山島田正宗が海軍を辞めるまでにやらなければならない事その② 自室に溜まった大量のレシピ及び料理本の処分
山島田正宗が海軍を辞める前にやらなければならないこと
その②自室に溜まった大量のレシピ及び料理本の処分
正宗の家に運び込まれた段ボールのほとんどは、料理本や自らが書き上げたレシピであった。料理本等は捨てる事も出来たが、自らが書き上げたレシピは流石にほいそれと、捨てる事は出来なかった。
そこで、正宗は除隊までの3か月を利用して、優先順位の高いレシピをPCに打ち込みUSBメモリに保存することを考えた。(3か月で終わらなければそのまま継続)給養員長と言えど、今のデジタル時代にワープロくらい使える。
たとえ、自分が分からなくても、妻という強力な相棒がいることを正宗は知っていた。勤務が終わり、新居に帰ってから、夕飯と入浴以外の全ての時間をデータ入力に費やした。美奈子も家事と育児の合間をぬって手伝った。
正宗のレシピはどんどんUSBメモリの中に消えていった。一日で、100~150もの、レシピを消化して行ったが、20年分の蓄積は相当なものがあり、想像以上だった。新居に持ち込まれた段ボールの半分位のレシピをUSBメモリに消化していたものの、レシピは打てど打てど終わりが見えなかった。
日中の海軍給養員長としての勤務時間よりも、新居での、レシピ打ち込みの方がきつかったという。だが、これはまだまだ序ノ口である。3か月で新居にある段ボールの全レシピを打ち込むのは不可能である。それほどの量である。ちなみに、料理本は全て処分した。これで少しは段ボールの数も少なくなった。
休みの日には若杉曹長が、手伝いに来て、慣れないワープロ打ち込みを、やってくれたおかげで、段ボールが一個消え、また一個消えとどんどん消化されてPCのUSBメモリの中に入力されて行った。最終的に4GBのUSBメモリ2本を満タンにするほどの量のレシピを打ち込む事が出来た。想像するだけで、ゾッとする量である。
除隊一週間前の事であった。山島田正宗3等海尉が第2の人生を歩み始めるまでには、終わらせなければならないといけないと思っていた事がまた一つ終わった。捨てた段ボールの数は50個。その中には数えるのもわずらわしいレシピが、詰まっていた。
「いいんですか?マサさんの秘蔵レシピをこんなにもらっても?」
「ああ。電子化したし、全レシピ大体使わねーんだ。海軍の大人数様レシピだから。USBも持ってけ。」
「若杉曹長への餞別だ。」
「ありがとうございます。」
「本当、何から何まで御世話になりっぱなしで。」
「せっかく苦労して電子化したんだ。たまにはみてくれよな。」
山島田正宗の自らが書き上げたレシピの大半は流石に邪魔なので、燃えるゴミとして処分した。正宗は、こうしてまた一つ在任期間でやらなければならないことを逐えた。




