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序章 立ち上がるモノ

暗い炎のような揺らめきを背負って、黒い異形が立ち上がる。

そのヒトガタは闇の様に暗い。

二足で立つ姿は西洋の甲冑を纏っているようだが、手足が異様に細長い。

額と思われる場所には宝石の様な輝き。


瓦礫を砕き一歩を踏み出す。


明々と照らす炎の中、黒い異形は動き出す。

対峙する男はニヤリと笑う。


「・・・・・ようやくか」


ボソリと呟きながら、黒い「ソレ」をしっかりと両の眼で見据える。


異形はガギンという異音と共に口らしきものを開く。

開かれた穴は耳元まで裂き、その暗がりの中に二つ光が灯る。


目の様に。


その視線と、男の視線が交差する。

男は「ソレ」を指す言葉を吐く。



『神の各位に至る者』




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