日本海軍と海上自衛隊の違い
余談になるが護衛艦うみゆきのディテールを紹介しよう。
全長350メートル、基準排水量6795トン、乗員250名、ヘリコプター、一機(CH-60J)、20㎜機関砲1門、SM-3(対空ミサイル)12門×3門、7㎜機銃6門、といったものであった。この他にもデコイやチャフといった装備も搭載している。このうちSM-3の1門が、艦対地ミサイルとして活用出来るものであった。
所謂イージス艦に近い働きをする事の出来る汎用護衛艦であった。
横須賀基地所属の護衛艦隊は第一から第四まであるうちの、うみゆきは第一護衛隊群に所属する事になっていた。他に、大湊、舞鶴、呉、佐世保も北から順に2、3、4というNo.フリートがあったのだが、海上自衛隊内部でも、一般的にも、○○地方隊所属と言われるのが通例だった。
No.フリートに意味はないが、運用段階で区分けとして、No.フリートは効果的な役目を果す。組織名こそ違えど、各国の認識は日本海軍の後継組織であり立派なNAVY(海軍)であるという理解も、日本国内の曖昧な認識とは違い、的を得ていた。
護衛艦うみゆきは、第一護衛隊群(横須賀地方隊所属)であり、自衛艦隊旗艦「てんどう」を守るのが、主任務であった。
ミサイルの進歩や航空機の猛烈な進歩によって、艦隊の意義は弱くなりつつもあるが、やはり海を守るのは艦と艦隊しかなかった。
現在、世界で発言力のある大国は、3つのカードを持っている。一つ目のカードが核兵器(大陸間弾道ミサイルの技術)。二つ目が、核兵器運用の技術(潜水艦SLBMや爆撃機による核兵器運用)。三つ目が、強大な海軍力(原子力空母や空母艦載機の熟練度)である。
これら全てを持っている国は、アメリカ軍であり、その次の覇権を争っているのが、中国やロシア、イギリス、フランスといった国連の常任理事国である。
日本の海上自衛隊は、帝国海軍の伝統こそあれ、日本海軍と異なる点が一つあるとすれば、日本海軍が国益を追求する為の組織であったのに対し、海上自衛隊は、同盟国であるアメリカ海軍(US NAVY)との作戦を円滑に行える様にする為にある。アメリカ海軍の補完をする組織。つまりはある分野に特化しすぎているため、海上自衛隊単体では戦闘が出来ないという、脆い一面も持ち合わせている。