元ブラック企業サラリーマン、現伝説のおねぇの必殺技は平成ゴールド
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思い出すのも恐ろしい、それはまだ平成のことじゃった。
わしは地方のド田舎で、ブラック企業のサラリーマンをしておった。
会社指定の寮は店舗から徒歩40分のボロアパートじゃった。
オーナーは忍者の末裔とかで、半農半忍の田舎者じゃった。
自称・森の名探偵で、その癖見た目は文学少女じゃった。
そんな儚げな見た目では、パートタイムでも農民になどなれはせん。
親切心でわしがそう言うと、「黙れ、この偽物」とご褒美をくれた。
ありがとうございます、ごちそうさまです。
黙ります、黙れます、喜んで。
わしの勤め先のブラック企業ではご指導こそがご褒美じゃった。
偽物は本物、大魔王は勇者、聖女は雌戌、室内犬はドラゴン。
職場でのわしの受け持ちは、焼きおにぎりと牛乳の品質管理。
忙しくて息抜き暇つぶしに、店内のテレビブラウン管をおちおちチラ見もできぬ。
パワハラ気味の店長は、幕末じゃおまえは野垂れ死に、とありがたいお言葉。
ありがとうございます、ごちそうさまです。
できます、やれます、喜んで。
ストレス抱えてはげたわしは、離職票ももらわず逃げ出した。
入道雲のもくもく立った、暑い夏の日のことじゃった。
ボロアパートには帰らずに、電車を乗り継ぎ都会へ行った。
「おじいさんどこ行くの」 声をかけてくる、長髪を綺麗に染めた美青年。
「行く当てがないんです」 身の上話したかどうかはもう覚えちゃおらん。
気が付きゃわしは元リーマンの伝説のおねぇになっておった。
夜の蝶より妖しく輝く蛾、元ブラック企業サラリーマン。
今は伝説を生きるおねぇ、必殺技は平成ゴールド。
昔々、あるところに、何ていう程、昔のことじゃない。
思い出すのも恐ろしい、それはまだ平成のことじゃった。




