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カレーなるNAVY ~7日に一度のお楽しみ~  作者: 佐久間五十六


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艦上の一滴は血の一滴

 今思えば、寺倉美奈子海士長は、飯が不味くてという理由だけで、転属願いが、許可されるのも可笑しな話である。

 下士官や兵隊を大切にしなければ、今時の軍隊はやっていけないのだろう。

 寺倉美奈子海士長が、転属した日は、丁度金曜日で、カレーの日だった。山島田の特製トマトチキンカレーを食べた時の衝撃と言ったら、被弾した時位に大きかった。

 護衛艦とわゆりでは、あれだけイヤだった食事の時間も、うみゆきでは、楽しみ、否生き甲斐だった。陸海空の三自衛隊の中で、仕事がダントツに厳しいのが、海上自衛隊だった。

 もちろん、部隊によっては陸自や空自の方が厳しさのある部隊もあるが、アベレージでキツいのが海上自衛隊だった。水上あるいは水中で、長期間航海するストレスは、海上自衛隊独特のものだろう。

 その分、お給料も高い。だから、タフな精神力があれは、何とかやっていける。

 アメリカ海軍の補完的な機能に特化している海上自衛隊は、アメリカ海軍がいなければ、本来の力は発揮出来ない。それは、現場の自衛官が一番認識していたし、良くわかっていた。とは言え、第1~第4護衛隊群からなる自衛艦隊は、日本の海を守るだけの力を持っていた。

 その自衛艦隊旗艦を守るのが、護衛艦うみゆきの任務であり、重大な事である。

 SH-60Jの発着艦は、日常茶飯事であったし、P-3Cによる哨戒任務の護衛をしながら、旗艦を見る、正に用心棒だったそのままであった。

 非常時には、夜間の出動もあったし、東京湾で不測の事態が起これば、直ぐに駆けつけなければならなかった。

 そんな船乗りにとって、楽しみは食事と隊員同士の会話であった。

 海水を沸かして作る風呂も、それなりに快適であった。海上では真水は貴重であり、生命に関わってくる事もあり、艦上での真水の一滴は血の一滴とも言われた。

 当然山島田は、料理を作る際も、計量カップとにらめっこしていたのは、ご想像の通りである。護衛艦は、兵器に違いないが、それを運用しているのは、紛れもない人間であり、その人達にとって艦は、住居も同じ事なのである。

 階級にうるさくしておかなければ、こういう所でもいらぬ争いが起こる。それを防ぐのも、階級の役割なのである。この世に意味の無い事なんてない。それを海上自衛官は、体現しているのである。

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