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彩りの花  作者: らんシェ
7/11

Watagi Serina

星花女子プロジェクト第6弾、うちの娘紹介話です。

「ねぇ、イゼリアって知ってる? SNSで見つけたんだけど、見て! めちゃくちゃ可愛くない??」

「わお。ゴスロリって憧れなんだよねー。私もフォローする!」

 廊下ですれ違った同級生の話し声に、慌てて口元を手で覆う。いけないいけない。

 今日もバイトかぁ。週末はなるべく入れたくないけど、もうすぐクリスマスコフレも販売が始まる。欲しい物もたくさん出るからお金を貯めておかないと。やっぱり週末が稼ぎ時よね。

「せーりーなーちゃんっ!」

「!! ……びっくりしたぁ」

 クラスメイトの子に後ろから抱きつかれる。

「またきなこ豆乳飲んでるの? 今のままでも良いと思うんだけどなー。私が揉んであげようか?」

 怪しい動きをする手をペちんと叩く。

「遠慮しておきます。あなたはそうやって誰かに大きくしてもらったの?」

「いや別に?」

 友人の柔らかいお胸を背中に感じながら自分のを見る。

「くっ」

 絶壁……!

 揉むというかマッサージはしてるし豆乳も毎日飲んでるのに……やっぱりこの歳になってからは成長は望めないのかしら。

「ねぇねぇ、芹菜ちゃんてバイトしてるんでしょ? まだ教えてくれないの?」

「ダメ。恥ずかしいじゃない。来られたら」

 まあ、本当は恥ずかしいわけじゃないけれど。

「え~! ケチ! でも飲食店だって言ってたもんね! いろんなお店に行って芹菜ちゃんを見つけてやるぞっ!」

出来るものならやってみて、と。口にはしないけれど、絶対に見つかるわけないわ。絶対ね。


 ◆ ◆ ◆


「仕事帰り近所のカフェで、と」

 週末のお楽しみ。それは私の、イゼリアとしての活動。配信が主だけど、街をブラブラして写真を撮ってSNSにあげたり。カラオケに行くこともあるかな。


 さて。帰る準備をしなくちゃ。


 イゼリアは、私のネット上の名前。

 メイクで作った顔と、ゴスロリと呼ばれる黒を基調としたワンピース型の服に、ところどころ散りばめられたフリルやリボンがとっても素敵な服を纏った私は、完璧なお姫様。

 明るめのベースとファンデーションで仕上げた白い肌。アイプチした二重のまぶたに、つけまつ毛とアイラインで大きくしたグレーの瞳の目。シェーディング、ノーズシャドウやハイライトで目鼻立ちくっきりさせて、唇はグロスに重ね塗りしたリップでぷっくりと。

 キラキラした派手なメイクと長い銀髪のウィッグで、誰とすれ違っても私を芹菜と呼ぶ人はいない。

 友人ですら気付かない。

 私はイゼリア。イゼリアでいる時はお姫様なの。

 お姫様でいる為に、化粧品やスキンケア用品のチェックは欠かせない。メイクだってこれで完成ではなくて、もっともっと可愛くなれる方法を見つけなくちゃ。

 週末は稼ぎ時でもあるけど、メイクの研究も進む絶好のチャンス。1秒たりとも無駄には出来ない。

 さぁ、帰ったらしっかりスキンケアをして早く寝なくちゃ。明日は早起きよ。


 その前に、あそこで化粧を落として着替えなくちゃね。はぁ。もっとイゼリアでいたいなぁ。

誰がお嫁に来てくれるのかしら⊙﹏⊙

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