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1話

「………それ、なんてエロゲー?」


「エロゲじゃねぇわ。現実だわ」


 ゴールデンウィーク明けの学校の日。いつものように在原と飯食ってると同時に、ゴールデンウィーク何してたー?談義になったので、オフ会デートの流れから付き合ったことまで話した。


 ゴールデンウィーク最終日にメリィちゃんとまたデートを行い、またお家デートだった。もちのろん、そういう雰囲気になったわけで、今回は俺もしっかりと準備させてもらいましたので、しっかりしっぽりと楽しみました。声にはちゃんと注意したぞ。帰ってこなかったけど。


「いやいやいや……付き合って初日で童貞卒はエロゲだろ…」


「お前、エロゲやったことあんのかよ」


「あるけど」


「あるんかい………」


 ちなみに、俺からメリィちゃんと致したことは言ってないぞ?在原から突然「お前なんか一皮むけたような気するけど気の所為?」って言われて、数秒顔見られたら、なんか勝手に納得された。恐るべし、観察眼。


 だがしかし、今日の話題はそれでは無い。ゴールデンウィーク終了と同時に、またまた大型アップデートの告知が発表された。


 なんと第五弾アップデートはもともと第六弾アップデートの布石的なコンテンツとして実装されていたらしく、また追加される新たなコンテンツにスティックゲーマー全員が心を踊らせている。


 とある掲示板でも『スティックヒューマン・オンライン新コンテンツについての考察』というスレが立てられ、なかなか盛り上がっている。


「充はどの辺を睨んでる?」


「うーん………」


 今までの傾向から行くと、新マップの実装は確定だろう。新ボス、新ダンジョン、難易度変更とかその辺は当たり前にあると思う。


 しかし、スティックヒューマン・オンラインには他のゲームと違い、とあるコンテンツがない。


 そう、それはーーーー


「………ギルド、またはクランの存在」


 ギルドと呼ばれる不特定多数のプレイヤーたちが1つの集団にまとまることだ。


 基本的に、スティックヒューマン・オンラインはパーティーゲームである。例外的にレイドバトルがあるが、あまり大人数でプレイしても恩恵がない………というより、ぶっちゃけ一人か二人の方がやりやすいってのが俺の見解だ。


 しかし、新マップで今までには出てこなかった『戦争』というワードが更なる波紋を呼び起こし、今1番有力なのはギルド作成ということになる。


「あぁ、俺と同意見。可笑しいと思ってたよ。なんでこのゲームはギルド解かねぇんだろなぁって」


「基本、棒人ゲーは群れる必要性がないからね。俺とメリィちゃんみたくコンビ組んでるプレイヤーや、固定パーティーがいる方が珍しい」


 別に死んでもデスペナ(※デスペナルティ)などは無い&パーティーでは経験値山分けなどから基本的にソロがお好みのスティックプレイヤーさんたち。まぁ慣れればコンビが1番効率いいんだけどね(キリッ)。


 ……ま、初心者ボーナスで経験者が初心者と組むと様々なボーナスが貰えるあれ以外は複数人でやるメリットはない。エンジョイ勢さんなら楽しいとは思うけど。


 スティックヒューマン・オンラインの更新時間後にホームページを見ても、特に新たな情報はなし。むぅぅ……この痒いところに手が届かない感じ………俺たちの焦らし方をよく分かってやがる運営めぇ……!


 結局、あの後も悶々としながら昼休みは過ぎていく。さっさと家に帰り、パソコンを立ち上げてゲームにログイン。ぼぉーっとしていると、スマホの通知。


『もうすぐでログインするから待っててね!みぃくん!』


 の文の後に可愛らしいスタンプが送られてくる。そう言えば現実でもみぃくん呼びだなぁ……まぁいいかぁ……とか思ってたら、付けてるヘッドホンから一瞬ブツっと音がなった瞬間ーーーー


「………ふぅー」


「うおっ!?」


 左耳に息を吹きかけられた。いや、実際にはかけられてはいないのだが、メリィちゃんが使っているバイノーラルマイクのおかげで本当に掛けられているような気持ちになる。


 クスクス……と控えめに笑ったあと


「お待たせ……旦那様♡」


「~~~~っ!」


 吐息プラスの囁きでものすごいこそばゆい感覚に襲われる。


 そう、付き合いだしてから俺はいつもいつも、このメリィちゃんのASMR擬きにやられるのだ。


「旦那様……ふぅ……」


「ぐっ……!」


 こうなった俺は無力である。やり返しとかしたいけど、生憎俺はそんなメリィちゃんがいやんいやんしそうな程巧みなテクニックなど持ち合わせていない。


 ーーーくっそぉ……ベッドの上だったら俺の方が有利なのに……。


 それ以外ではやられっぱなし。絶対なんかベッド戦のやり返しの意味あるから。役得ですけどね。


「好き………すーき……だーいすき♡」


「うがぁぁぁぁ!!!」


 可愛すぎて発狂した。


 ちなみに、俺も頑張って羞恥攻めしてみたのだが………。


「………なんかいまいち。普通にしてた方がみぃくんかっこいいよ?」


「Damm it!!」


 才能の無さに神を恨んだ。



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