二人だけの二次会
夫婦となって初めて迎える夜であった。雄大と空雪という幼子が二人いたが、夜になるとすっかり寝付いていた。余程の事が無ければ、居間で美奈子と正宗はイチャイチャしても、問題はない。
大人数過ぎたため、正式な二次会はしなかったが、正宗と美奈子の二人だけの二次会を始めた。
ワインやビールはしこたま飲んだ為、軽くカクテルやハイボールで喉を潤す事にした。
「乾杯!」
「やっと落ち着いたね。」
「なんか凄く疲れたね。」
「でも色々な人に祝杯してもらって良かったじゃないか?」
「そうだけどさぁ、なんかあっという間だった。」
「そういうもんさ。嬉しい、幸せな時は直ぐに過ぎるもんだよ。」
「正宗のお父さん(元海シェフ)に祝福してもらえたのは嬉しかったね。」
「ああ、そうだな。」
「でも元海シェフちょっと顔色悪かったな。」
「そうかな?あんまりよく見てなかったけど。」
「気のせいなら良いんだけど。」
「親父の店の料理なんて初めて食ったけど、本当、プロの作る料理は違うね。」
「海軍の給養員だってプロじゃん?」
「華やかさが、違うよ。海軍の給養員なんざ所詮生きるためのエネルギー源でしかない。優雅にナイフとフォークを使って食べるフランス料理とは似て非なるものさ。」
「でも、本質は同じでしょ?」
「そうかもしれないけど、住む世界が違うってよく言うだろ?」
「親父が、ル・ジャポネ・フィアゼで作る華やかな料理は、御客からカネを取っている。それに比べて俺ら海軍給養員は、大量生産大量供給。給料は貰ってるが、いちいち隊員から金は取らない。汗臭く作る戦闘糧食では、太刀打ち出来ないよ。」
「つまり、それって比べる事自体無意味って事?」
「まぁ、そういう事になる。」
「でも、正宗の作るトマトチキンカレーは、有無を言わず美味しいけどな。」
「そういってくれるだけで、俺達給養員の仕事は報われてるんだよ。」
「そういう意味では、対空戦闘の模擬訓練ばかりやってる私って、成果が目に見えないから嫌になるのよね。」
「そうでもないだろ?お前達戦闘配置の最前線にいる奴が体張って対艦ミサイルとか魚雷を防御してくれなきゃ、不安で料理なんて出来ないよ。」
「私が、感じてないだけかもね?」
「お前のおかげで艦を国を守っているって自負するだけで行動が、変わるはずだよ。」
「今度やってみる。いやこれからずっと。」
「お前だってこれから昇進して行けば水雷長を任せられる事もあるかも分からない。」
「そうなると良いけど、現状は仕事こなすだけで精一杯だよ。」
「じゃあ、まだまだ水雷長は夢見事だな。」




