未知の世界への招待状
僕の言葉を聞いた御守さんは微笑んだ。
「今のは精霊に言ったんだ。あの子達に頼んで、南雲君の素質を見てもらったに。何か変なことに巻き込んでごめんね。びっくりしてるでしょ。」
御守さんが申し訳なさそうに笑った。美少女に気遣われて、僕の心はときめいた。
「め、迷惑じゃなかったよ。楽しかった。」
笑顔を意識して答えると、御守さんは嬉しそうに微笑んだ。その微笑みを見て僕は安らぎを感じたが、僕の心音は静かになるどころか弾むボールの様に鼓動の周期を速めていった。
「魔力感知できる人物は、魔法を分かち合う者として認められるんだ。だから、南雲君はこれからどう生きていくか選ぶ権利があるに。」
御守さんの突然の発言を僕は理解できなかった。僕の頭は彼女のやさしい微笑みを記憶に焼き付けるのに精一杯で、難しい情報を処理できる余裕が無かった。
「どういうこと?」
たじろきながら、僕は御守さんに訪ねた。
「もうすぐ昼休みも終わるし、詳しくは、徹君が説明してもらって欲しいな。南雲君に私達の世界を紹介したのは徹君だからさ。それに、丁度、今日!徹君は、一人前の魔術士としての試験を受けるの。徹君の試験を見学してくれば、きっと私達の世界の事が少し分かるかもしれないに。それから選んでよ。」
やはり、僕には御守さんが何を言っているのか分からなかった。
「何を?」
「南雲君は選べるんだ。いや、正確には選ばないといけないの。今日の記憶を消してこれまでの生活に戻るのか、それとも、魔法と魔術の類、妖怪と悪魔のいる世界に足を踏み入れるのか。」
御守さんは微笑みつつも真剣に僕の目を見て、僕に未知の世界へ通じる扉の鍵ともと来た道へ通じる扉の鍵を差し出した。先程までの怪しい体験をしても、未だに僕には彼等の言っている事が信じられなかった。それでも、そのどこに通じるか分からない扉の向こうを見てみたいという強い気持ちに僕は駆られていた。
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m(_ _)m
【編集履歴】
2019/01/19 魔術師→魔術士に変更