山島田正宗流 トマトチキンカレー作りの秘伝 その②手早く作る裏技
~秘伝その②手早く作る裏技~
もう一つトマトチキンカレーを作る為に大事な事がある。トマトを調理しながら、チキンの調理も同時平行で行う短縮技である。
「若杉1曹、これはカレーを手早く作る裏技とも言える。案外、手慣れていないと、トマトの処理に傾倒してしまう給養員が、多い。若い頃の俺がそうであったように、ある時どうしたら時間短縮できるか考えたのが、このトマトとチキンの同時調理だったのさ。」
「言うのは簡単なんですけど、難しいんですよね。コンロが空いてるならチキンに火を通すくらいやれますしね。」
「チキンの焼きすぎには要注意だぞ。」
「はい。確か一回チキンを焦がして、マサさんに滅茶苦茶怒こられた事がありました。」
「そんなこともあったかな。」
「チキンの味付けは塩、胡椒のみで良かったんですよね。」
「そうだ。シンプルな味付けで良い。味はカレーの方で調整するからな。」
「実はこのトマトチキンカレーを生み出したのは俺じゃないんだ。」
突然正宗は、このカレーのルーツを語り始めた。
「これは俺が若い頃の事だ。ロシア海軍との交流会に参加した時の事であった。その日の昼食が、赤いスープだったんだ。その時はカルチャーショックだったよ。ボルシチって料理で知る人ぞ知るロシアの伝統料理らしい。これにライスをぶっこんでカレーにしたら旨いのでは?と考えたのがトマトチキンカレーの大元さ。」
「ボルシチってトマト使ってないですよね?ビーツをトマトに置き換えた。それなら、トマトチキンカレーは、やっぱマサさんのオリジナルですよ。」
「そう言ってくれると嬉しいな。只、あんな料理は若い頃の俺には、あんな衝撃的な料理は色んな国に言ったが、無かったな。スープが赤いなんて初めての体験だったからな。」
「味噌汁を飲んでる民族からしたら、衝撃的なかもしれませんね。」
トマトを煮込む間にチキンを調理する事で、調理時間を短縮するのは、海軍の給養員ならではの時短技と言える。どんなに美味しくても、時間に間に合わないものは、海軍のメニューにはならないからだ。
若杉1曹は、時間内に作る事の大切さを、その難しさを感じながら、正宗の教えをノートに殴り書きしていた。後で綺麗に書き直すのだが。正宗の20年以上の海軍生活で培われた知識はだてじゃない。




