表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カレーなるNAVY ~7日に一度のお楽しみ~  作者: 佐久間五十六


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/98

愛する息子への父のスピーチ

 正宗は、初めて父の店の味を堪能し感動していた。それを押し殺して努めて普通の表情を作り出すのが、精一杯だった。早く父に会って美奈子と孫を紹介したい。この二つの気持ちで、正宗の心は、溢れそうだった。

 縁もたけなわ御開きかというタイミングで、正宗の待望の人物が現れた。

 「皆様、本日の結婚披露宴用の特別コース料理は如何でしたでしょうか?」

 と言うと、マイクを持ち直してこう言った。

 「新郎新婦の人生の門出にカレーで締めたのは訳があります。人生はデザートの様に甘くとろけるようなものではありません。スパイスの効いたカレーの様に刺激的で、険しいものであります。二人は自衛官という職業についておられるそうですが、国を守るという事は一人では、成し遂げられません。他部隊や他地域の隊員と共に行う協同作業であります。そういう意味では、国防も結婚も協同作業という点で共通しています。一方通行のコミュニケーションでは、決して良い結果は得られません。私のいつものコース料理では甘いデザートで締めます。でも今回はカレーを〆に持って来ました。それが私から新郎新婦に送るメッセージなのです。辛すぎても、スパイシーなだけでも、駄目なのです。調合比率を上手く調整するのが、良き夫婦生活の第一歩なのです。恥ずかしながら、この私も結婚をし、子供をもうけました。その子供が、新郎の正宗です。私は誉められた親ではなかったですが、夫婦関係はしっかりしていた方だと自負しています。その私が、夫婦関係をカレーに例えるのでありますから、間違ってはいないはずです。良いスパイスの黄金比率を探る事から二人の一歩は始まります。長くなりましたがル・ジャポネ・フィアゼの総料理長(オーナーシェフ)として、私のはなむけの言葉として返させて頂きます。本日はありがとうございました。」

 大拍手喝采であった。スピーチの上手さもさる事ながら、TV慣れしたその威厳は正宗にはないものであった。

 正宗はよくしゃべくる父を初めて目にしたが、父の言葉は嬉しかった。

 美奈子も、義理の父がこんな有名人だったという事に驚いていた。

 こうして、二人の結婚披露宴パーティーは大盛況の内に終わった。ル・ジャポネ・フィアゼ関係者への挨拶もそこそこに、父と少しだけ会話が出来た。

 「父さん、今日はありがとう。」

 すると父は、一言、

 「おめでとう」

 と言ってくれた。正宗はその5文字に今までのギクシャクした関係を解消するメッセージ性を感じていた。この会話が、きっかけとはいかなくても、父との仲を改良する方向に向かえば良いと、思っていた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ