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友達の家1

 帰路で僕達は電車に乗る必要は無かった。僕は魔法で空を滑空するという何とも魔法の世界らしい体験をする事ができた。ただ、よく本や映画でみる様な箒に跨って飛ぶといった演出は無く、泳いでいる様な姿勢で空を飛んだ。確かに、空を飛ぶ魔法に特化した魔力の増幅装置として、魔法使いの箒という物が存在するらしいが、御守さん程の魔法使いになると、箒は必要ないらしい。欲を言えば、できれば、箒に跨って三角帽子を被った御守さんを見てみたかった。 魔法の箒の話と魔力の増幅装置の話を聞いていたうちに、僕等は徹君の家まで飛んできた。


「この辺、空港あるからあまり高く飛べないんよね。航空法に引っかからない高度と経路を維持しながら人払いの結界を維持して数人を運ぶのは流石に疲れるに。」


意外にも、魔法の行使にも日本の国内法が適応されるらしい。人払いの結界を張るのなら飛行禁止区域を飛んでもバレないだろうに、御守さんは律儀だ。


「ま、流石師匠だよ。ありがと。」

「今度、パン奢ってよ。湖のほとりに隠れ家的なパン屋さんあるの。美味しいらしいんだ。」

「おっけー!南雲も一緒に行こう!今度の日曜にでも湖でご飯食べよ。」

「うん!ありがと!」

「ただいまー!」


そんな会話をしながら、僕等は徹君の家の玄関まで来た。徹君の家に入る徹君と御守さんを僕は玄関の前で見送ろうと手を振った。すると、徹君が目を1、2回パチクリさせて僕の方までやってきた。彼はそのまま僕の肩を掴んで僕を家の中へと誘った。


「南雲も来いよ。サークルの打ち上げって事にして、母さんに料理作ってもらったんだ。南雲も食ってけよ。」

「う、うん。ありがと。家に帰り遅くなるって連絡するね。」

「分かった。先に入ってるから、南雲も後でリビングに来てよ。」

「遅かったね。」


玄関前で話していると、徹君によく似た女性が出てきた。徹君の母親らしき人はすらりと背が高く、彼女の身長は日本人男性の平均身長を優に超えていた。


「ただいま。新しいサークルのメンバーの南雲君を連れてきたんやけど、料理の数足りる?」

「あら、いらっしゃい南雲君。初めまして。徹がお世話になっています。料理は多めに作っているから大丈夫よ。お久しぶりね智恵さん。ご両親ももういらしてますよ。」

「お久しぶりです。徹君のお母様。」


御守さんと徹君は、家族ぐるみでの付き合いがあるらしい。その事実を知った僕は嫉妬した。徹君と僕は似ていると僕は感じていたが、それは勘違いだった。僕と徹君の間には確たる隔たりが、追いつくのが辛い程の距離が存在していた。徹君と御守さんは徹君の母親に連れられてリビングへと向かっていった。僕は玄関でガラホの電源を入れた。着信が 2 件とメールが一通入っていた。全部、母からだった。僕は急いで電話をかけ直す事にした。「プルッ」ワンコールだけ待ち受け音が鳴り、母が電話に出た。


「もしもし。孝和?本屋さんにでも寄っているの?」

「ううん。友達に誘われてこれから友達の家で晩御飯をご馳走になるんだ。連絡遅れてごめんなさい。帰り遅くなります。」

「えー。珍しいじゃない。後でお友達のお母様を紹介してよ。お礼したいから。帰りは迎えに行くから何時に帰るかメールしなさい。また後でね。」


連絡が遅くなった事と帰りが遅い事を叱られると思ったが、全くそんな事は無かった。胸を撫でおろして、僕はリビングへと向かった。

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