婚約破棄
よろしくお願いします。
今日は、王子主催の立食パーティーが開かれている。
場所は私たちの通う王立魔術学院で、参加者は主に
学院に通う生徒が招待されている。
「皆、よく集まってくれたな!」
「実は、この場を借りて、皆に聞いてほしいことがあるのだ!」
どうやら今回のパーティーは、これを目的に開かれたらしい。
「クロム・ウォーリス!」
「今、この場をもってクロム・ウォーリス、貴様との婚約を破棄する!」
「………え?」
唐突に私の婚約者は、そう言った。
「また、今より私の新たな婚約者を紹介する」
「皆も知る人物だ」
「アイコ!」
「は~い」
「紹介しよう、異世界より召喚された真の聖女、アイコ・ヒメノモリだ!」
「愛子・姫森です!よろしく!」
まるで、まくし立てるように話を続けている。いや、実際には
私の気が動転して、そう感じているだけなのかもしれない。
「お待ちください」
私は、気を落ち着けるため、王子に理由を問うために、
話を遮った。
「なぜ、婚約破棄なのでしょうか?」
何故なのだろう。王子の婚約者として、過不足なく過ごしていたはずだ。
苦手なドレスを着、言葉遣いや所作にも気を付けてきた。
「貴様、本当に理解できないのか?」
本当に理解できない。確かに特殊な理由によるものではあるが、
それでもしっかりと道理の通った婚約であるはずだ。
「では、問おう}
「まず、貴様の家の爵位は?」
「…子爵位を賜っております」
そうだ、私の家は子爵家。本来、王子との婚約など結べるはずはない。
だからこそ、王子と縁を結んだ確かな理由がある。それは、、、
「では、子爵令嬢の貴様がこの私と婚約できた理由は?」
「私が、聖女だからです」
私は、聖女だ。辺境の地を治めている私の一族は、他国の領土や
魔物が多く出没する森に隣接する土地柄により、代々武術を鍛えてきた。
私自身幼少の頃より剣術を学び、本来なら王立武術学院に通っていたはずだった。
しかし、私は聖女の力に目覚め、王子と婚約することになった。
だからこそ、私は王子の通う魔術学院に居る。
「違うな、言い直せ」
何が違うというのだろう。
「お前は、なんだった?」
…そういう事なのか?
話には聞いていた。異世界の聖女は、私よりも優れており、魔獣が出現する
原因である瘴気を祓う力が強いと、、、つまり私は、もう用済みという事か?
「……………………私が、元聖女だからです」
「そうだ、つまりお前には私に釣り合うだけの価値がもうないのだ」
「そして、俺個人として言うが、貴様の目が気に入らない」
個人と来たか。そんなものこの婚約には、求められてはいなかったのに。
「その吊り上がり、この俺を睨むような生意気な目だ!」
生意気と来たか。 確かに私は、つり目だし目つきは悪いかもしれないが、
睨んでいるつもりはいないのだがな。
「その点、彼女は好い。その愛らしく垂れた目は、優しさをたたえ、
人を包み込むような母性を感じさせる」
「彼女にこそ、聖女の名は相応しい!」
そう言われながら、彼女を見る。私とは正反対で、確かにそのたれた目は
可愛らしさを引き立たせ、庇護欲をそそり、優しさも感じる。
「えへへ、そんなことないですよー」
だが、どこか腹の黒さを感じるのは私の気のせいだろうか?
読んでくださって、ありがとうございます。
評価ポイントと感想をくれると嬉しいです。
…
……
………間違えました。
『ぼくはっ、評価と、感想が、欲しい‼』
以上です。