打算的勝利
この米軍と自衛隊の共同軍事作戦は「自由をかけた最後の戦い」という事から、「THE FINAL BATTLE OF THE FREEDOM 」と名付けられた。この勝利は、中国だけでなく、日本をも変えるものとなる。
この日米の勝利を支えたのは、奇しくも日本の自衛隊だった。この勝利は日本を正常な国家へと変えるきっかけになるかと思われたが、そうはならなかった。自衛隊は、米軍への依存をさらに深める事になり、さらなるアメリカナイズが進行してしまう。
日本国民は、潜在的仮想敵国である、中国とロシアを同時に倒したとあり、お祭り騒ぎだった。アメリカ大統領ホナルド.D.クランプは演説で、米国の勝利を宣言すると共に、最大の働きをした日本の自衛隊を最大限称えた。
日米双方の犠牲者が軽微だったのは、制海制空の両作戦エリアで、中露を日米が上回ったからである。人員の被害数は、日本の自衛隊が陸海空合わせて55名。アメリカ軍が102名。と、戦死者を出してしまった。中露の犠牲者から見れば、ほぼいないに等しい被害だが、それでも人柱は生まれてしまった。戦争だから仕方ない。そう割りきれるものでもない。
核ミサイルの脅威に脅えた日本国民も、専守防衛を貫き最後まで、同盟国アメリカの下支えをした、自衛隊を称えた。日本だけが、浮かれていたわけではない。台湾も強大な壁がなくなり、国際社会の一員になれた。
一方、ロシアの脅威にさらされていた北欧や西欧の国々も喜んでいた。パワーバランスが大きく変わろうとする時、戦いは必然的に発生する。政治というものの最終形態が戦争である以上、武力による決着を人間は否定する事が出来ない。
それは、兵器のハイテク化やオートメーションが進んでも同じ事である。何メガトン、何ギガトンの核ミサイルが現れても、それは変わらない。
日米の勝利は世界に轟いた。この戦いの勝利は韓国、台湾、といった反中国家に同盟国として自らの国を勢力下においた米国の勝利でもあり、日本という最大の同盟国を何とかして、参戦させた米国の勝因であった。
世界の核兵器の約6割を占める中露を黙らした事で、自らが進める核兵器の削減に否応無しに参加させる事も、打算的に考えていたし、その通りになった。




