鬱々ショート 旅立ち
私は、生きる事にするか。死ぬ事にするか迷っていた。
私は、重度のうつ病を患っていた。色々な仕事のストレスで頭がおかしくなっていた。死ぬのは恐ろしいが、生きているのも辛い。生きていたいがどうにも死んだ方がラクになる様な気がしてならない。
「死にたい、でも死ぬのは怖い
死にたい、でも死ぬのは怖い
死にたい、でも死ぬのは怖い」
私はこの気持ちに期限をつけることにした。この気持ちが期限までに収まることがなければ、そのまま死を選ぶことにした。
最終期限を一週間にした。つまり、一週間過ぎたあとに、死にたい気持ちが残っていたら潔く死ぬ。死にたくなければ自分の好きなことをすることに決めた。
いよいよ、決断の時は来た。だがその時、私にはもう死にたい気持ちはなかった。これから私は生きて好きなことをするのだ。
命あるかぎり、苦しみは続かない。良いこともあれば悪いこともある。一週間の間、悩んだ末に私は生きる事に希望を見いだしたのだ。
さあ、晴れやかな気持ちで勇気ある一歩を踏み出そう!今日は、新しい自分の始まりだ!!
力強く大地を踏みしめて歩き出したその時、
キキーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!
という、車の急ブレーキ音が聞こえた。
ズゴバッ。鈍い音と共に私は空中にはね飛ばされた。
何という事だ。私は浮かれて赤信号の車道に躍り出てしまったらしい。
遠のく意識で私は考えた。私は死ぬことを考えている時間が本当は好きだったんだ。だから、今ここで死ぬことを考えることは、好きなことを叶えた事になるのかなぁ?
不思議と僕は嬉しい気持ちであの世へ旅立った。