表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/59

7話

「うへ……うへへ……」


「……なるほど、昨日の充からみてこの顔だったのか……確かに気持ち悪い」


 うへへ………はっ!いかんいかん。また顔がにやけていた。


 指で頬の筋肉を下に下げてなんとか、ニヤつかないように努力………うへへ……はっ!


 またにやけていた頬を両手を使って全力で筋肉を下げる。くぅ……俺よ……そんなにメリィちゃんとのオフ会デートが楽しみなのか!?


 楽しみに決まってんだろぉぉぉ!!


 彼女いない歴イコール年齢プラス画面越しの子に片思い2年継続中だぞ!?これが楽しみじゃないならそもそも人として終わっていると思う。


 叫びたい。今めっちゃ心に迸っているこの形容しがたい気持ちを外に出したい。今すぐにでも、横にある窓を思いっきり開いてから「メリィちゃぁぁぁん!!」と叫びたい。心が叫びたがってるんだ。


「よしよし、充。まず1回俺に話してみ?話してみたらそのニヤニヤ止まるぞ。ソースは俺な」


「ふむ………」


 一理ある……ってか一理しかない。昨日もそうだったもんね。


「聞いて驚くなよ在原……なんと俺、今度メリィちゃんとオフ会デートすることになったんだ」


「はぁオフ会デートねぇ……………」


 ………………………


「オフ会デートォォォ!?」


「ばっかお前、声がでかい」


 とりあえず席座れ。クラスから「またあいつらか……」見たいな目で見られてんだろうが。


 ………しかし、なんだ。こいつが叫んでくれたおかげで、この胸の形容しがたい何かが薄れた気がする。そこは感謝しよう。めちゃくちゃうるさかったけど。


「………お前何それ、超羨ましいんだけど」


「お前もシルバさんとオフ会すれば?」


「バカお前……恥ずかしいだろうが」


「乙女か」


 全く………普段もゲームスタイルもお前は押せ押せだろうが。お前が恥ずかしがってどうする在原。後、男が恥じらってもなんの需要ないから、指先同士でちょんちょんっとするのやめろ。控えめに言って気持ち悪い。


「……確かに、なんか話したらスッキリしたわ」


「だろ?俺も昨日はこう……なんかむず痒い気持ちがむねのなかにあったんだよ」


「分かるー」


 さっきまでそれ。なんか嬉しいやら楽しみやらな気持ちがごちゃ混ぜになって、体の中で受け止めきれなくなり、外に溢れた結果が俺たちのにやけなのだろう。


「……ま、俺から言えることはひとつだな。ゴールデンウィークのいつかは知らんが……頑張れよ」


「おう」







 そしてついに、ゴールデンウィーク3日目になった。


 1日目、2日目と普通にゲームをやっていたが、1日目の夜に、「ゴールデンウィーク3日目……オフ会デートしよっ」との事だったので、めちゃくちゃ楽しみだった。


 待ち合わせは東京の秋葉原駅。唯一二人が共通して行ったところだったからだ。


 時刻は8時30分。集合は10時なのだが、一時間前には秋葉原駅に着くように俺は移動している。


 何故かって?ば、バカ!言わせんな、恥ずかしい……楽しみすぎてめちゃくちゃ気持ちが先行してるんだよ!文句あっか!


 あー……やっべぇ……すっごい心臓バクバク言ってる。胸に手を当てると物凄く動悸が早い。


 ふぅ……一旦落ち着こう。落ち着け俺、ステイクールだ。


 思い出すのは1日目の会話。


『みぃくん……明後日、オフ会デート大丈夫?』


『お、おう!だ、大丈夫!』


『そう……ほんと?……私、凄い楽しみ……』


『う、うん………俺も……』


 付き合いたてのカップルか!と通話終わったあと一人で突っ込んだ。


 あぁぁぁ……もうすぐ着いちゃう!とりあえず、心臓だけ落ち着けよう!このままだと途中でガス欠する!


 そして俺はその後、ずっと深呼吸をしていた。


 ちなみにだが、もうすぐで着いちゃう!とか言っていたけど、実際あの後20後に秋葉原駅に着いたため、20分深呼吸している変なやつみたいになってしまった。


 そして着きました!あーきはーばらー!


 ここで後1時間後にメリィちゃんと合流だな。互いに、当日はこの格好で行きますと服の写真は送っておいたため、人を間違えることはないだろう。


 少し離れたところに、座るところがあったため、そこに座る。現時刻は9時10分。


 ……不安だぁ……初めてあってちょっと引かれる顔されたら一生モノのキズが着くかもしれん。そして同時に、俺の2年間温めてきた恋心を全て泡となって消えていく。


 そしてぼーっとしてること20分。いきなり俺の視界が真っ暗になった。


「おわっ!?な、なんだ!?」


 突然の事にびっくりして、頭を振るが、それでも視界は晴れない。


 何!?ホント何!?あ、なんかいい匂いする!?うおっ!なんか背中ふにゅんっ!って柔らかいの当たった!何!?ほんとになんなの!


 絶賛テンパリまくりの俺。何やら後ろからくすくすと、控えめだが笑い声が聞こえた。


 ……あー、これあれね。よくある「だーれだ」って奴だな。


「み・ぃ・く・ん♪」


 そして、こんなことをする人物と、俺をみぃと呼ぶやつなんて、メリィちゃんしかおらへんやんけ。


「だーれだ」


 そして楽しそうにだーれだというメリィちゃん。うん、声だけじゃなくて行動も可愛いですな。


 俺はメリィちゃんの手を外してからゆっくりと後ろを振り返った。


「全く……メリィちゃんって思っているよりもやんちゃーーーーーーーー」






カクヨムの方は第3章入りました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ