総員戦闘配置
やはり、米国の強さは本物だった。日本の援護があったとは言え、実質的にも、名目的にも世界第二位の中国をけちょんけちょんにしてしまうのであるから。
しかし、この黄海海戦で、負けてしまっては陸軍や、海兵隊の頑張りは無駄になってしまう。その為、この最後の海戦だけは、負けられなかった。うみゆきも、当然ながら哨戒護衛として、現場海域に向かっていた。
うみゆき艦長森滝竜彦一等海佐の話である。
「皆も、知っての通り中国共産党人民解放軍の大部分は、米軍によって制圧されている。ただ、強力な海軍は、米側が力を入れて排除しなかった。その為、中国海軍は手付かずの状態だ。この海戦に負ける事は、祖国日本をとられるも同じ事。それを心にとめて、この戦いに臨んで欲しい。大丈夫、我々なら必ず勝てる。日頃どれだけ厳しい訓練をしてきたと思っている?だが油断だけはするな。戦場での油断は死を意味する。それだけは各員肝に命じておくように‼」
森滝一佐は、はっきりと中国海軍と一戦交える事を部下達に示していた。そもそも、この戦いの大元をたどれば、日本対中国という構図だったのだ。
それが、いつの間にか米国や、露西亜が参戦して、第三次世界大戦とはいかずとも、それに近いものに膨れ上がったのだ。
戦争を始めたきっかけを作ったケジメをきちんとつけたい。それが海上自衛隊員だけでなく、日本国の全自衛隊員の気持ちだった。
「総員戦闘配置!」
山島田ら給養員も、戦闘体勢をとった。あらかじめ、決められていたコールサイン(日米で既に共有済)が発令されると、日米100隻以上の大艦隊は、中国海軍艦隊と交戦に入った。SSMや単装速射砲が火を吹いた。黄海沖の現場空域は、航空自衛隊と、米空軍が中国空軍を圧倒して、抑えていた。AWACS(空中給油機)なども出撃して、短時間で、勝負をつける算段だった。
中国海軍は露西亜海軍の援助もあり、中々全滅とは、いかなかったが主要作戦艦艇はほぼ叩いた。うみゆきは、現場海域で、中国海軍フリゲート艦二隻とアスロック対潜水艦ミサイルで潜水艦一隻を沈める活躍を見せていた。
数では劣っていた日米であったが、「量より質」理論で、中露を圧倒した2日間であった。だが、まだ全部隊を叩いた訳ではないので、現場海域を離れる訳にはいかなかった。




