いのか言い合っているみたいです。
実はこのぬいぐるみたち。
ある人気絵本作家がデザインしたシリーズのぬいぐるみたちなんです。
だから、見た目は少しずつ違ってもフォルムとか目の垂れ具合は全て一緒。
あまり違いは有りません。
おまけにリボンの飾りも色違いなだけです。
だから、みんな可愛いのに『誰が一番可愛いのか?』の言い合いになっています。
どうしてそうなったのでしょう。
きっかけはなんだったのか、結局は分からないのです。
ですが、ご主人様に愛されてるのはシリーズの中の自分だ!ってことが発端だと後にぬいぐるみたちの言い合いを見てた、あいちゃんの時計さんが証言しました。
さてさて、言い合いはケンカ模様になってきました。
寝ていたあいちゃんは知りませんが、部屋は緊迫した空気です。
「だからわたしよ! うさぎよ!」
「僕のねこだね!」
「俺様のたぬきだい!」
「ぼくのアヒル!」
う~、と4匹がにらみ合い……。
「こうなったら、仕方無いわね」
「あいちゃんを起こして」
「決めてもらおう!」
「あいちゃん! 起きてちょーだい!」
あらあら、それはぬいぐるみの掟を破る一大事!
様子を見ていたおもちゃの女神様が慌ててあいちゃんの部屋に光となって舞い降りました。
「こらこら、あなたたち!」
「あ」
「「「おもちゃの女神様……」」」
女神様はぷんぷんと怒ります。
「あなたたちはみんなが可愛いのに、ケンカなんかして駄目でしょう!」
「だって」
「だって」
「だって」
「だってね、自分が一番可愛いってやっぱりおもわれたいじゃん」
女神様はやれやれと思いましたが、こう言いました。
「確かにあなたたちは似ています。けれどちょっとずつ違うのが良いのです。それを人間は個性と言うのよ」
「「「「こせい?」」」」
ぬいぐるみたちは首を傾けました。
「みんな違って、みんな良いの。本当は一番なんてないのよ。あるとしたら、みんなが一番可愛いの」
女神様の言葉は難しかったですが、ぬいぐるみたちは何となく理解しました。
「よく見たら、ねこさんって可愛いね」
「あら、アヒルさんも素敵よ」
「うさぎさんの耳ってすごいリボンが似合うね!」
「たぬきさんのリボンだって」
4匹の様子に女神様は微笑みました。
もう大丈夫です。
安心して、おもちゃの世界に帰りました。
みんなが実は一番、なんです。
〔おわり〕
お読み下さり、本当にありがとうございました!




