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カレーなるNAVY ~7日に一度のお楽しみ~  作者: 佐久間五十六


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イナズマの如く

 「マサさん、貴方のような人を"叩き上げ"というんでしょうね。」

 若杉一曹が、山島田をヨイショした。

 「いきなり、どうした?」

 「マサさん、うみゆきからうららに配属変わってから、2階級特進したじゃないですか?昔は下士官から、士官になった人は、名を残す人が多かった様ですよ。まぁ、給養員長くらいじゃ、戦争になっても、武勇はなさそうですけど。」

 若杉一曹は上機嫌だった。

 「何の話だ?」

 「聞いて無いんですか?ニュース。」

 若杉一曹は、知っていて当然のような顔をして言った。

 「もったいぶらないで、教えろよ!」

 「朝鮮半島が、中国共産党人民解放軍に制圧されました。」

 「本当か?」

 山島田は直ぐにTVニュースをつけた。するとそのTVの電波はジャックされていた。

 「次は日本ですよ。」

 若杉一曹は、緊張感のある声に変わった。

 「自衛隊の歴史が変わるかもな。」

 山島田は冷静さを装おった。

 「もしかすると、俺がうららに来たのは、大戦に備えての事かもしれないかもしれん。」

 「このうららは、新型のヘリ空母だからな。必然的に最前線に行くことは、目に見えている。最もうみゆきにいたとしても、自衛艦隊旗艦を守るのが主任務だから、危険度はどっちの船にいてもさほどの差はない。」

 「日本は勝てるのでしょうか?」

 若杉一曹は頼りない声で、山島田に聞いてきた。

 「米軍と心中する外にはないさ。」

 確かにその通りであった。自衛隊創設の狙いは、大なり小なり、陸海空軍それぞれ差はあっても、米軍という母体を補完する為の部隊構成である。だから、山島田の解答は非常に的を得ていた。

 「70年前とは、はっきり違う事がある。」

 そう言ったのは、山島田であった。

 「なぜそう、言い切れるんですか?」

 若杉一曹が、聞き返した。

 「米国を敵に回し、主要国の支援もなかった。孤立無援の70年前の第二次世界大戦、だが今は違う。親方米軍に手を借りている。つまり、それは、核兵器を持つのも同じ事だ。」

 「つまり、勝てるって事ですよね?」

 若杉一曹は勝ち負けにこだわっていた。

 「そんなに勝利に飢えているのか?若杉一曹、いいか、俺達給養員は、銃を持って戦う人間の胃袋を満たす事だ。戦争で大切なのは兵糧と装備だからな。」

 山島田はこれでもかと、立派な意見を若杉一曹に浴びせかけていた。それに安心したかのように、若杉一曹は言った。

 「俺、マサさんの元で働けて、幸せです。失礼します。」

 と言って部屋を出ていった。自衛隊創設以来初の、防衛出動になるかもしれない情勢を聞いた山島田は、イナズマのように走った隣国の火種を尻目に、いつもの時間にあわせ、給養員長として調理場へ戻っていった。

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