山島田正宗流 トマトチキンカレー作りの秘伝 その①トマトの量
秘伝その①「トマトの量」正宗はまずトマトの適正な量から教える事にした。
「若杉1曹、良いか?このトマトチキンカレーのみそはトマトの量何だ。多すぎても少なすぎても駄目なんだ。四人分作るならトマトは大玉で4~5個くらい。自衛隊の鍋はデカイから100人分作るとしたらいくつトマトがいる?」
「100~125個くらいですね。」
「そうだ。でも俺は必ず少な目にトマトを入れてから調整する。味を見て酸味が足りなければトマトを足す。良しと判断したら、それで良い。その基準量が100個なんだ。」
「ここだけを聞いていると、そんなに難しそうなカレーでは無さそうですが?」
「トマトの量はまだ序ノ口だ。カレーはトマトだけで味が決まる訳ではない。」
「そりゃそうですけど。」
「トマトの量を変えるって事は、他の材料を変えてやらないとバランスが悪くなると思わないか?」
「トマトが増えるほど水分が増えますから、そこは気を使う所ですね。」
「まぁ、こう言うのは、慣れだ。毎週、毎週作っていりゃ、嫌でも覚える。」
「来週から出来るかな?」
「最初の頃は俺も失敗して酷い評判だったけど、そういう声があると、不思議なもので上達するんだよね。つーか、若杉1曹は、俺の傍でずっとやって来たじゃねぇか。やれるって。」
「でもマサさんから他の給養員長に換わったら調子狂うなー。」
「そんなこと言ったってしょうがないじゃないだろ。」
「まだ定年まで10年以上あるのに、勿体無いっすよ。」
「おしゃべりは、まともなトマトチキンカレーを作れるようになってからだな。」
「痛いところをついてくるな(笑)」
「トマトは基本的に何処の産地の物を使っても良いが、甘味の強いトマトだとカレーがフルーティーになってしまうから、出来るだけ酸味の強いトマトを選ぶのがオススメだ。」
「あと皮は向いた方が良いんですよね?」
「そう、それ基本。カレーの舌触りに影響するからな。」
「トマトを煮込む時間が長い方が良いのは、言うまでもないが、兵士の昼飯は正午ピッタリ。朝飯後から、準備してもトマトを煮込む時間は2~3時間しか煮込めませんよね?」
「よく分かってるじゃねぇか。だてに10年以上海軍の飯を担当してきただけの事はある。」
「火力をついつい強くしがちなんだが、そうするとら、トマトピューレが焦げちゃうんすよね?」
「時間が足りない時はトマトをレンチンしてから煮込んだりしてたよ。そう。火力は中火~弱火で充分なんだ。」
「とにかく、このカレーの肝はトマトなんですね‼」
「そう。言わなくても、お前の体に染み込んでいるみたいだな。」
「おかげさまで。鬼軍曹に育てられましたから。」
二人の会話には、寂しさなど、微塵も感じなかった。まるで親子のような二人のやり取りが印象的であった。




