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明日もきっと君と笑えるだろうか

作者: 床店 志帆

私の作品にしては、上手く纏められたと思います

是非に!!

 最近流行りのメンヘラソングが街を覆う。

 かくいう僕もヘッドホンの内側から同じ曲を聴いている。それじゃあ僕はミーハーになれている。みんなと同じだ、何ら気にすることはない。


 …やっぱり僕ってのは孤独だ。周りの歩幅に合わせても、所詮は付け焼き刃、みんなだって疲れたら休みたくなるし、急ぎたいときは走りたくなる。合わせても合わせても、突き放されてはしがみつこうとする。これが何回続いたろうか。



 HRが終わった。モン○ンのHRならカンストしたのに、今日という1日はまだ始まったばかりで馬鹿らしい。教室の真ん中、より奥側。みんな席を立っては別の人の椅子や机に座って雑談タイム。僕は友達の椅子と机にひれ伏せて遊んでる、これもルーティーン。寝ている訳ではないから、話の内容は頭に入ってくる。

 「昨日の○曜日の○○がさ~笑笑」

 「あー!私も最近それみてるー!」

 僕も見た聴いた面白かった声を上げて笑った

 …しょうもない。

 

 一限目は英語。担当教員の駒来は予習をやっているか確認している。

 「えー?お前やってる?俺やってねぇわww」

 「なんかあるとかきいてないよねー布熊くんぐらいしかやってなさそうよねー」

 こういう場合、僕のような陰キャは勉強はやっていると勘違いされがちだ。当然やってない。まだ突っ伏したままだった。机は優しいから僕の全てを包み込んでくれている。本当にこいつが人間なら惚れている。

 結局、板書を写すときのみ机から独立して日が暮れた。


 そろそろ学生の本分云々、要するに勉強をやれと母親に言われたので、あれだけうるさかった教室に静かに一人、場所は友達の机と椅子。

 苦手な数学と結局予習をやらなかったせいで怒られた英語に取りかかる。数式を解読するのが苦痛でしかない。英語は文の内容があっさり読めるだけ。勉強はできるはずがない。みんなのペースに合わせて何もやらなかった、のだがテストでは僕よりも遥かにいい。焦ったときには遅かった。


 歩幅以前に、僕自身が間違っていたんだ。


 それを認めたくなかった僕は、逃げた、先はまた孤独だった。人と接するのが苦手だったから共通点を無理矢理作ったのに、何もかもが裏目に出てしまっている。最終的には、違う世界の人間とまで言われてしまっていた。

 

 違う。違う。僕もそっちがわなんだ。


 届かない。声を発してないから。



 「あれ?布熊くん?ひとり?」

 静寂を裂いたのは同じクラス…というより隣の席の会角(あずみ)さんだった。クラスの一軍であり、ワースト一軍の僕の対の存在、どうやら忘れ物を取りにきたらしい。

 「う、うん」とかろうじて返す。

 すると何故か驚いた様子だった、

 「?どうしたの?」自分の発言は自然体。無意識に出たものは今まで拒んできたこの世界についに適応した。

 「…布熊くんって喋れるんじゃん、声初めて聞いたよー」「なんで喋れない前提なんだよ!僕は人間です!」

 彼女は夕焼けを背に思いっきり笑っていた。気づけば僕も笑ってしまっていた。

 

 あぁ、そうなのか。

 僕は自分を、僕を認めてやらなかったんだ。


 自分の足跡を残すということをしてこなかった、僕のことを僕すらわかってやれなかった、そりゃ誰も助けてくれる義理はない。



 その日流れていたのは噂の失恋ソング。

 僕が白いイヤホンを耳に当てて聴いているのは、かつて好きだったバンドの曲。これから、毎日聴いていこうと決意したのだった。

こういうシチュエーションに憧れてました(笑)

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