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カレーなるNAVY ~7日に一度のお楽しみ~  作者: 佐久間五十六


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~終の秘伝 海軍魂(ネイビーソウル)~

 ~終の秘伝 海軍魂(ネイビーソウル)

 最後の秘伝は、最早カレーとは無縁の話である。日本海軍軍人給養員としての心得とでも言えば良いのだろうか?

 小銃(テッポー)を打つだけの歩兵は海軍には少ない。むしろ、魚雷の整備や、艦のメンテナンスをする者の方が遥かに多い。給養員という職種も、それらの者と大差はない。

 艦を動かすというその一点において、やっている仕事の内容はどうであれ、一蓮托生の同じ穴のムジナなのである。

 ミサイルが主になってしまった現代の戦いであろうと、日本海軍の制服を着ている以上は、誇り高き海軍兵士なのである。

 今はまだ、分からないかもしれないが、いつしか年月を経ていく中で、その言葉の重みを知る時が来ると、正宗は若杉1曹に伝えたかった。

 どんな職種だろうが誇りを持って事に励め。

 それは、長年兵隊から叩き上げで、士官になった日本海軍の至宝である料理人(給養員)からの、魂を込めたメッセージだった。

 こうして、訳半日に渡る秘伝の伝授は終了した。出来上がったトマトチキンカレーを食べながら、若杉は泣きながらこう言った。

 「全っ然味ちゃうやんけ。俺修行しなくちゃな。」

 しかしそれを食べた正宗はこう言った。

 「初回にしちゃあ上出来だ。」

 こうやって、護衛艦うみゆきの伝統であるトマトチキンカレーのレシピや作り方の伝授は終わった。

 しかし、後除隊まで半年。まだまだ正宗にはやるべき事が沢山残されていた。

 結局、若杉仁1曹は曹長に1階級昇進して、正宗なき後の護衛艦うみゆきの給養員長となり調理場を仕切る事になった。

 給養員という日の当たらない職種でも若杉曹長は、正宗に教えられた通り、プライドを持って仕事に臨んでいた。

 どこにいても、誇りさえ見失わなければやっていける。それは日本海軍軍人ではなくとも、誰にでも、通用するメッセージであった。20数年の日本海軍での生活に区切りをつけようと決めた以上は、正宗にやり残した事があった。

 それは妻美奈子への意思確認をする事である。自分は海軍を去って、夢であり、父の残したル・ジャポネ・フィアゼのシェフになる。だが、彼女の意思はまだ確認していない。彼女の意思は出来る限り尊重してあげるつもりだ。

 だが、夫婦の職場が異なる事やお金の事はどうするのか。夫婦の間で話し合うべき事は山ほどあった。

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