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カレーなるNAVY ~7日に一度のお楽しみ~  作者: 佐久間五十六


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山島田正宗が海軍を辞めるまでにやらなければならない事 その③挨拶回り

 山島田正宗が海軍を辞めるまでにやらなければならないこと 

 その③基地司令やうみゆき幹部などお偉いさんへの挨拶

 荷造りが終わればそれでよし。という訳には行かない。海軍は去るものは追わずという姿勢があるが、それは残る者が去る者に対して取る姿勢の事であり、きちんと世話になった者へ一言でも、挨拶をして去るのが礼儀だろう。

 20年以上の海軍生活ともなれば、世話になった人間もそれなりの数になる。一人5分の挨拶をしても一日では、終わらない。

 正宗は、自分よりも、階級の低い者への挨拶を先にして、自分と同じか階級の上の者への挨拶を後にする。という作戦にでた。上の者への挨拶を後回しにする作戦は、確かに効果的だった。

 その前に、あらかじめ挨拶をする人のピックアップ作業をした。その結果、ほとんどがうみゆき乗員か横須賀基地所属の兵士であった。

 そんな沢山の挨拶回りの最後は、うみゆき艦長の森滝竜彦一等海佐であった。横須賀基地司令への挨拶を最後にしようと思ったが、1~2年で代わるエリートの基地司令には何の恩義も感じなかった。形として挨拶には行ったが、話すのも初めてあっただけでなく、基地司令は先月代わったばかりであった。

 ただ、そんな愛着のない人物で、最後を締めくくるのは、抵抗があった。森滝1佐と、正宗の挨拶は以下のようになった。

 「挨拶回りは済んだか?」

 「タツさん。じゃなくて森滝1佐で、最後になります。」

 「お前を二等海士の頃から見ているが、お前程料理のセンスがある給養員は見たことがなかった。正直海軍の飯炊きには向いていないとも思ったよ。」

 「ありがとうございます。森滝1佐には頭が上がりません。」

 「親父さんのレストラン継ぐんだって?今度行くよ。」

 「はい。是非お待ちしております。」

 「お前に言ってやりたい事はまだ沢山あるが、それを全部言えなかった事が心残りだな。」

 「森滝1佐は定年退職したら何をするんですか?」

 「まだ考えていないが、山奥で民宿でもやろうかと思っているよ。」

 「タツさんらしいですね。」

 「達者でやれよ。」

 「はい。本当に長い間ありがとうございました。」

 正宗は、向き直って敬礼をした。森滝1佐もそれに応えて敬礼した。この人に出会えていなかったら、自分の海軍生活は成り立っていなかったと思うと、不思議な気持ちになった。

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