表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

僕の妻

作者: 青木幽鬼

僕の妻は、世界で1番可愛い。僕より小さくて、髪がサラサラで、唇がぷっくりしていて、瞳が美しくて、スタイルが良くて…。今日は、そんな妻と僕のいままでの歩みを話そうと思う。


妻との出会いは、20年ほど前のことだ。彼女は、僕の妹の親友だった。彼女は、よく部屋で妹と遊んでいた。初めて彼女が家に来た日、彼女は妹と美容院ごっこをしていた。美容師役の妹にヘアセットをされて、ふんわりカールされた髪の彼女と、部屋の前をたまたま通り過ぎた僕は目が合った。その時、僕は彼女に一目惚れした。


妹から、彼女には彼氏がいることを聞いた。名前は、イサムというらしい。僕は、そいつに嫉妬した。どうにかしてイサムと彼女を引き裂かなければ。


僕は、駆け落ちした。妹にも、両親にも何も言わず、彼女を連れて。


結婚して20年。僕の生活はいまとても幸せだ。可愛い妻と2人で一緒にこれからも生活していく。 はずだった。妹が来るまでは…。



妹が突然家に押しかけてきたのは、昨日の夜のことだ。僕の友人から僕の勤務先を聞いて、住所を調べあげたらしい。

「お兄ちゃん。いままでどこに行ってたの!」

妹が10歳の時に僕が妻と駆け落ちしてから、会っていなかったから、そこに立っていたのは可愛らしい女の子だった妹ではなく、30歳の女性だった。

「お前。随分成長したな。」

「そりゃ成長するわよ!20年もたったんだから!今は結婚し

て娘もいるわよ!それより!お兄ちゃん!どうして家出な

んかしたのよ!」

「家出?僕は、駆け落ちしたんだ。妻と。」

「はぁ?妻?お兄ちゃん彼女なんかいなかったじゃない!

朝、大学行ったと思ったら行方不明になって。心配したん

だから!」 妹は急に泣き始めた。

「まあ、そう泣くなよ。僕はお前の親友と結婚したんだ。」

「誰よ!知らないわよ。私の友達は誰も行方不明になんかな

ってないわ!」

「ほら。よく部屋で美容院ごっこしてたじゃないか。あの子

だよ。」

「さくらちゃん?」

「いや、それは、僕の妻の親友だろ?」

「他に誰かいたっけ?…春子ちゃん?」

「そんな子いたっけ?」僕は、カタログを調べた。

「何それ?リカちゃんカタログ?」

「僕の妻の電話帳だよ。」

「お兄ちゃん?妻って、まさか…。」

「あっ紹介してなかったね。ほら、僕の妻だ。」


妹は、妻を見た瞬間、泣き止んで呆然とした。

「それ…!私のリカちゃんじゃないの!」


※さくらちゃんはリカちゃん人形の友達、イサムくんはリカちゃん人形の3代目ボーイフレンドです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] オチが予想外でおもしろかったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ