Watagi Serina(2)
今日は1日オフ。
久しぶりにゆっくり配信をしようとカラオケに来た。ここが1番楽なの。注文さえしなければ店員さんはやって来ない。
だから、芹菜で入室して、中でメイクと着替えをしてイゼリアになって、帰る時にはまた元に戻ればいい。
確実に誰にもバレずに過ごせるから。
「よし」
このカラオケ店は持ち込みがOKなので、飲み物や小腹が空いた時用のお菓子を少しだけ持ってきている。準備は万端です。
スマホに配信画面が表示され、自分の顔が映る。うん、今日も可愛いわ。
「こんにちは~イゼリアです♪ 今日は、ゆっくり配信しようと思って準備してきました! 質問とかあったら是非聞いてください!」
まずはコメントをくれる人たちに挨拶を返す。いつも来てくれる人ばかりだわ。こんなに大人数でも、やっぱりよく来てくれる人の名前は覚えるものなのね。
「じゃあ早速質問に答えていきますね~。えーっと……彼氏いないんですか? いないんですよ~。男性とは関わる機会がないので」
だからといって彼女もいないんだけどね。
「作らないの~って。今は配信が楽しいし、イゼリアでいる時間が楽しいんです。だから少しでもみんなといる時間を大切にしたいなって」
ボクに恋人を作る余裕なんてないの。
「クリスマスは誰と過ごす……平日だから学校で友達と一緒にいるかな? イヴも友達と一緒かも」
「何飲んでるの? 今日は、桃味の豆乳です!」
「ボクとクリスマス過ごせたら楽しそう! だって! うふふ、ありがとう~♪」
って、この名前と写真……見たことあるような……気のせいかな。
「友達たくさんいそう? うーん……少なくはないと思うなぁ。多分」
◆ ◆ ◆
「それではみなさんお疲れさま♪ また次回も来てくれたら嬉しいです! 今日はたくさんコメントと質問くれてありがとう~じゃあね!」
…………ふぅ。
友達……そういえば最近ほとんど遊んでないなぁ。イゼリアでいる方が楽しいし。
今年は……誘われたら一緒に過ごすのもありかな。私の周りは年末に帰る子ばかりだし、クリスマスは誰かが企画するのかも。
自分で動けばって気もするけどね。そこまでする程では……無いかな。
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