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彩りの花  作者: らんシェ
11/11

第11弾娘紹介

第6弾ぶりの参加。いろいろ頑張ります。

「おはよう、たっくん」

「ももちゃん、おはよう。今日はせっかくの休みだからまだ寝てて良いんだよ?」


 うんうん、今日も仲良し、いい朝だ。

 ひと足先に起きて朝食をとりながら待っていると、カウンター越しにパパとママが温かいハグと甘いキスで2人の世界をつくりあげる。

 娘がいるにも関わらず、まるで付き合いたての恋人みたいに幸せそうに笑う。私は両親のそんなところが大好きだ。ママは女社長としてすごく頑張って遅い時間まで働いてて、パパはお家のことを全部やってくれるし、元美容師の腕を私たちに活かしてくれる。とても尊敬できる2人から生まれた私はとても幸せ者ね。

 あ、ちなみにだけど家事に関しては忙しいママはともかく私でも手伝えるわけで。一通りやり方を教わった。まあ、食器を割ったり洗濯機から泡を溢れさせたり、真っ黒い何かを生成したりはしたけど。ちゃんと覚えてから後は任せてって言ったら、パパの仕事だから取らないでって断られたのよね。


「おはよう、絆」

「ママ、おはよう」


 満足したのか、2人は離れてママが私の向かいの席に座る。


「パパの作る朝ごはんは今日も美味しそうね」

「うん、今日も美味しいよ」


 間もなくママの分がテーブルに並ぶ。パパも一緒に食べるみたいで、エプロンを外してから席に着いた。


心羽(みう)はまだみたいだね」


 心羽は、私の1つ下、高等部1年生の妹だ。少しマイペースだけど、きっとすぐに降りてくると思う。


「あの子はのんびりしてるもの。まあ休日だから良いけどね。絆はお出かけだっけ?」

「うん。翔子と絵未とね」


 今日は幼馴染と遊ぶ日。普段はおなじ星花女子学園に通っているのに、クラスも部活も違うのでなかなかゆっくりと会うことができない。まあ、私を除いた2人は寮のルームメイトだから、毎日一緒にいるけどね。私は実家住みだからなかなかそうもいかないの。

 だから今日は少しお店を見たあと、カフェでゆっくりお喋りする予定だ。


「楽しんできてね。パパは、お出かけの予定ある?」

「ううん。今日はずっと家にいるよ」

「1週間分パパを充電しなきゃ」

「僕もママを充電しなきゃね」


 ……良い。

 再び2人の世界に入ろうという時、階段を降りてくる足音が聞こえた。


「ふぁ〜……おはよ」


 まだパジャマ姿のままの心羽が、私に抱きついてくる。

 パパは立ち上がり、心羽の分の朝食の準備を始める。


「ねーね、なんでお洒落してるの?」

「遊びに行くからよ。明日は一緒にいようね」


 心羽は未だに甘えん坊で、休日は用事が無いとほぼ一緒にいる。出かけるにせよ、家にいるにせよ。とにかく一緒にいたがる。心羽にも友達がいるでしょうに。可愛い妹だから姉としては仲良くしてくれて嬉しいけどね。中には喧嘩ばかりだとか、全く話をしない姉妹だっているわけだし。


「誰と行くの?」

「翔子と絵未だよ。会ったことあるよね?」

「あー。それならいいや」

「何が?」

「なんでもない」


 すりすりと頭を押し当ててくる心羽の顎の辺りを撫でると、気持ちよさそうに目を細めた。猫かな?


「ほら、パパが心羽の朝ごはん準備してくれてるよ」

「……うん」


 名残惜しそうな顔で立ち上がると、キッチンに歩いていった。

 私も食器を下げるために立ち上がる。

 集合時間まではまだ余裕があるし、部屋に戻って本でも読んでるかな。



 ☆ ☆ ☆ ☆


 大好きなアイスティーもすっかり氷が溶けてぬるくなってしまった頃、本を閉じ時計を見る。丁度いい時間だ。準備はしてあったので、荷物を持って家を出た。駅までの道を歩きながら、さっきまで読んでいた本に思いを馳せる。

 続きものの恋愛漫画。すれ違っていた2人がようやく互いの想いをぶつけ合い仲直りをしたところで、すごく満たされた気持ちになった。

 私は恋愛漫画や小説が大好きで、特に甘いシーンが大好物。両親がすごく仲良しなのを小さい頃から見ていたのもきっと影響があるのだけど、とにかく恋人や夫婦がイチャイチャしているのを見るのが好き。まあ、特に珍しいことでもないと思う。

 しかし今から3年ほど前、私は特に悩みなどなかったが何となく占ってもらい、占い師に言われたのだ。私は、人と人を繋げるのが上手らしい。今までもきっと無意識に、誰かを出会わせていたはずだ、と。占いを信じる方ではないけど、私はその時自分の使命を理解した。

 運命の出会いを、私が手助けする。間接的に恋のキューピットになれたら、それでイチャイチャするカップルがたくさん増えたら、私が幸せだから!

 それから何かの時に備えてとにかく名前を覚える、伝手を増やすことを常としている。

 恋愛相談されたらアドバイスはするけど、余計なことはしない。首を突っ込みすぎない。それは絶対気をつけている。あくまでの当事者間の問題で、私の言動で2人の未来を大きく変えるようなことがあってはならないから。……なんだけど、


「絆はそろそろ好きな人できた?」

「ううん別に」

「絵未なんてさー、早速部活の後輩に告白されちゃって」

「あ、あれは冗談に決まってるでしょ! それに翔子だってこの間先輩に迫られてたし。付き合ってるんじゃないの?」

「あれは迫られてたっていうか、」


 棘のある言い方をするこの2人。何年両片思いやってんだか。他人ならともかく、幼馴染って立場なら、そろそろツッコんでもいいかしら?


「絆はどう思う? あの時絵未はさー……」

「2人とも、両思いなんだしいい加減付き合ったら?」

「は?」「えっ」


 フリーズする2人をよそに、生クリームたっぷりのパフェをつつく。このお店、今度は心羽を連れてこよう。美味しい。


「待ってよ絆話が違う!!」


 先に我に返った翔子が顔を真っ赤にしながら言う。あーはいはい。


「あと何年付き合わせる気? 片思いならともかく両思いなんだし」

「いや、え? 絆、私たちルームメイトなのにそんなこと言われてどうしたら……」

「襲えば?」

「ちょ!? 絵未になんてことを!」

「わたしもねーねに賛成〜」

「心羽!」「「心羽ちゃん!?」」


 どこから聞いていたのやら、いつの間にか私の後ろに心羽がいた。


「2人のせいでねーねとの2人の時間取られてるんですよ?」

「えっ、私たちのせい? ゆっくり会いたいなって思ってたんだけど」

「それはもちろん私も思ってたけど、絵未と翔子は2人きりの時間があるんだから」

「絆を置いてけぼりにしてるわけじゃないよ? ただ近況報告をしようかなって」


 分かっちゃいるのよ。でも私としてはじれじれよりもイチャイチャを見たいわけで。


「そんなのねーねは分かってます! ほらねーね、今日のところは若い2人に任せて、みうと遊ぼ?」

「え、うん。じゃあ2人とも、次に期待してるね」

「何を?」

「この状況で2人きりは困るから待って!」


 引き留められたものの、パフェを完食していた私は心羽に手を引かれるまま、慌てて丁度のお金だけ出して店を出た。


 ☆ ☆ ☆ ☆


 少し時間を戻して、ねーねが丁度集合場所に着いた頃。わたしはと言うと、合流する為の準備をしています。どこに行くかはさっき聞いたし、あの2人ならわたしがいても何も言わないでしょ。本当はねーねと2人きりが良いけど。

 出かける準備には時間がかかります。メイクは最低限しかしませんが、私は髪にこだわりがあるんです。今は主夫ですが、その前は美容師をしていた父に憧れて、普段からヘアアレンジは休日の度に練習しています。学校ではおさげですけどね。ギリギリまで寝たいので。長い髪も暑くなってくると鬱陶しい。とはいえ切るのは練習の為にも惜しいので、編みこんで首が空くようしっかりアップに。だいぶ慣れてきて、手際よくなったんじゃないでしょうか。

 そろそろ出ますか。両親は仲良く寝室に入っていったのでお見送りはありません。全く。子どもの前で堂々とあんな風にするなんて、呆れたものです。外でも2人一緒にいると終始変わらずで。そりゃあ、仲が悪いよりは良い方が良いけど。毎日見てたら朝からお腹いっぱいになってしまうので、特に休日は起きたらベッドの上でのんびりしてからリビングに降りるんです。

 さて、ねーねと合流する前に少しだけ人と会う予定があるので、のんびりはしてられない。


「ごめん、遅れた」

「いつものことだしいーよ」


 スーツ姿のこの女性は、私の元カノの女子大生。告白されて一時期付き合ってたけど円満にお別れし、今でも時々会って話す仲。


「就活?」

「まあね。ほんと、就活は疲れるね。働きだしたらなんて考えたくもない」

「学生も疲れるけどね」

「若さがあるだけ良いよ」

「そんなに変わんないじゃん」


 人付き合いはあまり得意ではないけど、この人といるのは居心地が良いのです。だからこそ、恋人として付き合っているのに、特別な感情を抱けないことを申し訳なく感じてしまった。彼女はただ、「分かった」と。結局今も会っているし、やってることも同じだからあまり変わらないんですけどね。


「まあ、そんなわけで癒しが欲しいわけよ。ハグしていい?」

「良いよ。でも、みうじゃなくても良いと思うけど。恋人作らないの?」

「このフィット感は心羽だけだよ。恋人はねぇ、そう簡単にできるもんじゃないの」


 後ろから抱きしめるのが好きらしくて、付き合っている頃からハグといえばこれでした。ねーねほどではないけど柔らかくて、わたしも嫌いじゃない。


「はーー……それで、この後お姉さんと出かけるんだって? 近くまで送るよ。今日は車で来たんだ」

「買ったの?」

「まさか。親のだよ」


 ありがたくそうさせてもらうことにしました。付き合ってはいないけど、わたしには丁度いい距離感に思えるんです。しつこく何か聞いてくることも、縛ってくることも、後を追ってくるでもなく。程よい距離を保って接してくれるこの人は、わたしには貴重です。学校にもいないことはないんですけどね。


「じゃあね、相変わらずお姉さんと仲良しみたいで良かったよ」

「うん。またね」


ねーねはわたしのねーねなんだもん。ねーねが自分の恋愛に興味がなくて良かった。だからわたしが止めれるんだ。わたしからねーねを取ろうとする人は許さないから。デートの日にねーねを遊びに誘った2人もね。まあ、あの2人は知ってる人だし、デキてるみたいだからまだ許せるけど。

さて、おかげで合流に時間がかからず済んで良かった。早くねーねとデートデート。

朝起きて絆ちゃんに抱きつく心羽ちゃん。実はおっぱいを堪能しています。むっつりですね!

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