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カレーなるNAVY ~7日に一度のお楽しみ~  作者: 佐久間五十六


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父に悟られた結婚披露宴

 そのミシェランガイド東京版にル・ジャポネ・フィアゼが載っていた。星の数は二つ、前回の三ツ星から一つランクが下がっていた。

 それでも並みいる高級料亭やレストランを抑えての二つ星は、立派だった。

 値段よりも味や技術で判断をする事の多いミシェランで、星を獲得する事が、どれだけ知名度を上げる事が出来るのかは、少なくとも、飲食業界に携わる者なら、誰でも知っている。

 ル・ジャポネ・フィアゼのオーナーシェフ山島田元海68歳は、自分の限界にとらわれないその料理のスタイルが評価されての二つ星獲得となったが、10年連続ミシェランガイド東京三ツ星を獲得していただけに、山島田正宗3尉は、親父も年だしな、なんて軽く考えていた。

 夫婦の会食や女子会など、多種多様な場面を邪魔しない洋食というのを元海は目指していた。ベースはフランス料理でありなから、和食や中華に欧米の良いところも取り入れた。形にはまることのないその料理は、世代に関係なく受け入れられていた。

 山島田正宗3尉の料理のセンスは父親譲りと言っても過言では無かったが、二人の仲は良好ではなかった。正宗の母は、彼の幼い頃に既に亡くなっていた。心筋梗塞による突然死だった。その為元海は、山島田正宗3尉にとってこの世で只一人の肉親だった。

 だから、結婚報告も、双子の赤ん坊がいることも報告しなくてはならなかった。試しに手紙を出してみたものの、返事はなかった。会うにも店の前で門前払いされるのが関の山。それがトラウマになり、ル・ジャポネ・フィアゼの近付くことさえ出来ずにいた。

 父元海の年齢は68歳。もういつ引退してもおかしくはない年齢だった。引退してからなら会える機会もあるかも知れないが、あの頑固親父が、会ってぐれる保証はどこにもなかった。

 そこで考えたのが、ル・ジャポネ・フィアゼでの美奈子との結婚披露宴をするという事であった。流石にこの作戦は上手く行った。だが、日程的に日米平和軍事交流の後になってしまった。父親だから、名前を見れば予約を断られるかもしれないと思いついた。

 そして、結婚披露宴の日になった。海軍関係者たらけの披露宴だから、きっと父元海もきっと気付いていたのだろう。だが、あえて気付かないふりをした。自分には今の息子に合わせる顔がないと。

 本当は素直に喜びたかった。一人親として、高校を卒業するまでは、一緒だった。だが、息子は父親の望み通りの進路を歩んでくれなかった。海上自衛隊に行くと知ったときは、心配でならなかっただろう。

 素直じゃない所は親子して似ているが、ル・ジャポネ・フィアゼでの披露宴の後に父親宛に手紙を書いた。そして父は初めて手紙を返信した。なぜならば、全て知っていたからである。

 絶縁関係にあっても、親と子の縁は完全にはたちきれないものだ。帰国後、3日間をあけての強行軍だったが、山島田は一刻も早くそれを行いたかった。

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